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  • 執筆者の写真Ryuji Kanemoto

【経審完全ガイド(大阪府)】経営事項審査の必要書類を徹底解説!

更新日:3月28日


経営事項審査の必要書類

経営事項審査を受ける際、たくさんの申請書類が必要になります。

点数(P点)算出の元となる情報・実績を記載する法定様式と、その裏付けとなる添付書類・提示書類です。


申請書類の準備は慣れないうちは難しく感じると思います。

実際、手引きを読んでもわからない・できないといったご意見をよくお聞きします。


本記事では、必要な申請書類(提示書類は除く)を完全網羅し、法定様式の書き方まで詳しく解説しています。

ぜひご参考にしていただければと思います。


なお、都道府県によって細かくルールが異なるので、大阪府以外で申請する場合は各都道府県に最終確認をしていただくようお願いいたします。



▼目次



経営事項審査のことならお任せください




経営事項審査の4つの法定様式を作成する


必要事項を記入し、申請者側で作成しなければならない書類は4つの法定様式でほぼすべてです。

添付書類・提示書類は、公的機関で発行された書類等、すでにあるものがほとんどです。


少ないながらも法定様式は非常に重要な書類なので、正しく作成できるよう注意点をしっかり押さえておきましょう。


なお、申請の際、4つの法定様式がすべて揃っていなければ、受理されないという点にもご留意ください。

(大阪府の場合、添付書類が不足していたり、間違っていたとしても後からFAX等で提出可能です。)


(法定様式)

・経営規模等評価申請書・総合評定値請求書[様式第25号の14]

・工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高[様式第25号の14・別紙1]

・技術職員名簿[様式第25号の14・別紙2]

・その他の審査項目(社会性等)[様式第25号の14・別紙3]



◎「経営規模等評価申請書・総合評定値請求書」の書き方

経営規模等評価申請書・総合評定値請求書(1面)の記載例
経営規模等評価申請書・総合評定値請求書(2面)の記載例

①許可年月日

業種追加等により許可年月日の異なる許可が複数ある場合はもっとも古いものを記入します。


②審査基準日

通常は直近の決算日を記入します。当然ながら直近で決算日を迎えているにも関わらず、前決算日で審査を受けることはできません。

決算期変更を行った場合や会社設立時に新規で審査を受ける場合等は、直近の決算日ではなく、変更した決算日や会社設立日を記入することになります。


③処理の区分

決算期変更等もなく、12ヶ月ごとに決算を完結している場合は「00」と記入し、右欄は空白のままにします。

「01」は6ヶ月ごとに決算を完結している場合、「02」は決算期を変更した場合等、「03」は新規設立で最初の決算(12ヶ月満たない)を審査基準日とする場合、「04」は新規設立時に最初の決算を待たずに受審する場合(この場合は右欄「20」と記入します。)


④許可業種・受審業種

申請日時点(審査基準日時点ではありません)で取得している許可業種の箇所に一般建設業の場合は「1」、特定建設業の場合は「2」を記入します。

受審する業種の箇所に「9」を記入します。


⑤自己資本額

審査基準日の決算の自己資本額か、2期平均の自己資本額かを選択することができます。


⑥利益額

建設業という業種の特性上、年度による業績変動が大きいので、2期平均の額で申請することになっています。

営業利益に減価償却実施額を加算した額で、2期平均を計算します。


◎「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」の書き方

別紙1工事種類別完工高の記載例

①審査対象事業年度

完成工事高・元請完成工事高は、2期平均か3期平均を選択することができます。

上記は3期平均を選択した場合の年度の記入例となります。


②業種コード・工事の種類

受審する業種のコードと工事の種類を記入します。必ず「様式第25号の14」の「項番16」と一致させます。


下記の業種コード表どおり、「010:土木一式工事」を受審する場合は、続けて「011:プレストレストコンクリート構造物工事」、「050:とび・土工・コンクリート工事」を受審する場合は、続けて「051:法面処理工事」、「110:鋼構造物工事」を受審する場合は、続けて「111:鋼橋上部工事」を記入します。


【業種コード表】

業種コード表

③完成工事高・元請完成工事高

3年平均の例なので、左側の「完成工事高計算表」「元請完成工事高計算表」の箇所に前年・前々年の実績を記入し、その上に平均を記入します。右側は当期実績です。

実績がなくても必ず「0」を記入します。「その他工事」も同様です。


◎「技術職員名簿」の書き方

別紙2技術職員名簿の記載例

①氏名

審査基準日時点で在籍し、審査基準日以前6ヶ月を超える恒常的雇用関係があり、かつ、その間常勤性が認められる技術職員(主に専任技術者になりうる者)が対象となります。人数は「様式第25号の14」の「項番19」と一致させます。


