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  • 執筆者の写真アールエム行政書士事務所 STAFF

「電気工事業」を営む上で注意すべきこと|電気工事業登録等(登録・届出・通知)とは?

更新日:7月9日


建設業許可代行/電気工事業登録

建設業許可業種の中で「電気工事業」は特殊な業種の1つと言えます。

通常、建設業許可を取得すれば税込500万円以上の工事を請け負うことができるようになり、元請・下請関係なく、工事の施工に関わっていくことができます。


しかし、「電気工事業」の場合は、建設業許可を取得しただけでは十分とは言えません。

建設業法だけではなく、電気工事士法・電気工事業法という他の法律の規制も受けることになるのです。

電気工事の欠陥による災害の危険性を考えると、他の工事以上に安全の担保が必要なので当然のことかもしれません。


電気工事業法・電気工事士法が何を規制しているのか、「電気工事業」を営む上で具体的に何を求められるのか。

この記事を読むと、「電気工事業」の全体像と必要な手続き等がわかります。

ぜひご参考にしていただければと思います。



電気工事士法・電気工事業法における「電気工事」と「電気工事業者」


電気工事業に必要な手続きである電気工事業登録等を確認する前に、電気工事士法と電気工事業法の適用を受ける「電気工事」の範囲を正確に把握しておかなければなりません。


◎「電気工事」とは?

電気工事士法と電気工事業法の適用を受ける「電気工事」とは、一般用電気工作物または自家用電気工作物を設置、変更する工事(軽微な作業も含む)をいいます。


一般用電気工作物…一般家庭、小規模な店舗等の屋内配電設備等

自家用電気工作物…工場、ビル等の需要設備(最大電力500kW未満)


「軽微な工事」および「家庭用電気機械器具の販売に付随して行う工事(使用電圧200v未満に限る)」は含まれません。


※「軽微な作業」は電気工事士でなくても従事することができます。

※「家庭用電気機械器具の販売に付随して行う工事(使用電圧200v未満に限る)」は、法の適用を受ける「電気工事」同様に電気工事士が従事する必要があります。



◎「電気工事」を行うには電気工事登録等手続きを経て「電気工事業者」になる必要がある

電気工事士法、電気工事業法上の「電気工事」に分類される以上、建設業許可の有無に関係なく「電気工事業者」としての登録等手続きを済ませておかなければなりません。


建設業許可はあくまでも500万円以上の電気工事を請け負うことができるという許可であって、電気工事業登録とは全く別物なのです。


ただし、元請として請け負い、施工はすべて下請にさせる場合や他者から依頼を受けずに行う場合、試験的・一時的に行う場合は例外的に登録等を受ける必要はありません。


「電気工事業者」の種別は以下の4つです。


①登録電気工事業者…「一般用電気工作物にかかる電気工事のみ」または「一般用電気工作物及び自家用電気工作物にかかる電気工事」を行う者(建設業許可なし)

②通知電気工事業者…「自家用電気工作物にかかる電気工事のみ」を行う者(建設業許可なし)

③みなし登録電気工事業者…「一般用電気工作物にかかる電気工事のみ」または「一般用電気工作物及び自家用電気工作物にかかる電気工事」を行う者(建設業許可あり)

④みなし通知電気工事業者…「自家用電気工作物にかかる電気工事のみ」を行う者(建設業許可あり)



電気工事業登録等の手続き、要件


どの種別の「電気工事業者」に該当するのかによって、必要な手続き、要件が異なります。登録制度の基本的な枠組みを抑えておくようにしましょう。


◎登録申請先はどこになるのか

1つの都道府県の区域内にのみ営業所を設置している場合…都道府県知事

2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設置している場合…経済産業大臣

※1つの産業保安監督部の区域内の場合は申請先が産業保安監督部長になります。


大阪府は委託先の「大阪府電気工事工業組合」が窓口になります。

大阪市北区本庄東2丁目3番38号大阪府電気工事技術会館2階 06-6225-8192

電気工事士免状交付についてもこちらで行っています。


◎電気工事業者の種別ごとの手続き

建設業許可を受けた建設業者の場合は、"みなし"業者という扱いの手続きになります。

ここでの建設業許可は電気工事業の許可である必要はありません。

別の業種の許可を受けている建設業者が電気工事登録を行う場合でも"みなし"業者の扱いになります。

電気工事業には登録、みなし登録、通知、みなし通知が必要!

