
「技術士」は科学技術系の国内最高峰資格といわれています。選択した専門分野によりますが、建設業界で専任技術者や監理技術者・主任技術者になり得るのはもちろん、産業経済・社会生活における科学技術のほぼすべての分野でコンサルタントとして活躍できます。
将来のキャリアアップにつながること間違いなしの資格と言えます。
かなり難しいチャレンジにはなりますが、将来、建設業界の中で建設コンサルタントや設計技術者等として活躍したい方は、「技術士」を目指してみるのも良いでしょう。合格を目指して勉強するだけでも技術者としてのレベルアップにつながります。
この記事では「技術士」の試験内容や受験資格、対応業種について解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
▼目次
1.「技術士」とは?
(2)「技術士」の仕事内容
(1)試験の仕組み
(2)試験の内容
4.最後に
「技術士」とは?
「技術士」は21の専門分野に分かれていて、各分野のスペシャリストとして高度な知識と高等応用能力を活かし、産業経済・社会生活を支えています。
広く一般には知られていませんが、取得すると各分野で対外的に非常に高い信頼を得ることができます。資格取得後も高い技術者倫理を備え、継続的な資質向上に努めることが求められます。
◎専門分野は21技術部門、選択科目は69科目





◎「技術士」の仕事内容
さまざまな分野で技術コンサルタントとして、研究や分析、設計、試験、評価などの指導的業務を行います。
例えば、建設部門の技術士は公共事業で土木・インフラ設計といった大きな仕事を行うことができます。
建設コンサルタント会社や官公庁、個人技術士事務所で活躍するケースが多いでしょう。
「技術士」に対応する業種
建設業に関連する各部門・科目、それぞれ対応する業種において特定建設業の専任技術者になることができます。
「建築工事業」以外の指定7業種と「機械器具設置工事業」「さく井工事業」「水道施設工事業」にも対応しているのは特筆すべきところです。
〈専任技術者資格一覧〉

◎:特定建設業・一般建設業の専任技術者となれる資格
○:一般建設業の専任技術者となれる資格
「技術士」試験の概要
「技術士」試験には一次試験と二次試験があり、一次試験の合格率は30~50%程度で推移していますが、二次試験は合格率10%台と難易度が高くなります。
試験は技術部門ごとに年に1回、公益社団法人日本技術士会によって実施されます。
◎試験の仕組み
「技術士」になるには第一段階として、指定された教育課程を修了するか、一次試験に合格しなければなりません。二次試験を受験するには、一定の実務経験が必要になります。
一次試験は受験資格がなく、年齢・学歴・国籍・経験等に関係なく、誰でも受験することができます。資格取得までトータルで10年近くかかることはざらにあります。

※1 指定された教育課程:技術士教育課程 (mext.go.jp)
※2 監督者:科学技術に関する実務経験が7年以上ある者
◎試験の内容
●一次試験(択一式)
基礎科目
科学技術全般にわたる基礎知識出題分野
1.設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
2.情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
3.解析に関するもの(力学、電磁気学等)
4.材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
5.環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
適性科目
技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
専門科目
01.機械部門:材料力学/機械力学・制御/熱工学/流体工学
02.船舶・海洋部門:材料・構造力学/浮体の力学/計測・制御/機械及びシステム
03.航空・宇宙部門:機体システム/航行援助施設/宇宙環境利用
04.電気電子部門:発送配変電/電気応用/電子応用/情報通信/電気設備
05.化学部門:セラミックス及び無機化学製品/有機化学製品/燃料及び潤滑油/高分子製品/化学装置及び設備
06.繊維部門:繊維製品の製造及び評価
07.金属部門:鉄鋼生産システム/非鉄生産システム/金属材料/表面技術/金属加工
08.資源工学部門:資源の開発及び生産/資源循環及び環境
09.建設部門:土質及び基礎/鋼構造及びコンクリート/都市及び地方計画/河川、砂防及び海岸・海洋/港湾及び空港/電力土木/道 路/鉄 道/トンネル/施工計画、施工設備及び積算/建設環境
10.上下水道部門:上水道及び工業用水道/下水道/水道環境
11.衛生工学部門:大気管理/水質管理/環境衛生工学(廃棄物管理を含む。)/建築衛生工学(空気調和施設及び建築環境施設を含む。)
12.農業部門:畜産/農芸化学/農業土木/農業及び蚕糸/農村地域計画/農村環境/植物保護
13.森林部門:林業/森林土木/林 産/森林環境
14.水産部門:漁業及び増養殖/水産加工/水産土木/水産水域環境
15.経営工学部門:経営管理/数理・情報
16.情報工学部門:コンピュータ科学/コンピュータ工学/ソフトウェア工学/情報システム・データ工学/情報ネットワーク
17.応用理学部門:物理及び化学/地球物理及び地球化学/地 質
18.生物工学部門:細胞遺伝子工学/生物化学工学/生物環境工学
19.環境部門:大気、水、土壌等の環境の保全/地球環境の保全/廃棄物等の物質循環の管理/環境の状況の測定分析及び監視/自然生態系及び風景の保全/自然環境の再生・修復及び自然とのふれあい推進
20.原子力・放射線部門:原子力/放射線/エネルギー
※1次試験に総合技術監理部門はありません。
●二次試験(記述式・口頭試験)
必須科目
あらかじめ選択する技術部門
選択科目
あらかじめ選択する各技術部門の選択科目
総合技術監理の場合
必須科目
①安全管理、②社会環境との調和、③経済性、④情報管理、⑤人的資源管理
選択科目
あらかじめ選択する各技術部門の選択科目
▶口頭試験では、技術士としての実務能力や適格性が見られます。
試験日程等については以下「日本技術士会」サイトにてご確認ください。
最後に
「技術士」は取得難易度が高く、権威性も高い、希少な資格です。
建設業界で役立つ部門も多く、技術者として重宝されることは間違いないでしょう。
忙しい中での試験対策は大変ですが、将来、建設コンサルタントとして独立したり、大規模なインフラ整備等に携わりたい、自身の市場価値を高めたいと考えている方は長期計画を立ててみてはいかがでしょうか。
![]() | この記事は行政書士が執筆・監修しています。 アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ) 本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。 行政書士の詳しいプロフィールはこちら |
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