②生年月日・満年齢

審査基準日時点での満年齢を記入します。


上記の例で審査基準日を令和5年7月31日とした場合、4番の方は7月31日時点で35歳となり、3番の方は34歳のままとなります。満年齢の起算日は生まれた日となるため、誕生日の前日に歳をとります。ですので、4番の方は誕生日(8月1日)の前日に35歳となります。


③業種コード・有資格区分コード等

受審する業種の中から1人につき2業種まで申請が可能です。上記のように1つの資格で2業種選択することもできますし、2つの資格に対応する2つの業種を選択することもできます。


1級資格保有者が監理技術者講習を受講している場合は、講習受講欄に「1」を記入し、加点評価を受けることができます。なお、有資格区分コードは手引きを参照してください。(大阪府HP


◎「その他の審査項目(社会性等)」の書き方

別紙3社会性等の書き方

別紙3はシンプルな書類で、各項目ごとに該当するかしないかを記入する箇所がほとんどです。

記入自体は難しくありません。該当項目の添付書類を漏れなく揃えられるかどうかが重要です。



法定様式ごとに添付書類を準備する


法定様式に記載した内容を証明するためには、定められた書類を添付し提出しなければなりません。

特に「技術職員名簿[様式第25号の14・別紙2]」の添付書類の1つである恒常的雇用関係及び常勤性の証明資料は間違えやすいので注意しましょう。


◎「経営規模等評価申請書・総合評定値請求書」に添付する書類


・経営状況分析結果通知書…経営事項審査を受審する前に民間分析機関に経営状況の分析を依頼します。


経営状況分析結果通知書のサンプル

登録分析機関名、登録番号、資本金、自己資本、営業利益の箇所が「様式第25号の14」の「項番20」「項番7」「項番17」「項番18」と一致します。



◎「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」に添付する書類


・工事種類別完成工事高付表[国交省通知様式第1号]…受審しない業種の工事実績を受審する業種に算入(上乗せ)できる制度があります。算入する場合は、下記のような付表が必要になります。


受審予定ではない「防水工事」の実績を「塗装工事」に算入する事例です。

上記の「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」の書き方と合わせて確認してください。


工事種類別完成工事高付表

・工事経歴書[様式第2号]、工事請負契約書等…基本的には決算変更届に添付した工事経歴書と同じものを添付します。工事経歴書記載の上位3件の工事請負契約書や請求書等を合わせて添付します。


工事経歴書の記載方法については以下のリンク記事で詳しく解説していますのであわせてご確認ください。


なお、経営事項審査をはじめて受審する場合や新たな受審業種を追加する場合は、工事高の審査対象事業年度を2年にする場合は2年分、3年にする場合は3年分の工事経歴書を準備しなければなりません。



◎「技術職員名簿」に添付する書類


・恒常的雇用関係および常勤性の確認書類…年齢、立場や審査基準日によって用意する書類が異なります。

以下①~③を揃えて提出しなければなりません。


①恒常的雇用関係の証明書類(その1)

A:「標準報酬決定通知書」+「健康保険被保険者証」

※75歳以上の場合は「70 歳以上被用者該当および標準報酬月額相当額のお知らせ」+「後期高齢者医療被保険者証」

※個人事業主の場合は「国民健康保険被保険者証」+直近の「住民税課税証明」

B:「住民税特別徴収税額決定・変更通知書(会社用・本人用)」

C:「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(本人交付分)」

 

A~Bのいずれかを提出します。


Aの「標準報酬決定通知書」とBの「住民税特別徴収税額決定・変更通知書」の確認月が少しわかりづらいので、下記の図解をご確認ください。

標準報酬決定通知書・住民税特別徴収確認月の見方

令和5年7月31日が審査基準日の場合、令和5年1月30日~令和5年7月31日の間、恒常的な雇用関係にあったことを証明しなければなりません。


標準報酬決定通知書は4月~6月の報酬をもとに7月に標準報酬額を定時決定、9月~翌年8月まで適用となっているので、令和4年度発行のものを提出すれば、証明することができます。


一方、住民税特別徴収税額決定・変更通知書は、住民税の年度が6月~翌年5月のため令和4年度のものだけでは、令和5年6月~7月31日までの恒常的雇用関係を証明することができません。令和5年度のものも提出する必要があります。


②恒常的雇用関係の証明書類(その2)

