「産業廃棄物収集運搬の許可を取って、業務の幅を広げたい」
解体工事、リフォーム工事等に携わっている建設業者や不用品回収等を行う便利屋であれば必ずといっていいほど考えることかと思います。
しかし、いざ許可を取るとなっても、何から手を付ければよいのかわからないという事が多いのではないでしょうか。
本記事では大阪府の産業廃棄物収集運搬許可(普通)を取るにあたって、必要な知識や要件、書類を詳しく解説しています。
ぜひご参考にしていただければと思います。
▼目次
(2)欠格要件に該当しないこと
(3)運搬車両・容器があること
(4)経理的基礎があること
5.最後に
収集運搬業務の内容を整理する
許可の要件等よりも先に、どのような立場でどこからどこに何を運ぶのか、といった根本的な事から整理しておく必要があります。
場合によっては、そもそも許可が不要だったり、間違った内容の許可を取ってしまうことがあるからです。
◎どのような立場で収集運搬に関わるのか
産業廃棄物を処理する責任は排出事業者(建設工事であれば元請)にあります。
排出事業者が自ら収集・運搬する場合は、許可が必要ありません。
下請業者が排出事業者から委託を受けて収集・運搬する場合に許可が必要になります。
どのような立場で依頼を受けるかがポイントになります。
◎産業廃棄物をどこで積み込み、どこに運ぶのか
大阪府で産業廃棄物を積み込み、大阪府内の中間処理場または最終処分場に運ぶのであれば、大阪府の許可を受ければ問題ありません。
しかし、大阪府で積み込み、奈良県に運ぶような場合は大阪府と奈良県それぞれの許可が必要になります。
都道府県をまたぐ場合はそれぞれの都道府県で許可を受けなければならないのです。
業務のエリアをどのように設定するかによって申請内容が変わってきます。
◎どの種類(品目)の産業廃棄物を運ぶのか
産業廃棄物は全部で20種類(品目)あり、運ぶ予定の種類(品目)をあらかじめ決定し、許可を取ります。
注意点としては、排出される状況によって廃棄物(ゴミ)の扱いが変わることです。
例えば、建設現場や製紙工場で発生した「紙くず」は産業廃棄物になりますが、一般的なオフィスで発生した「紙くず」は事業系一般廃棄物になります。
この場合、産業廃棄物収集運搬の許可を持っていても運ぶことができません。
また、運ぶ種類(品目)によって、運搬車両に制限があったり、運搬容器が必要になったりする点にも注意が必要です。
建設業者であれば、「廃プラスチック類」「紙くず」「木くず」「繊維くず」「ゴムくず」「金属くず」「ガラスくず」「がれき類」「汚泥」あたりを押さえておけばよいでしょう。
許可要件を確認し、準備する
産業廃棄物収集運搬許可の要件は、それほど厳しくありません。
以下の4点が求められます。
■ 産業廃棄物に関する知識があること
■ 欠格要件に該当しないこと
■ 運搬車両・容器があること
■ 経理的基礎があること
財政能力については、都道府県によって判断が異なるので注意しましょう。
◎産業廃棄物に関する知識があること
日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)による講習会を修了することで、産業廃棄物収集運搬の許可に必要な知識を有すると認められます。
法人であれば、代表者や役員、個人であれば本人が対象となります。
講習会はオンラインによる講義を受講し、予約した会場で修了試験を受けるパターンと会場で2日間の講義を受け、最後に修了試験を受けるパターンがあります。
受講料はオンライン形式が25,300円、対面形式が29,700円となっています。
2、3ヶ月先の予約がすぐに埋まってしまうので、こまめに空き状況を確認しておかないとなかなか予約が取れません。
許可の取得を考えた時点で、以下リンクから空き状況を確認し、早めに予約するようにしましょう。修了証がなければ許可申請できません。
講習会・研修会 | 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター (jwnet.or.jp)
◎欠格要件に該当しないこと
申請者(法人の役員や株主、政令使用人も含む)が、以下のいずれかに該当している場合、許可を受けることができません。
・成年後見人、被保佐人
・破産者で復権を得ない者
・暴力団関係者(暴力団員、暴力団員を辞めてから5年を経過しない者、暴力団員がその事業活動を支配している法人)
