一括下請負(丸投げ)は禁止?|違反となるケースと外注時の注意点を解説
- Ryuji Hemmi

- 4 日前
- 読了時間: 8分

一括下請負(丸投げ)は、建設業法上、原則として禁止されています。
もっとも、実務では、どのような外注が一括下請負に当たるのか、注文する側がどこまで関与していればよいのかがわかりにくく、判断に迷うことも少なくありません。
この記事では、一括下請負の意味、違反となるケース、外注時の注意点、例外の有無、違反時のリスクをわかりやすく解説します。
💡この記事のポイント ● 一括下請負(丸投げ)は建設業法22条で禁止 ● 主任技術者・監理技術者を置かずに全部を丸投げすると違反 ● 施工体制台帳・再下請通知書などの管理体制もチェック対象 ● 違反すると監督処分・指名停止・許可取消のリスク ● 元請・下請ともに「適正な下請管理」と「技術者配置」が必須 |

▼目次
8.最後に
一括下請負(丸投げ)は原則禁止
一括下請負(丸投げ)は、建設業法上、原則として禁止されています。
元請だけでなく、下請がさらに工事を一括して他の業者に任せる場合も問題となります。
契約書の形式ではなく、工事に実質的に関与しているかどうかが重要です。もっとも、民間工事では発注者の書面承諾がある場合など、例外的に認められるケースもあります。
一括下請負(丸投げ)とは
一括下請負(丸投げ)とは、請け負った建設工事の全部または主たる部分を、自ら実質的に施工せず、そのまま他の業者に請け負わせることをいいます。
建設工事では工事の一部を専門工事業者へ外注に出すこと自体は一般的に行われています。
しかし、自らは名目上の立場にとどまり、施工計画、工程管理、品質管理、安全管理なども行わず、実質的に工事を他社へ任せきりにしている場合は、一括下請負と判断される可能性があります。
そのため、一次下請・二次下請といった関係であっても、工事への関与が乏しければ問題となり得ます。
建設業法第22条では、このような一括下請負を原則として禁止しており、元請・下請の双方が規制の対象となります。
どのような場合に一括下請負と判断されるのか
建設業法では、元請(または下請)が工事の施工に実質的に関与していない場合に一括下請負と判断されます。
以下のような場合が典型例です。
・ 工事の全部または主たる部分を自ら施工せず、丸ごと下請に任せる ・ 他の部分と独立して機能する工事を、自ら施工せずにすべて下請に任せる |
これは元請―下請だけではなく、一次下請―二次下請の関係でも同様に適用されます。
👉「実質的関与」があるかどうかが最大の判断ポイント
実質的関与とは、元請または下請が工事に主体的に関わっているかどうかを判断する基準です。
以下の①〜⑩を行わず、形式的に技術者を置いているだけでは「実質的関与なし」と判断される可能性が高いです。(※⑦〜⑩は元請にのみ求められます)
①施工計画の作成
②工程管理
③出来形・品質管理
④完成検査
⑤安全管理
⑥下請業者の指導監督
⑦発注者との協議
⑧住民説明
⑨官公庁への届出
⑩近隣との調整
👉具体的な事例
▶事例1(主たる工事を丸投げ)
照明器具入替工事(本体工事)を請け負い、本体工事のすべてを下請に任せ、天井張替え(附帯工事)のみ元請が実施する場合。
→ 主体工事をすべて任せているため、一括下請負に該当。
▶事例2(独立した建物の丸投げ)
住宅5戸の新築工事を請け負い、1戸分すべてを別業者に任せる場合。
→ 1戸が独立した工事として機能するため、一括下請負に該当。
なぜ建設業法は一括下請負を禁止しているのか
発注者は、金額だけでなく、施工能力・実績・資金力・社会的信用など様々な観点から施工業者を選定します。
しかし、契約後に元請がその工事を“まるごと別業者に丸投げ”してしまえば、発注者の判断は無意味となり、信頼を損なう結果となります。
また、一括下請負が横行すると、
●中間搾取の拡大
●現場の安全性低下
●労働条件の悪化
●施工品質の劣化
などの弊害が生じます。
さらに施工能力を持たない“名義貸し・ブローカー的業者”の増加にもつながり、社会的にも大きな問題となります。
このため、建設業法第22条で一括下請負は禁止されており、元請・下請の双方が規制の対象となります。
【参考】建設業法第22条(要点)
●元請が請負った工事を一括して他人に請け負わせることは禁止
●下請が元請から工事を一括して請け負うことも禁止
●ただし民間工事で発注者の「書面承諾」があれば例外
●書面承諾は電子方式でも可能
例外的に一括下請負が認められるケース
例外として、民間工事に限り、発注者の書面承諾があれば一括下請負が可能です(建設業法22条3項)。
ただし、
●多数の者が利用する重要な施設(共同住宅・大型商業施設・ホテルなど)は承諾しても不可
●下請間の一括(2次→3次)でも発注者の承諾が必要(元請承諾ではない)
という点に注意が必要です。
“建設業法第22条(一括下請負の禁止) 3.前2項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。” 〈建設業法より抜粋〉 |
一括下請負に違反するとどうなるか
国交省のネガティブ情報等検索サイト(https://www.mlit.go.jp/nega-inf/)をみると、一括下請負による行政処分は毎年一定数発生しています。
処分は以下のように重くなる傾向があります。
●営業停止処分(建設業法28条3項)
●技術者配置義務違反との併発
●施工体制台帳・体系図の作成義務違反の併発
元請・下請いずれも処分対象となり、入札参加停止につながるケースも少なくありません。
【実例】
(1)ある土木事業者が、元請として請け負った工事の主たる部分を自ら施工せず、一括して下請けに再請負していたとして「一括下請負」の禁止規定に違反。営業停止処分を受けた。
(2)地方公共工事を発注者から請け負った建設業者が、請負契約後すぐに別会社に丸投げし、監督技術者の配置や品質管理を実質的に行っていなかったため、処分された。
(3)ある建築工事業者が、主要構造部分の施工を自ら実行せず、全て下請会社へ丸投げしていたが、発注者の承諾も取っておらず、建設業法第22条違反と判断され、許可取消に至った。
外注時に注意したいポイント
外注時にまず注意したいのは、元請または上位下請としての役割を形式だけにしないことです。
工事を受注した以上、施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、完成確認などについて、自社が主体的に関わる必要があります。名目上だけ技術者を配置し、実際の管理をすべて他社へ任せていると、一括下請負と判断されるおそれがあります。
工事の全部や主たる部分、または独立して機能する部分をそのまま他社へ任せる形になっていないかを確認し、発注内容が実態に合っているか見直す必要があります。
さらに、施工体制台帳や施工体系図など、施工体制を示す書類を適切に整備することも重要です。
これらの書類が不十分であったり、実際の体制と食い違っていたりすると、一括下請負以外の法令違反もあわせて問題となる可能性があります。
外注を行う際は、「どこまで任せるか」だけでなく、「自社が何を行うか」まで明確にすることが、一括下請負のリスクを避けるうえで重要です。
最後に
建設業許可の取得後、「知らなかった」「慣例だった」という理由で法令違反となる事例は後を絶ちません。
一括下請負は重大な処分につながるため、元請・下請の双方が正しい理解と適正な現場管理を行うことが重要です。
特に現場での役割分担や技術者の配置は、実質的関与の有無を左右する重要ポイントです。
日常業務の中で、ルールを再確認し、違反を未然に防ぐ体制づくりを徹底していきましょう。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から50億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
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