監理技術者資格者証とは?取得メリット・申請方法・講習の全手順をわかりやすく解説
- Ryuji Hemmi

- 10月19日
- 読了時間: 6分
更新日:10月20日

建設業許可を取得した後も、監理技術者の配置や資格証の管理など、実務上の手続きは数多くあります。
特に「監理技術者資格者証」は、工事現場での携帯義務がある重要な証明書であり、講習修了との関係も誤解されやすいポイントです。
本記事では、監理技術者資格者証の役割・取得メリット・申請方法・講習との違いを整理し、よくある疑問をすべて解消します。
「そもそも資格者証は必要なのか?」「講習との関係は?」と感じている方は、ぜひご参考ください。
💡この記事のポイント ●監理技術者資格者証は、監理技術者としての身分証明書であり現場携帯が義務 ●特定建設業で下請4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)発注時に必要 ●取得には「1級資格」または「指導監督的実務経験」が必須 ●監理技術者講習を修了していることが条件(有効期間5年) ●経審では1級資格者に加えて「資格者証+講習修了」で加点あり ●オンライン申請で約10日、書面申請で約20日で交付 |
▼目次
6.最後に

監理技術者資格者証とは?制度の目的と位置付け
「監理技術者資格者証」とは、特定建設業者が工事現場に配置する監理技術者の資格を証明する身分証明書です。
建設業法第26条2項では、5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)の下請契約を行う工事において、監理技術者の配置が義務付けられています。
監理技術者資格者証を携帯していないと、監理技術者として現場に立ち入ることができません。
単なる「資格証」ではなく、現場管理上の法的必須アイテムです。
“第二十六条(主任技術者及び監理技術者の設置等) 2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない” 〈建設業法より抜粋〉 |
資格者証が必要な理由と取得メリット
①専任技術者・監理技術者の要件を証明できる
監理技術者資格者証を持っていれば、建設業許可や入札参加資格申請時に「技術者の要件証明書」として利用できます。
特に1級資格を持つ証明書類として認められているため、転職・異動時にも有効です。
② 経審(技術力Z点)で加点される
経営事項審査(経審)では、技術職員の人数と保有資格に応じて点数が決まります。
監理技術者資格者証を保有し、監理技術者講習を修了していれば、通常の1級資格よりも1点高く加点されます。
経審の点数について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
③ 信頼性・現場運営力の向上
発注者や元請に対し、法令遵守・安全管理が行き届いた会社としての信頼性が高まります。
監理技術者講習修了者は、実務面でも最新の法改正・現場安全知識を身に付けていると評価されます。
監理技術者資格者証の取得要件と申請方法
◎対象者
以下のいずれかに該当する人が取得できます。
・1級資格保有者
1級施工管理技士、1級建築士など
・実務経験ルート
10年以上の実務経験または2級相当の資格を保有し、2年以上の「指導監督的実務経験(4,500万円以上の元請工事での監督経験)」がある人
※指定7業種(土木・建築・電気工事など)は実務経験では認められません。

◎申請方法(2通り)
【インターネット申請】
一般社団法人建設業技術者センターの専用サイトで入力・書類添付
手数料:7,600円(クレジット決済)
交付まで:約10日
【書面申請(郵送・窓口)】
申請書類を印刷・記入し、証拠書類とともに提出
手数料:7,600円(振込用紙支払い)
交付まで:約20日(実務経験ルートは約30日)
◎必要書類一覧
・資格者証交付申請書(写真付)
・建設業許可通知書または許可証明書
・雇用関係を証明する書類(健康保険証、特別徴収通知など)
・手数料払込証明書
・送付用封筒(簡易書留)
・本人確認書類(免許証等)
・監理技術者講習修了証または修了履歴ラベルのコピー
※平成27年度以前の1級(土木・建築)施工管理技士、技術士(建設部門)(総合技術監理部門(建設))で申請する場合は、以下書類も必要です。
・登録解体工事講習修了証または実務経験証明書
※実務経験で申請する場合は、以下書類も必要です。
・実務経験証明書
・合格証明書、卒業証明書 ※必要な場合のみ
・証拠書類(請負契約書や注文書・請書)
監理技術者講習との関係
講習受講料はネット申込で税込9,500円。
講習が350分、修了試験が30分というプログラムになっており、オンライン受講・会場受講を選択できます。修了履歴ラベルは約1週間で届きます。
資格者証の交付と講習修了はどちらを先にしても構いません。
ただし、現場で監理技術者として配置されるためには、両方が有効であることが必要です。
有効期間 | 管理のポイント | |
監理技術者資格者証 | 発行日から5年間 | 現場で常時携帯義務あり |
監理技術者講習 | 受講翌年1月1日から5年間 | 更新漏れに注意 |
監理技術者資格者証(表)見本

監理技術者資格者証(裏)見本

よくある質問(FAQ)

Q1. 有効期限が切れた資格者証でも申請に使える?
→ 専任技術者証明として認める自治体もありますが、都道府県によって扱いが異なります。
Q2. 転職した場合、再申請が必要?
→ 雇用先が変わるため、原則再申請が必要です(雇用関係書類が変わるため)。
Q3. 紛失・破損した場合は?
→ 再交付申請が可能です。再交付にも手数料7,600円が必要です。
最後に
監理技術者資格者証は、特定建設業の信頼と責任を示す象徴的な証明書です。
講習修了と資格証の両方を正しく管理することで、現場配置・経審加点・法令遵守すべてに良い影響を与えます。
建設業者として持続的に受注力・信頼力を高めるためにも、ぜひこの機会に資格者証と講習の状態を点検しておきましょう。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
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