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  • 執筆者の写真Ryuji Kanemoto

【個人事業主・一人親方向け】建設業許可の取り方完全ガイド(大阪府)

更新日:4月9日



個人事業主・一人親方で建設業許可を取る方法

法人でなければ建設業許可を取得できないと思っている方が意外に多くいらっしゃいます。


全くそんなことはなく、個人(個人事業主・一人親方)であっても同じく許可要件さえ満たせば、問題なく建設業許可を取得できます。建設業を営む者である以上、法人・個人どちらであっても許可を受けることができるのは当然のことです。


実際、全国で474,948者存在する建設業許可業者の内、約15%にあたる68,274者が個人(個人事業主・一人親方)であるという調査結果が出ています(2023年3月時点)。


この記事では、個人(個人事業主・一人親方)で建設業許可を取得するメリット・デメリットや要件・申請書類、注意点など、個人で許可を取りたい方向けに詳しく解説しています。


ぜひご参考にしていただければと思います。


建設業許可は専門のアールエム行政書士事務所へ




▼目次



個人で建設業許可を取得するメリット・デメリット


個人事業で建設業を営む方が建設業許可を取得しようとする際、法人成りしてから申請すべきか、個人(個人事業主・一人親方)のまま申請すべきかを迷われることがよくあります。


それぞれにメリット・デメリットがあるので、事業の状況を踏まえて検討しましょう。


◎個人・法人関係なく、建設業許可を取得するメリット自体が大きい

建設業許可を取ることは、個人・法人に関係なく大きなメリットがあります。

一般的なメリットは以下の3点です。


✅取引先や金融機関等に対する信用度が上がる。

✅請負金額500万円未満という制限がなくなり、大規模な工事を受注できるようになる。

✅公共工事の入札参加が可能になる。(別途、手続きは必要)


公共工事については別記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。


建設業許可を取ると、「行政庁への決算報告」「現場への監理技術者等配置」「変更があった場合の届出」など課せられる義務が増えて面倒に感じることがあるかもしれませんが、得られるメリットを考えると負担とまでは言えないでしょう。


◎個人事業主・一人親方のまま建設業許可を取得する場合のメリット

法人成りして建設業許可を取得する場合と比べると、以下のようなメリットがあります。


✅法人設立にかかる手続き・コストが必要ない。

✅従業員が5人未満であれば、社会保険の加入義務がなく、保険料負担がない。

✅許可申請時に必要な書類が少なくて済む。


◎個人事業主・一人親方のまま建設業許可を取得する場合のデメリット

法人成りして建設業許可を取得する場合と比べると、以下のようなデメリットがあります。


✅個人(個人事業主・一人親方)との取引を制限している元請もいるので、せっかく建設業許可を取っても受注機会を逃す可能性がある。



個人で建設業許可を取得するための要件


建設業許可を取得するためには大きく5つの要件を満たす必要があります。

個人(個人事業主・一人親方)の場合は、その本人が要件を満たすパターンが多いでしょう。


◎経営能力があること

●常勤役員等(経営業務の管理責任者)

個人(個人事業主・一人親方)その本人に建設業の経営経験が5年以上必要になります。

経営経験が5年以上ある人を支配人として商業登記して、経営業務の管理責任者として申請することも可能です。


支配人とは、「個人その者に代わって、営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をなす権限を有する使用人」とされています。


代替わりして、個人事業主となった子に経営経験年数が足りず、経営経験が5年以上ある父親を支配人として登記するというようなケースが考えられます。


●社会保険への適切な加入

法律上加入義務のある保険に正しく加入していることが求められます。適用除外の場合は除きます。

個人事業で5人以上の従業員を雇用しているケースは少ないと思います。


健康保険・厚生年金保険…専従者(家族従業員)を除く従業員が5人以上の場合は加入義務あり。

雇用保険…1人でも従業員を雇用していれば加入義務あり。


◎技術力があること

●専任技術者

許可を取得しようとする業種に応じた国家資格等を保有している人か、実務経験が10年以上ある人を営業所ごとに専任の技術者として配置しなければなりません。


個人本人はもちろん、専従者(家族従業員)や従業員も専任技術者になることができます。

経営業務の管理責任者が専任技術者を兼任できるので、個人の場合、個人本人が専任技術者になるケースが多いように思います。


◎財産的基礎があること

>一般建設業許可の場合

直前の決算で純資産合計が500万円以上あることが求められます。


なければ、500万円以上の預金残高で金銭的信用があることを証明しなければなりません。


新規開業の個人の場合は500万円以上の預金残高が必要となります。

残高証明書は証明日付(発行日ではない)が申請日前4週間以内のものでなければなりません。


>特定建設業許可の場合

直前の決算期の財務諸表において以下のすべてをクリアしていることが求められます。


✅欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと。

✅流動比率が75%以上であること。

✅資本金の額が2,000万円以上であること。

✅自己資本の額が4,000万円以上であること。


個人事業で特定建設業許可を取るのは、現場配置技術者の観点からもあまり現実的ではないかもしれません。


◎欠格要件に該当していないこと、誠実性があること

個人その者、支配人が以下の欠格要件に該当していると、許可されません。


〈許可制度の本質から当然に要求されること〉

✅申請書類や添付書類の中の重要な事項について、虚偽の記載もしくは欠落があるとき


〈個人事業主、支配人の欠格事由〉

✅破産者で復権を得ない者

✅建設業許可の取消を受けて5年を経過しない者

✅監督処分による許可取消を免れるために廃業届を提出してから5年を経過しない者

✅営業停止処分を受け、その停止期間が経過しない者

✅禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または執行猶予期間が満了してから5年を経過しない者

✅一定の法令の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または執行猶予期間が満了してから5年を経過しない者

