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  • 執筆者の写真Ryuji Kanemoto

【経営事項審査(経審)の重要パート】経営状況分析はココを押さえる!

更新日:3月30日


経営事項審査の経営状況分析

経営事項審査の受審において、経営状況分析(=経営効率・財務状況)の改善に取り組むことは最も重要なことと言えます。


会社の規模に関係なく改善可能な評価項目であり、経営事項審査の総合点数(P点)の土台にもなっているからです。もちろん、経営改善に直結することは言うまでもありません。


とはいえ、財務諸表と漠然とにらめっこしていても何も状況は変わりません。

また、受審する直前に慌てたところで、できることはあまりありません。


力を入れるポイントを絞り、長期的に計画を立て、数値改善に取り組んでいくべきなのです。


本記事を読むと、経営状況分析のどこに力を入れるべきなのか、何をすべきなのかがわかります。


ぜひご参考にしてください。


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▼目次



経営状況分析の点数(Y点)は、受審業種すべての総合評定値(P点)を底上げする


経営事項審査の総合評定値(P点)算出において経営状況分析の点数(Y点)がいかに重要であるかを下図から読み取ることができます。



経営状況分析(Y点)と社会性等(W点)、自己資本額・平均利益額(X2点)は、会社全体に対する評価項目です。


それに対し、完成工事高(X1点)と技術力(Z点)は業種別の評価項目になっています。


会社全体の評価項目の点数を上げると、受審する各業種の点数を底上げできることは明らかです。


中でも経営状況分析(Y点)と社会性等(W点)は、中小企業であっても大きく点数を改善できる可能性のある評価項目です。


自己資本額・平均利益額(X2点)は会社の規模が小さいとあまり効果が得られません。


経営状況分析(Y点)は、経営事項審査における点数改善だけにとどまらず、結果的に会社の本質的な経営改善にも繋がるので、優先的に取り組んでいくべきでしょう。



財務諸表の基本的な構造を理解しておく


経営状況分析(Y点)改善に取り組む前に、財務諸表の基礎的な知識は押さえておきましょう。


損益計算書と貸借対照表の繋がりと構造を理解することが経営状況分析(Y点)改善の第一歩となります。


財務諸表のつながり


上図のように貸借対照表では、どのように資金を調達し、それを何に投資(置き換え)しているかが表されています。


具体的には、資本金や銀行借入等で用意した資金を事業運営に必要な固定資産に投資したり、現金資産に置き換えているといったことになります。


そして、それを運用し、利益を出すところまでが年度ごとに損益計算書で表されます。


最終的に残った利益は貸借対照表の自己資本の中に繰越利益剰余金として積み上がっていき、また投資・運用されるというサイクルが続いていきます。



【経営状況分析(Y点)の8つの指標】指標ごとの特徴をつかみ影響度の高いものを見極める


経営状況分析(Y点)は、8つの指標をもとに、決められた計算式で算出されます。


最高は素点で1,595点、最低が0点、経営事項審査の総合評定値(P点)に換算すると、最高319点、最低0点になります。


(8つの指標と係数)