・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・環境関連の法律(廃棄物処理法、浄化槽法など)に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・一般廃棄物収集運搬・処分業の許可・産業廃棄物収集運搬・処分業の許可(特別管理産業廃棄物収集運搬業・処分業を含む)浄化槽法による許可のいずれかを取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
・その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
◎運搬車両・容器があること
ダンプ車等の運搬車両、駐車場が必要です。
車両は車検証のコピーで使用権限があることを証明しなければなりません。
使用権限を証明できればリース車でも許可を取ることは可能です。
深ボディダンプのような土砂禁止車両では「がれき類」等を運ぶことができないので注意しましょう。
また、「水銀使用製品」(蛍光灯)を入れるランプケースや「汚泥」を入れるオープンドラム缶等、産業廃棄物の種類(品目)に適した運搬容器も必要になります。
◎経理的基礎があること
産業廃棄物収集運搬業を的確に継続的に行うことができるだけの財政的な能力が求められます。
経営状態が悪いと、産業廃棄物の処分コストを免れるために不法投棄等に走る可能性が疑われるのでしょう。
「少なくとも債務超過の状態でなく、かつ、持続的な経営の見込み又は経営の改善の見込みがある」こととされています。
具体的な基準は都道府県によって異なります。
大阪府では、法人・個人ともに直近決算で債務超過の場合は、追加資料の提出が必要になります。
経常利益が赤字というだけであれば、特に追加資料の提出等は不要です。
基準が厳しい都道府県では、経常利益の赤字に対しても追加資料の提出が必要になります。
直近決算で債務超過、直近3年平均の経常利益が赤字という状態だと許可が下りません。
許可申請に必要な書類を収集・作成する
必要書類は法定書類と公的書類あわせて20~25種類の書類が必要です。
個人と法人で準備する書類が異なります。
産業廃棄物収集運搬許可の申請は、法定書類の中の事業計画に関する書類(様式第6号の2)の作成が肝になります。
(産業廃棄物収集運搬許可 新規申請 申請書類一覧)
申請先、受付時間、申請手数料等
●大阪府の産業廃棄物収集運搬許可の申請手続きについて
【申請先】
大阪府庁咲州庁舎21階「環境農林水産部 循環型社会推進室産業廃棄物指導課」
【受付時間】
9時~11時、13時~16時
※午前・午後の各1枠のみ予約枠があります。
【申請手数料】
新規許可申請:81,000円、更新許可申請:73,000円、変更許可申請:71,000円
※許可の有効期間は5年です。
※変更許可申請とは、扱う種類(品目)を変更する場合等の手続きです。
※咲州庁舎1階の支払窓口で納付します。
【申請書類】
正本・副本の各1部提出
※許可証を郵送してもらう場合は、レターパックも一緒に渡します。
【受付、審査】
標準処理期間60日間
※申請時の窓口審査は1時間ほどかかります。
最後に
産業廃棄物収集運搬許可は、講習の予約が数ヶ月先になったり、標準処理期間が約2ヶ月(都道府県によっては約3ヶ月)だったりと、動き始めてから許可が下りるまでの日数がかかります。
許可が必要な時期から逆算して、講習予約や事業計画作成等、できることから早めに準備を進めるようにしましょう。
また、産業廃棄物収集運搬許可には多くのローカルルールが存在するので、複数の都道府県で許可が必要な場合は、専門の行政書士に相談する方が安心です。
この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。 ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。 建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、 建設キャリアアップシステムをサポート。 |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
ぜひお気軽にご相談ください。ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。
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