Ryuji Kanemoto
大阪で建設業許可の申請をするときに必要な申請書類をすべて紹介【書類別ポイント解説】
更新日:4月5日

建設業許可申請を行う際、申請書類と確認書類が必要になります。申請書類とは名前のとおり、申請する内容を正確に記すためのものです。定められた様式で自ら作成する書類と公的機関が発行する書類があります。
確認書類は、申請した内容(許可要件を満たしていること)を証明するための書類で、過去から現在のものを多方面から収集しなければならない場合が多いため、すべて揃えることが難しく感じるかもしれません。
しかし、申請書類は必要なものを把握し、ルール通りにさえ作成すれば当然に揃えることが可能です。
この記事を読むと、建設許可の新規申請を行う際に必要な申請書類をすべて把握することができ、書類ごとのポイントもわかります。
ぜひご参考にしていただければと思います。
作成する申請書類は約20種類
申請書類は一部の書類を除き、建設業法施行規則に定められた法定の様式になります。約20種類の書類を作成することになりますが、申請区分、個人・法人、事業形態等で必要書類が異なるので、注意しましょう。
以下、法人を想定した申請書類一覧です。
提出した書類は許可後、都道府県窓口でだれでも閲覧できることになります(⑰~㉛の閲覧不可書類は除く)。
書類名 | 様式 | 備考 |
①建設業許可申請書 | 第1号 | |
②役員等の一覧表 | 第1号 別紙1 | 個人の場合は不要 |
③営業所一覧表 | 第1号 別紙2(1) | 更新申請は「別紙2(2)」 |
④大阪府手数料(POS)納付用連絡票 | | |
⑤専任技術者一覧表 | 第1号 別紙4 | |
⑥工事経歴書 | 第2号 | |
⑦直前3年の各事業年度における工事施工金額 | 第3号 | |
⑧使用人数 | 第4号 | |
⑨誓約書 | 第6号 | |
⑩健康保険等の加入状況 | 第7の3 | |
⑪建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表 | 第11号 | 支店等がある場合のみ |
⑫財務諸表 | 第15~17の3 | 個人の場合は第18号・19号 |
⑬定款(写し) | | 個人の場合は不要 |
⑭営業の沿革 | 第20号 | |
⑮所属建設業団体 | 第20号の2 | |
⑯主要取引金融機関 | 第20号の3 | |
⑰常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書 | 第7号 | 役員+補佐の場合は別書類 |
⑱常勤役員等略歴書 | 第7号 別紙 | 役員+補佐の場合は別書類 |
⑲専任技術者証明書 | 第8号 | |
⑳国家資格の証書(写し)または監理技術者資格者証(写し) | | |
㉑卒業証明書(原本)または卒業証書(写し) | | |
㉒実務経験証明書 | 第9号 | |
㉓指導監督的実務経験証明書 | 第10号 | 特定建設業で経験証明する場合のみ |
㉔許可申請者の住所、生年月日等に関する調書 | 第12号 | 役員、株主等の分が必要 |
㉕令3条に定める使用人の調書 | 第13号 | 支店等がある場合のみ |
㉖登記されていないことの証明書 | | 役員全員分が必要 |
㉗身分証明書 | | 役員全員分が必要 |
㉘株主(出資者)調書 | 第14号 | 個人の場合は不要 |
㉙商業登記簿謄本 | | 法人と支配人登記の個人のみ |
㉚納税証明書 | | 府税事務所発行のもの |
㉛営業所概要書 | 府規則第1号 | |
①建設業許可申請書(様式第1号)
申請区分や許可を受けたい業種、申請者の基礎情報等を記載する重要な書類です。
細かな記載ルールがあるので、記載例を見ながら間違いのないように作成しましょう。

②役員等の一覧表(様式第1号 別紙1)
法人の役員(取締役・業務を執行する社員・理事・執行役)、株主等を記載する書類です。法人の役員は常勤、非常勤に関わらず記載します。
当然ながら、個人の場合は不要な書類です。

③営業所一覧表(様式第1号 別紙2(1))
主たる営業所と従たる営業所を記載する書類です。前提として、建設業法上の営業所にあたるかどうかを正しく判断しなければなりません。主たる営業所以外に営業所にあたる事務所があるのであれば、従たる営業所に該当し、令3条使用人(いわゆる支店長や営業所長)を置かなければなりません。また、従たる営業所の所在地が主たる営業所と異なる都道府県の場合は、大臣許可になります。

④大阪府手数料(POS)納付用連絡票
大阪府に申請手数料を納付する時に使用する用紙です。申請区分により、手数料が異なるので金額を間違わないように注意しましょう。

⑤専任技術者一覧表(様式第1号 別紙4)
営業所ごとに配置しなければならないすべての専任技術者を記載する書類です。専任技術者の氏名と業種・有資格コードを間違わないように記載します。

⑥工事経歴書(様式第2号)
直近年度の工事実績を業種ごと記載します。はじめて作成するときは記載ルールが難しく感じるかもしれません。
別記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

⑦直前3年の各事業年度における工事施工金額
直前3年分の完成工事高を業種ごとに記載する書類です。業種ごとに元請(公共・民間)、下請の区別も必要です。
直前年度の業種別施工金額は「⑥工事経歴書」の請負代金合計と一致しなければなりません。

⑧使用人数(様式第4号)
営業所ごとの使用人数を記載する書類です。専任技術者の要件を満たす者とそれ以外の者の人数を記載します。常勤であれば人数に含めます(役員や事業主本人も)。

⑨誓約書(様式第6号)
法人の役員等、令3条使用人等が欠格要件に該当していないことを誓約する書類です。調査の結果、対象者が1人でも欠格要件に該当していることが判明した場合は、虚偽の申請をしたことになりますのでご注意ください。