◎電気工事業登録等の要件

電気工事業における登録・通知の要件は以下のとおりです。


【登録・みなし登録】

●営業所ごとに主任電気工事士が配置されていること

主任電気工事士になれるのは、「第1種電気工事士」の免状交付を受けている者、または「第2種電気工事士」の免状交付を受けた後3年以上の実務経験を有する者とされています。


●営業所ごとに法定の器具が備え付けられていること

▶一般用電気工作物

回路計(抵抗、交流電圧測定可能なもの)、絶縁抵抗計、接地抵抗計


▶自家用電気工作物

回路計(抵抗、交流電圧測定可能なもの)、絶縁抵抗計、設置抵抗計、低圧検電器、高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置

※継電器試験装置、絶縁耐力試験装置はレンタルでも差し支えありません。


●欠格要件に該当しないこと


【通知・みなし通知】

●工事責任者が配置されていること

工事責任者になれるのは、「第1種電気工事士」の免状交付を受けている者、または「認定電気工事従事者」の認定を受けている者とされています。

※「認定電気工事従事者」の場合は、経済産業省令で定められている簡易なものの施工に限られます。


●営業所ごとに法定の器具が備え付けられていること

▶自家用電気工作物

回路計(抵抗、交流電圧測定可能なもの)、絶縁抵抗計、設置抵抗計、低圧検電器、高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置

※継電器試験装置、絶縁耐力試験装置はレンタルでも差し支えありません。


●欠格要件に該当しないこと



電気工事業の建設業許可を取得する上での注意点


「電気工事」の範囲、「電気工事業者」の要件を踏まえると、建設業許可の専任技術者要件で注意すべきことが見えてきます。


◎主任電気工事士と専任技術者の必要資格は異なる

電気工事業登録の要件である主任電気工事士の必要資格は、「第1種電気工事士」「第2種電気工事士(実務経験3年)」に限られています。


一方、建設業許可における専任技術者の必要資格は、「1級電気工事施工管理技士」「2級電気工事施工管理技士」「第1種電気工事士」「第2種電気工事士(実務経験3年)」「電気主任技術者(実務経験5年)」となっています。


例えば、建設業許可を取得して電気工事登録を行おうとする会社が、「2級電気工事施工管理技士」を専任技術者とした場合は、その者は主任電気工事士を兼任することができず、もう1人別に営業所に主任電気工事士を置かなければならないということになります。


専任技術者が変わる場合などは特に注意が必要で、社内体制に意識を向けておかないと主任電気工事士になれる方がいないという事態も起こりえます。


◎電気工事士資格なしでの実務経験を証明するのは難しい

電気工事業において実務経験のみで専任技術者になるのは難しいとよく言われます。電気工事に直接従事するには電気工事士の資格が必要とされているからです。

都道府県によっては、実務経験による専任技術者を原則認めないとしているところも多く見られます。

無資格の職務経験は想定していないというスタンスなのでしょう。


しかし、電気工事士法省令にあるように電気工事士でなくても従事できる「軽微な作業」も「電気工事」とされています。「軽微な作業」を10年以上証明できるのであれば、当然に実務経験として認められるはずです。


もっと言うと、そもそも専任技術者の実務経験には、施工管理、現場監督等の経験も含まれるのが当然のように思えます。電気工事の場合だけ現場施工しか実務経験として認められないということはないはずです。

(ちなみに電気工事施工管理技士の受検資格の実務経験は、現場施工だけではなく施工管理、工事監理、現場監督等、施工に直接関わる技術上の職務経験すべてが認められます。)


「軽微な作業」や現場監督等の経験を証明できるのであれば、事前に各都道府県に相談する方が良いでしょう。

 

最後に


電気工事業という業種は専門工事27業種の中で完成工事高が1番高いにも関わらず、許可業者数自体は全国で62,505業者・27業種中11番目(令和4年3月末時点)とそれほど多くないのです。


電気工事業は建設業法はもちろん、電気工事士法や電気工事業法に基づいて安全な工事が求められています。他業種に比べて、許可取得・維持するにあたり、満たさなければならない要件や手続きが多いのも許可業者が少ない要因の1つかもしれません。


本記事でご紹介した内容も細かな部分は省略していますが、それでもすぐに理解するのは難しいかもしれません。


電気工事業を営む事業者で、建設業許可の取得、電気工事登録等でお困りの方は、建設業専門の行政書士事務所に相談してみてはいかがでしょうか。

 

当事務所では、電気工事業登録等の申請代理も承っております。


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