Ryuji Kanemoto
附帯工事とは?|建設業を営む人は必見!

「附帯工事」と聞いて、ほとんどの方が文字通りにイメージをつかむことはできるのではないでしょうか。
住宅建築現場等において、本体である建物とその設備に係る工事は本体工事、仮設工事や外構工事、幹線引き込み工事等は「附帯工事」というように区別されることもあります。
本記事の「附帯工事」とは、建設業法で規定された工事のことを指します。
「附帯工事」とは何か?その位置づけや工事内容の基本的な考え方、具体的な事例、現場における注意点を解説しています。

▼目次
1.「附帯工事」とは、許可がなくても請け負うことができる工事の1つ
(1)軽微な工事
(3)附帯工事
4.最後に
「附帯工事」とは、許可がなくても請け負うことができる工事の1つ
建設工事の中には、許可がなくても請け負うことができる工事が3つあります。
「附帯工事」はその中の1つです。
■軽微な工事
■一式工事に含まれる専門工事
■附帯工事
それぞれの工事の違いを把握しておきましょう。
◎軽微な工事
請負金額が税込500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)の工事のことを建設業法上、「軽微な工事」と言います。
「軽微な工事」であれば、建設業許可がなくても請け負う事ができます。
ただし、電気工事と解体工事は別の法律で規制されている部分があるので注意が必要です。
電気工事で現場施工を行う場合は「軽微な工事」であっても電気工事業登録が必要になります。
解体工事の場合は「軽微な工事」であっても解体工事業登録をしていなければ請け負うことができません。
それぞれ別記事で詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。
「電気工事業」を営む上で注意すべきこと|電気工事業登録等(登録・届出・通知)とは?
「解体工事業」は軽微な工事でも登録手続きが必要!|建設業許可がなければ必ず登録
◎一式工事に含まれる専門工事
土木や建築といった一式工事の施工内容には専門工事が含まれています。
ですので、建築工事業の許可を持っていれば、施工内容に含まれる電気工事は電気工事業の許可がなくても当然に請け負うことができるということになります。
◎附帯工事
「附帯工事」については建設業法第4条で規定されています。
“第4条 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。”
本来、請負金額500万円以上の工事は許可を受けた業種しか請け負うことができません。
しかし、建設工事というものは、ほとんどが複数業種の専門工事が組み合わせでできていますし、注文者が細かく業種別に分離発注するのも不便なので、請け負う工事(許可を受けた業種)に附帯する工事に限っては許可がなくても請け負うことができることとされています。
ただし、何でも附帯工事にできるわけではありません。
附帯工事にあたるかどうかは総合的に判断する
建設業許可事務ガイドライン(第4条関係)では、「付帯工事」の考え方を以下のように示しています。
”この附帯工事とは、主たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事又は主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいう。”
主たる工事が存在することが前提で、どうしても主たる工事にくっついてくる工事というイメージです。
例えば、塗装工事業の許可を受けている建設業者が建物の外壁塗装工事を請け負った場合、施工に必要な足場工事(とび・土工工事業)を付帯工事として含めることがほとんどでしょう。
他にも消防施設工事業の許可を受けている建設業者が消防設備設置工事(スプリンクラー設備等)を請け負った場合の天井をおとす工事(内装仕上工事業)も同様です。
上記はわかりやすい例ですが、判断が難しいこともあります。
附帯工事に該当するかどうかの判断基準について、以下のように示されています。
”附帯工事の具体的な判断に当たっては、建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かを総合的に検討する。”
附帯工事が主たる工事の価格を上回る事例はあまり見られません。工事価格という視点も押さえておくと良いでしょう。
附帯工事を実際に施工するときの注意点
許可を受けていない業種を「附帯工事」として請け負うことができますが、その「附帯工事」を自社施工する場合は「専門技術者」を配置しなければなりません。「専門技術者」の要件は「主任技術者」と同じです。
一式工事に含まれる「専門工事」を自社施工する場合も同様に「専門技術者」の配置が必要になります。
許可なしで請け負うことができると言っても、技術者による施工上の管理は必要ということです。
自社で「専門技術者」を配置することができない場合は、その業種の許可を受けている建設業者に下請負させなければなりません。
※「付帯工事」、「一式工事の専門工事」が500万円未満の軽微な工事である場合は、「専門技術者」を配置する必要はありません。
※主任技術者や監理技術者が、「専門技術者」の要件を満たしている場合は兼任することができます。
最後に
「附帯工事」という言葉自体はよく知られていますが、「附帯工事」に該当するかどうかの判断は感覚的に行われていることが多いように思えます。
「専門技術者」の配置義務等、知らないうちに建設業法違反になることもありえます。国交省のガイドラインに沿って、慎重に判断するようにしましょう。
また、実際の施工現場では、そもそも「附帯工事」、「一式工事の専門工事」の許可がないので、自社で「専門技術者」を配置するよりも許可業者に下請負させるケースが多く見られます。
![]() | この記事は行政書士が執筆・監修しています。 アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ) 本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。 行政書士の詳しいプロフィールはこちら |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
ぜひお気軽にご相談ください。ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。