「建設業許可の申請にどのくらいの書類が必要か知りたい」
そんな方に向けて、少しでも申請のイメージをつかんでもらえるよう必要書類についてまとめています。
建設業許可は要件を満たしているかどうかの判断が難しい上に、必要書類も膨大なので自力で進めていくのが不安という方も多いでしょう。
法定様式を中心に書類ごとのポイントがわかるように解説しています。
本記事は大阪府のルールに沿った内容にしています。
書類作成は都道府県によってルール異なるので、他府県で申請する際はご注意ください。
▼目次
4.最後に
申請書類は法定の様式と公的書類等をあわせると約30種類必要
申請書類は建設業法施行規則に定められた法定の様式が中心になります。
新規・更新等の申請区分、個人・法人の事業形態によって必要な書類が異なるので、注意しましょう。
以下、法人が新規申請する場合の申請書類一覧です。
提出した書類のうち、閲覧書類は許可後、都道府県窓口でだれでも閲覧できることになります。
閲覧書類:①~⑯(④は除く)
非閲覧書類:⑰~㉛
書類名 | 様式 | 備考 |
第1号 | | |
第1号 別紙1 | 個人の場合は不要 | |
第1号 別紙2(1) | 更新申請は「別紙2(2)」 | |
| | |
第1号 別紙4 | | |
第2号 | | |
第3号 | | |
第4号 | | |
第6号 | | |
第7の3 | | |
第11号 | 支店等がある場合のみ | |
第15~17の3 | 個人の場合は第18号・19号 | |
| 個人の場合は不要 | |
第20号 | | |
第20号の2 | | |
第20号の3 | | |
第7号 | 役員+補佐の場合は別書類 | |
第7号 別紙 | 役員+補佐の場合は別書類 | |
第8号 | | |
| | |
| | |
第9号 | | |
第10号 | 特定建設業で経験証明する場合のみ | |
第12号 | 役員、株主等の分が必要 | |
第13号 | 支店等がある場合のみ | |
| 役員全員分が必要 | |
| 役員全員分が必要 | |
第14号 | 個人の場合は不要 | |
| 法人と支配人登記の個人のみ | |
| 府税事務所発行のもの | |
府規則第1号 | |
①建設業許可申請書(様式第1号)
申請区分や許可を受けたい業種、申請者の基礎情報等を記載する重要な書類です。
細かな記載ルールがあるので、記載例を見ながら間違いのないように作成しましょう。
新規以外の申請でも必ず必要な書類です。
記載例は別記事で詳しく解説しています。
②役員等の一覧表(様式第1号 別紙1)
法人の役員(取締役・業務を執行する社員・理事・執行役)、株主等を記載する書類です。
常勤、非常勤に関わらず記載します。
書き方は別記事で詳しく解説しています。
③営業所一覧表(様式第1号 別紙2(1))
主たる営業所と従たる営業所を記載する書類です。
前提として、建設業法上の営業所にあたるかどうかを正しく判断しなければなりません。
主たる営業所以外に営業所にあたる事務所があるのであれば、従たる営業所に該当し、令3条使用人(いわゆる支店長や営業所長)を置かなければなりません。
また、従たる営業所の所在地が主たる営業所と異なる都道府県の場合は、大臣許可になります。
書き方は別記事で詳しく解説しています。
④大阪府手数料(POS)納付用連絡票
大阪府に申請手数料を納付する時に使用する用紙です。
納付窓口で手数料を支払うと、右上に支払い済であることがわかるように印字されます。
支払後に申請窓口に提出します。
⑤専任技術者一覧表(様式第1号 別紙4)
営業所ごとに配置するすべての専任技術者を記載する書類です。
専任技術者の氏名と業種・有資格コードを間違わないように記載します。
書き方は別記事で詳しく解説しています。
⑥工事経歴書(様式第2号)
直近年度の工事実績を業種ごと記載します。
はじめて作成するときは記載ルールが難しく感じるかもしれません。
別記事で書き方を詳しく解説していますので、参考にしてください。
⑦直前3年の各事業年度における工事施工金額
直前3年分の完成工事高を業種ごとに記載する書類です。
業種ごとに元請(公共・民間)、下請の区別も必要です。
直前年度の業種別施工金額は「⑥工事経歴書」の請負代金合計と一致しなければなりません。
⑧使用人数(様式第4号)
営業所ごとの使用人数を記載する書類です。