①純支払利息比率【(5.1%~▲0.3%)×▲0.465】  

②負債回転期間【(18.0か月~0.9か月)×▲0.0508】

③総資本売上総利益率【(6.5%~63.6%)×0.0264】

④売上高経常利益率【(▲8.5%~5.1%)×0.0277】

⑤自己資本対固定資産比率【(▲76.5%~350.0%)×0.0011】

⑥自己資本比率【(▲68.6%~68.5%)×0.0089】

⑦営業キャッシュフロー【(▲10億円~15億円)×0.0818】

⑧利益剰余金【(▲3億円~100億円)×0.0172】


経営状況分析(Y点)=(①+②+③+④+⑤+⑥+⑦+⑧+0.1906)×167.3+583

①~⑧すべての指標で数値を改善できるのであれば、それに越したことはないですが、現実的ではありません。


実際は改善効果が見込め、かつ、Y点への影響度も高い指標を見極めて、的を絞って取り組んでいくべきでしょう。


◎純支払利息比率

純支払利息比率(%)=支払利息-受取利息配当金/総売上高×100

支払利息から受取利息を差し引いた実質の金利負担が、総売上に対して何%あるかを表した指標です。


最低が5.1%、最高が▲0.3%で、Y点に換算すると最低▲396.75点、最高23.33点になります。

金利負担が大きくなると、大幅に点数が悪化するのが特徴です。


最低点から最高点の振れ幅を見る限り、Y点への影響度が非常に高い指標と言えます。


取り組みとしては、金利負担を抑えるか、総売上を増やすかのいずれかです。


銀行は金利を設定する際に、調達にかかる金利、経費、貸し倒れリスクを加味して当然ながら利益が出るように金利を設定します。


借りる側ができることとしては、営業成績・財務状況を良くして信用度を上げて、貸し倒れリスクの見積りを低くすることぐらいでしょう。


◎負債回転期間

負債回転期間(月)=流動負債+固定負債/総売上高÷12×100

負債の額が売上の何か月分あるかを表した指標です。


負債を全て返済するとしたら、売上何か月分で返済できるかということです。


工事未払金、未成工事受入金といった流動負債、銀行からの長期借り入れといった固定負債もすべて含まれます。


最低が18.0か月、最高が0.9か月で、Y点に換算すると最低▲152.98点、最高▲7.65点になります。

最低点から最高点の振れ幅を見る限り、Y点への影響度が高い指標と言えます。


取り組みとしては、負債を減らすか、総売上を増やすかのいずれかです。


抜本的な改善策は、借入を繰り上げ返済して負債総額を減らすことですが、運転資金のことも考えなければなりません。


他には、期末に工事未払金が大きくなりすぎないように、資材等の在庫を適正に保つことも改善策の1つです。


また、役員借入金がある場合は、決算期をまたぐタイミングで返済・再借入という処理を行い、一時的に負債額を減らすこともできます。


しかし、同時に現金資産が減少することにもなるので、バランスをよく見て判断しなければなりません。


◎総資本売上総利益率

総資本売上総利益率(%)=売上総利益/総資本2期平均×100

総資本(負債+純資産)に対して売上総利益(粗利)が何%あるのかを表した指標です。


粗利を稼ぐためにどれくらいの借入金や自己資本で回しているのか、どれくらい効率的に稼げているのかどうかということです。


最低が6.5%、最高が63.6%で、Y点に換算すると最低28.71点、最高280.90点になります。

Y点への影響度が高い指標と言えます。


取り組みとしては粗利を増やすか、総資本を減らすかのいずれかです。


粗利を増やすためには、売上高への意識をすべて粗利に向けていくことが、はじめの第一歩です。


むしろ、粗利に軸を置いた経営は本質的な純利益改善にもつながると言っても過言ではありません。


建設業界では、売上高にばかり意識が集中し、とにかく受注することだけを考え、どれくらい粗利が出るのかは後から考えるといった光景をよく目にします。


結果、粗利が残るどころか、赤字で終わる案件もざらに出てきます。それでは最終的な利益は残りません。


受注段階から徹底的に粗利にこだわり、原価管理・交渉を着実に実行していくことができれば、粗利率改善につながり、Y点アップにとどまらず、純利益改善までもが見えてくるでしょう。