⑩健康保険等の加入状況(様式第7の3)
営業所ごとに健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を記載する書類です。
対象となる常勤の人数と保険の加入状況(適用事業所・適用除外・一括適用)を記載します。

⑪建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号)
令3条使用人がいる場合のみ提出が必要な書類です。支店を設置する場合と個人事業主に支配人がいる場合が該当します。

⑫財務諸表(様式第15号、16号、17号、17号の2、17号の3)※個人は18号、19号
建設業法に定められている貸借対照表、損益計算書・完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表、附属明細表です。附属明細表は資本金1億円超または負債合計200億円以上の株式会社のみ提出必要な書類です。
個人は貸借対照表と損益計算書のみです。












⑬定款(写し)
会社設立時の最も重要な書類です。
定款の事業目的に、許可を受けたい業種についての記載がなければ、定款変更した上で登記しなければなりません。「建築工事」「土木工事」といった包括的な記載にして全29業種カバーすることが可能です。
また、許可申請時に定款変更が間に合わなくても、次回の決算変更届までに完了させる旨の念書を提出することで許可申請の受付はしてもらえます。
⑭営業の沿革(様式第20号)
創業以後の沿革を記載する書類です。建設業以外の事業も含めて事業開始の時から記載します。
注意点としては、設立時の資本金を記載すること(法人の場合)と記載すべき内容がなくても空欄にはせずに「該当なし」と記載することです。

⑮所属建設業団体(様式第20号の2)
所属する建設業団体について記載する書類です。
所属団体がなくても空欄にはせずに「該当なし」と記載しましょう。

⑯主要取引金融機関名(様式第20号の3)
主要な取引金融機関を記載する書類です。許可要件の1つである財産的基礎の確認書類として金融機関の残高証明書を提示する場合は、同一の金融機関を記載してください。

⑰常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書(様式第7号)
経営業務の管理責任者として選任する人の基礎情報、その人が経営経験を有していることと現在常勤役員等の立場であることを確認する書類です。

⑱常勤役員等略歴書(様式第7号 別紙)
経営業務の管理責任者として選任する人の職歴をすべて記載する書類です。特に建設業に関する職歴は漏れのないように記載します。賞罰がなければ「なし」と記載し、空欄のままにしないよう注意しましょう。

⑲専任技術者証明書(様式第8号)
各営業所に配置する専任技術者について担当工事や資格区分などを記載する書類です。
新規申請の時だけでなく、業種担当変更や専任技術者の追加・削除、配置営業所変更の時にも提出します。

⑳国家資格の証書(写し)または監理技術者資格者証(写し)
専任技術者の要件を資格で証明する場合は、写しを添付します。
㉑卒業証明書(原本)または卒業証書(写し)
指定学科を卒業している場合は、必要な実務経験期間を短縮できるので卒業証明書または卒業証書を添付します。
㉒実務経験証明書(様式第9号)
専任技術者の要件を実務経験で証明する場合に経験内容と期間・年数を記載する書類です。

㉓指導監督的実務経験証明書(様式第10号)
指定業種を除く特定建設業許可で指導監督的な実務経験を証明する時に必要な書類です。
元請として請負金額4,500万円以上の工事で指導監督的実務経験が2年以上あることを記載します。

㉔許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(様式第12号)
様式第1号 別紙1「役員等の一覧表」に記載した役員等全員分を作成します。個人の場合は本人分のみです。

㉕令3条に定める使用人の調書(様式第13号)
様式第11号「建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表」に記載した令3条使用人についての調書です。

㉖登記されていないことの証明書
成年後見人等として登記されていないことを証明する書類です。法務局で取得します。
発行3カ月以内のものを提出しなければなりません。
㉗身分証明書
禁治産または準禁治産の宣告の通知、破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないことを証明する書類です。本籍地を所管する市区町村の役所で取得します。発行3カ月以内のものを提出しなければなりません。
㉘株主(出資者)調書(様式第14号)
株主についての調書です。法人の株主も記載します。

㉙商業登記簿謄本
発行3カ月以内の原本を提出します。
㉚納税証明書
府税事務所で取得する法人事業税(個人事業税)の納税証明書です。発行3カ月以内の原本を提出します。
設立後第1期決算が未確定の場合は、納税証明書に代えて法人設立等申告書を提出します。
㉛営業所概要書(府規則第1号)
様式第1号 別紙2「営業所一覧表」に記載した主たる営業所、従たる営業所の概要を確認する書類です。
建物全景、事務所入口、事務所の内部の写真を貼付します。

申請するときは申請書類を閲覧書類と閲覧不可書類に分けて綴じる
上記の申請書類一式は閲覧書類と閲覧不可書類に分け、それぞれに以下の表紙を付けて正本・副本を提出します。
その後、許可要件を満たしていることを証明する確認書類を窓口で提示し、チェックを受けます。
※社会保険や雇用保険の加入の確認書類は提出が必要です。
閲覧書類表紙

閲覧不可書類表紙

最後に
建設業許可の申請書類は種類がたくさんあり、書類によっては書き方がわかりにくいと思われるかもしれません。
しかし、書類作成ということだけであれば、はじめての方でも手引きを見ながら慎重に時間をかけて作成すれば、なんとか仕上げることはできるでしょう。
書類作成も大事ですが、より重要なことは、許可要件や業種、申請区分に対しての的確な判断と言えるでしょう。
これができなければ、必要な証明書類を収集するのに膨大な時間がかかったり、最悪の場合、許可を取得することができないといったことにもなりかねません。
許可取得までの時間短縮や許可取得の確実性を考えるのであれば、専門家に相談する方が良いでしょう。
![]() | この記事は行政書士が執筆・監修しています。 アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ) 本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。 行政書士の詳しいプロフィールはこちら |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
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