法人:決算書の中の「役員報酬手当等及び人件費の内訳」、「一般管理費及び工事原価報告書(報酬・給与・賃金額がわかるもの」

個人:「青色申告決算書」または「確定申告書の収支内訳書・第2表」


③常勤性の確認書類

「源泉徴収簿」または「賃金台帳」(審査基準日以前6ヶ月と1日分が確認できる期間分)

※個人事業主のみ不要

※役員報酬額が月額10万円未満の場合は、直近の「住民税課税証明書」も追加書類として必要

※出向社員の場合、「出向協定書」および「出向辞令書」も追加書類として必要


・免状、実務経験申立書[府様式第2号]…名簿に記載した資格または実務経験を証明します。

資格の場合は免状等コピー、実務経験の場合は下記大阪府指定の様式の「実務経験申立書」を提出します。

実務経験で登録されている専任技術者の場合は許可申請時の副本の「実務経験証明書」コピーを提出します。


実務経験申立書

・継続雇用制度の適用を受けている技術職員名簿[国交省通知様式第3号]、就業規則…技術職員のうち、定年後も継続雇用している者(65歳以下)がいる場合は加点対象となります。


下記の名簿に加え、常時10人以上の労働者を使用する会社の場合は労基署受付印のある就業規則も提出が必要になります。


継続雇用

◎「その他の審査項目(社会性等)」に添付する書類


・【項番60】監査証明書、会計参与報告書、経理処理の適正を確認した旨の書類[国交省通知様式第2号]…会計監査人設置会社は「監査証明書」のコピー、会計参与設置会社は「会計参与報告書」のコピー、建設業に従事する社内経理実務責任者(公認会計士、会計士補、税理士、1級建設業経理士)が適正に経理処理を確認した場合は、下記の「経理処理の適正を確認した旨の書類」を提出します。


経理処理

・【項番61、62】公認会計士等および2級建設業経理士の合格者に関する書類…技術職員同様に恒常的雇用関係、常勤性を確認できる書類を提出します。合格証等は提示書類になり、提出の必要はありません。


【項番49】CPD単位取得に係る受講等証明書…「技術職員名簿(別紙2)」に記載していない技術者も含めてCPD単位取得数を証明します。


・【項番50】作業員名簿、建設キャリアアップシステム能力評価(レベル判定)結果通知書…審査基準日以前3年以内に行われた工事における「作業員名簿」と「建設キャリアアップシステム能力評価(レベル判定)結果通知書」を提出します。


・【項番64】建設機械の保有状況に関する証明書類…所有およびリースの詳細を記入した「建設機械の保有状況一覧表[府様式第3号]」とそれを裏付ける証明書類を提出します。


①建設機械保有状況一覧表[府様式第3号]

建設機械保有状況一覧

②建設機械が正常稼働することを確認できる書類

移動式クレーンは「移動式クレーン検査証」、ダンプは「自動車検査証」、他は「特定自主検査記録表」を提出します。「特定自主検査記録表」は審査基準日1年以内の検査分が必要です。


③所有・リース状況確認書類

所有の場合は「売買契約書」または「譲渡契約書」、リースの場合は審査基準日から1年7ヶ月以上契約期間がある「リース契約書」を提出します。

前期の経営事項審査において申請している建設機械については提出不要です。


④建設機械の写真[府様式第4号]

撮影日付入りで、全景(アタッチメント装着状態)、車両番号・機番が特定できる部分、特定自主検査標章の記載内容が特定できる部分を撮影し、貼り付けて提出します。


建設機械の写真①
建設機械の写真

・【項番51~53】えるぼし、くるみん、ユースエールの認定書…「基準適合事業主認定通知書」等の認定を取得していることを証明する書面を提出します。


・【項番65】エコアクション21認証の確認書類…認証されていることを証する書面および認証を受けている営業所が確認できる書面を提出します。


・【項番66、67】ISO9001およびISO14001登録の確認書類…国際標準化機構第9001号または第14001号の規格による登録がされていることを証する書類および附属書類を提出します。


 

最後に


経営事項審査の必要書類を一通り解説しましたが、他にもイレギュラーなケースがまだまだあります。


また、本記事で紹介した法定様式・添付書類以外に提示書類も準備しなければなりません。

自社ですべて行うとなると、相当な時間がかかり大変です。


公共工事の入札に参加し落札することが本来の目的のはずなので、その前段階の経営事項審査の書類作成・準備に労力をかけすぎるのは得策ではありません。


社内で専任の人をつけることができるのであれば自社で対応できるかもしれませんが、そうでなければ、経営事項審査のサポートを専門的に行っている行政書士に相談してみたほうが良いでしょう。



この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士

アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。 ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。

建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、 建設キャリアアップシステムをサポート。

 

当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。


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