◎売上高経常利益率

売上高経常利益率(%)=経常利益/総売上高×100

売上に対して経常利益が何%あるのかを表した指標です。


最低が▲8.5%、最高が5.1%で、Y点に換算すると最低▲39.39点、最高23.63点になります。

最低点と最高点の差があまりなく、Y点への影響度が低い指標と言えます。


しかし、経常利益が経営上、重要な指標であることには変わりありません。


経常利益を増やすためには営業利益、営業利益を増やすためには粗利、というふうに粗利を増やすことから考える必要があります。


工事原価、販管費という順番で地道に経費削減に取り組んでいくしかありません。


◎自己資本対固定資産比率

自己資本対固定資産比率(%)=自己資本/固定資産×100

自己資本に対して固定資産をどれくらい保有しているのかの比率を表した指標です。


最低が▲76.5%、最高が350.0%で、Y点に換算すると最低▲14.08点、最高64.41点になります。


最低点と最高点の差があまりなく、Y点への影響度が低い指標なので、そこまで積極的に取り組む必要はありません。


しかし、固定資産を保有しすぎて、借り入れが増え、自己資本が少ない状況は健全ではありません。


◎自己資本比率

自己資本比率(%)=自己資本/総資本×100

総資本の中に自己資本がどれくらいあるかを表した指標です。


会社の調達資金の中に返済する必要のない資金がどれくらいあるかということです。


多ければ多いほど、負債が少なく安全性が高いということになります。


最低が▲68.5%、最高が68.5%で、Y点に換算すると最低▲101.99点、最高102.14点になります。

8つの指標の中では比較的Y点への影響度が高い指標と言えます。


取り組みとしては、毎期確実に利益を出し、繰越利益剰余金として自己資本を積み上げていくしかありません。


やはり、大本となる粗利益にこだわった経営が重要になります。


ちなみに自己資本比率がマイナスということは、会社が債務超過であることを表し、すべての資産を売却しても負債を返済しきれないという状態です。


赤字経営が続くと債務超過を招くことになります。


一度、債務超過に陥るとなかなか抜け出すことができません。


◎営業キャッシュフロー

営業キャッシュフロー(億円)=営業CF2期平均/1億円

最低が▲10億円、最高が15億円、Y点に換算すると最低▲136.85点、最高205.28点になります。


最低点から最高点の振れ幅は大きいですが、単位が1億円なので中小規模の会社にとっては効果が期待できません。


しかし、営業キャッシュフローという概念自体はすべての会社にとって重要なものです。


営業キャッシュフローとは本業で稼いだ現金(キャッシュ)の量を言います。

計算式は以下のとおりです。

営業CF=経常利益+減価償却実施額-法人税等+貸倒引当金増減額-売掛金増減額+買掛金増減額-棚卸資産増減額+未成工事受入金増減額


・売掛金=受取手形+完成工事未収入金


・買掛金=支払手形+工事未払金


・棚卸資産=未成工事支出金+材料貯蔵品


損益上の利益だけを追いかけていても、現金の動きがわからず、手元資金の把握ができません。

経常利益に実際の現金の動きをプラスマイナスすることで算出します。


キャッシュフローを把握した資金繰りは非常に重要です。


赤字経営が続き、債務超過になったとしてもすぐには倒産しませんが、資金ショートを起こすと倒産してしまいます。


◎利益剰余金

利益剰余金(億円)=利益剰余金/1億円

最低が▲3億円、最高が100億円、Y点に換算すると最低が▲8.63点、最高が287.76点になります。


営業キャッシュフロー同様に、最低点から最高点の振れ幅は大きいですが、単位が1億円なので中小規模の会社にとっては効果が期待できません。


また、会社設立時から直前決算期まで積み上げてきた結果なので、営業年数が少ない会社にとっても難しい指標です。

 

最後に


経営状況分析(Y点)はありのままの決算内容をもとに分析機関に算出してもらうだけという程度の認識が一般的かもしれません。


「今期は売上が良かったから点数が上がるはず」というふうに漠然と捉えていることは、よくあるケースです。


しかし、8つの指標それぞれの特徴を把握して、目標を設定し、日々それを意識した経営を行うことで、経営状況分析(Y点)は改善できます。


なにより、改善に取り組んだ結果、本質的な経営改善にもつながるということが1番お伝えしたい点です。



この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士

アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。

ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。

建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、

建設キャリアアップシステムをサポート。

 

当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。


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