専任技術者の要件を満たす者とそれ以外の者の人数を記載します。
常勤であれば人数に含めます(役員や事業主本人も)。
⑨誓約書(様式第6号)
法人の役員等、令3条使用人等が欠格要件に該当していないことを誓約する書類です。
提出後の調査の結果、対象者が1人でも欠格要件に該当していることが判明した場合は、虚偽の申請をしたことになりますのでご注意ください。
⑩健康保険等の加入状況(様式第7の3)
営業所ごとに健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を記載する書類です。
対象となる常勤の人数と保険の加入状況(適用事業所・適用除外・一括適用)を記載します。
加入確認書類として、直近分の健康保険・厚生年金標準報酬決定通知書や労働保険概算・確定保険料申告書及び領収済通知書を添付します。
⑪建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第11号)
令3条使用人がいる場合のみ提出が必要な書類です。
支店を設置する場合と個人事業主に支配人がいる場合が該当します。
⑫財務諸表(様式第15号、16号、17号、17号の2、17号の3)※個人は18号、19号
建設業法に定められている貸借対照表、損益計算書・完成工事原価報告書、株主資本等変動計算書、注記表、附属明細表です。
附属明細表は資本金1億円超または負債合計200億円以上の株式会社のみ提出必要な書類です。
個人の場合は、貸借対照表と損益計算書のみです。
注記表について別記事で詳しく解説しているのであわせてご確認ください。
⑬定款(写し)
会社設立時の最も重要な書類です。
定款の事業目的に、許可を受けたい業種についての記載がなければ、事業目的の変更をした上で登記しなければなりません。
「建築工事」「土木工事」といった包括的な記載にして全29業種カバーすることが可能です。
また、許可申請時に定款変更が間に合わなくても、次回の決算変更届までに完了させる旨の念書を提出することで許可申請の受付はしてもらえます。
⑭営業の沿革(様式第20号)
創業以後の沿革を記載する書類です。
建設業以外の事業も含めて事業開始の時から記載します。
注意点としては、設立時の資本金を記載すること(法人の場合)と記載すべき内容がなくても空欄にはせずに「該当なし」と記載することです。
⑮所属建設業団体(様式第20号の2)
所属する建設業団体について記載する書類です。
所属団体がなくても空欄にはせずに「該当なし」と記載しましょう。
⑯主要取引金融機関名(様式第20号の3)
主要な取引金融機関を記載する書類です。
許可要件の1つである財産的基礎の確認書類として金融機関の残高証明書を提示する場合は、同一の金融機関を記載してください。
⑰常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書(様式第7号)
経営業務の管理責任者として選任する人の基礎情報、その人が経営経験を有していることと現在常勤役員等の立場であることを確認する書類です。
別記事で書き方を詳しく解説していますので、参考にしてください。
⑱常勤役員等略歴書(様式第7号 別紙)
経営業務の管理責任者として選任する人の職歴をすべて記載する書類です。
特に建設業に関する職歴は漏れのないように記載します。
賞罰がなければ「なし」と記載し、空欄のままにしないよう注意しましょう。
⑲専任技術者証明書(様式第8号)
各営業所に配置する専任技術者について担当工事や資格区分などを記載する書類です。
新規申請の時だけでなく、業種担当変更や専任技術者の追加・削除、配置営業所変更の時にも提出します。
⑳国家資格の証書(写し)または監理技術者資格者証(写し)
専任技術者の要件を資格で証明する場合は、写しを添付します。
㉑卒業証明書(原本)または卒業証書(写し)
指定学科を卒業している場合は、必要な実務経験期間を短縮できるので卒業証明書または卒業証書を添付します。
㉒実務経験証明書(様式第9号)
専任技術者の要件を実務経験で証明する場合に経験内容と期間・年数を記載する書類です。
別記事で書き方を詳しく解説していますので、参考にしてください。
㉓指導監督的実務経験証明書(様式第10号)
指定業種を除く特定建設業許可で指導監督的な実務経験を証明する時に必要な書類です。
元請として請負金額4,500万円以上の工事で指導監督的実務経験が2年以上あることを記載します。
別記事で書き方を詳しく解説していますので、参考にしてください。
㉔許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(様式第12号)
様式第1号 別紙1「役員等の一覧表」に記載した役員等全員分を作成します。個人の場合は本人分のみです。
㉕令3条に定める使用人の調書(様式第13号)
様式第11号「建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表」に記載した令3条使用人についての調書です。
㉖登記されていないことの証明書
成年後見人等として登記されていないことを証明する書類です。法務局で取得します。
発行3カ月以内のものを提出しなければなりません。
㉗身分証明書
禁治産または準禁治産の宣告の通知、破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないことを証明する書類です。本籍地を所管する市区町村の役所で取得します。発行3カ月以内のものを提出しなければなりません。
㉘株主(出資者)調書(様式第14号)
株主についての調書です。法人の株主も記載します。
㉙商業登記簿謄本
発行3カ月以内の原本を提出します。
㉚納税証明書
府税事務所で取得する法人事業税(個人事業税)の納税証明書です。
発行3カ月以内の原本を提出します。
設立後第1期決算が未確定の場合は、納税証明書に代えて法人設立等申告書を提出します。
㉛営業所概要書(府規則第1号)
様式第1号 別紙2「営業所一覧表」に記載した主たる営業所、従たる営業所の概要を確認する書類です。
建物全景、事務所入口、事務所の内部の写真を貼付します。
申請するときは申請書類を閲覧書類と閲覧不可書類に分けて綴じる
上記の申請書類一式は閲覧書類と閲覧不可書類に分け、それぞれに以下の表紙を付けて正本・副本を提出します。
ホッチキス止めやひも綴じはしないようにしてください。
閲覧書類表紙
閲覧不可書類表紙
許可要件を満たしていることを確認できる資料も必要
閲覧と非閲覧に分け提出する申請書類とは別に、許可要件の確認資料を窓口で提示しなければなりません。
大臣許可の近畿地方整備局や大阪府以外の都道府県では、提示でなく提出が必要なこともあるので注意してください。
●経営業務の管理責任者に関する確認資料
【経営経験】
5年以上の建設業経営経験を証明する資料として、該当期間の謄本や確定申告書類、工事請負契約書(注文書、請求書も可)等が必要です。
【常勤性】
本店や主たる営業所に常勤していることを証明する資料として、健康保険証や標準報酬決定通知書等が必要です。
●専任技術者に関する確認資料
【実務経験】
資格ではなく、実務経験で専任技術者になる場合は、経験を証明する資料として該当期間の工事請負契約書(注文書、請求書も可)が必要です。
【常勤性】
営業所に常勤していることを証明する資料として、健康保険証や標準報酬決定通知書等が必要です。
●財産要件に関する確認資料
500万円以上の自己資本があることを証明する書類として、直近の確定申告書・決算報告書が必要です。
500万円以上の預金があることを証明する場合は、預金残高証明書が必要です。
最後に
建設業許可の申請書類は種類が多く、書類によっては書き方がわかりにくいものもあり、作成に労力がかかります。
しかし、はじめての方でも手引きを見ながら時間をかければ、なんとか仕上げることはできるでしょう。
書類を作成する以前に、許可要件・業種・申請区分を的確に判断することも重要です。
誤った判断をすると、必要な証明書類を収集するのに膨大な時間がかかったり、最悪の場合、許可を取得することができないといったことにもなりかねません。
許可取得までの時間短縮や許可取得の確実性を考えるのであれば、専門家に相談する方が良いでしょう。
この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。 建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、建設キャリアアップシステムをサポート。 |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
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