✅暴力団員等に事業活動を支配されている者

✅暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

✅精神の機能の障害により建設業を適正に営む事ができない者


請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがある場合も許可されません。


◎営業所を有していること

建設業の営業を行う事務所(=建設工事に係る請負契約を締結するなど、見積り、入札、契約締結に係る実体的な行為を行う事務所)を主たる営業所として設ける必要があります。

従たる営業所(支店)を設ける場合は、その営業所に支店長や専任技術者を配置しなければなりません。

従たる営業所(支店)が主たる営業所と異なる都道府県にある場合は、国土交通大臣の許可になるのでご注意ください。


営業所の要件は以下のとおりです。


✅営業所として常時使用する権限を有していること。

✅建物の外観または入口で、商号または名称が確認できること。

✅固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること。

✅許可取得後は、建設業の許可票を掲示していること。

✅経営業務の管理責任者(従たる営業所は支店長等)、専任技術者が常勤して専らその職務に従事していること。



個人で建設業許可を申請するときに必要な書類


建設業許可の申請をする際、申請書類(法定様式書類・添付書類)と証明書類を合わせると多くの書類が必要になります。

個人の申請の場合、法定様式書類に関しては法人に比べて少なくなります。


◎申請書類一覧

個人事業で建設業許可をとる必要書類

◎「経験」と「常勤性」を証明する確認書類

(経験)

●経営業務の管理責任者

個人事業主としての経営経験…確定申告書の第一表、工事の請負契約書・注文書・請求書等

法人の役員としての経営経験…確定申告書、商業登記簿謄本、工事の請負契約書・注文書・請求書等


●専任技術者

実務経験…確定申告書(個人の場合)、年金記録照会回答票、工事の請負契約書・注文書・請求書等


実務の経験があることとその会社等に在籍していたことを証明します。


(常勤性)

●個人事業主本人…国民健康保険被保険者証

●専従者(家族従業員)…国民健康保険被保険者証、確定申告書の第一表+氏名・金額がわかる専従者欄または賃金内訳欄の書類

●従業員…住民税特別徴収税額通知書(会社用・本人用)または健康保険被保険者証+標準報酬決定通知書(直近分)


常勤性の確認書類は、経営業務の管理責任者、専任技術者ともに必要です。



個人で建設業許可を取得した後に気を付けるべきこと


個人で建設業許可を取得する場合は、特に取得後の現場施工体制と許可業者としての地位の扱いについては意識しておいた方が良いでしょう。


◎主任技術者の配置義務

建設業許可業者には、個人・法人関係なく、工事現場に主任技術者(営業所の専任技術者と同等の資格要件)を配置しなければならない義務があります。


営業所の専任技術者は営業所に常勤・専任することが求められるので、原則的に主任技術者になることができません。


しかし、以下の条件をすべて満たす場合のみ、特例で専任技術者が主任技術者になることが認められています。


✅主任技術者を「専任」する必要のない工事(※)であること

※請負金額4,000万円未満(建築一式工事の場合は8,000万円未満)

✅営業所と現場の距離が近く、常時連絡が取れる体制にあること

✅専任する営業所で契約締結された建設工事であること

✅建設工事を行う事業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること


一人親方のように従業員のいない個人事業者の場合、その本人が経営業務の管理責任者であり、専任技術者でもあるので、特例条件のもと、本人が現場の主任技術者を兼務することになります。


毎年提出する決算変更届(決算報告)の添付書類である工事経歴書でチェックされます。

制限を超える請負金額の工事や遠方の工事を請け負った場合は、建設業法に違反することになるので、十分注意してください。


主任技術者については別記事で詳しく解説しています。ご参考にしていた だければと思います。


◎建設業許可の承継

個人で建設業許可を取得するということは、あくまでもその個人に許可が与えられている状態です。

ですので、原則、その個人が死亡した場合や法人成りした場合は、建設業許可業者としての地位はなくなることになります。


しかし、死亡の場合は相続人が「死後30日以内」に、法人成りの場合は「事前に」認可申請をすれば、許可業者としての地位を空白期間なく引き継ぐことができます。生前に事業譲渡する場合も事前の認可申請で地位承継が可能です。


認可申請の手続きは煩雑ですが、許可業者としての地位を承継するための大事な手続きです。


 

最後に


個人(個人事業主・一人親方)であっても、何ら問題なく建設業許可を取得することができます。


法人と比べて、許可要件を満たすことが難しい等、許可を受ける上での不利は特にありません。

もちろん、許可を取った後の事業運営において法人の方が良い面もあるので、総合的に考えた方が良いでしょう。


ある程度のコストは許容した上で長期的な視点で対外的な信用と売上向上、節税効果等を狙っていくのであれば、法人成りした後に許可を取得する方が良いかもしれません。


もちろん、先に個人で許可を取得して、後に法人成りして許可を引き継ぐというパターンもありでしょう。





この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士

アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。

建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、建設キャリアアップシステムをサポート。

 

当事務所では大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理を承っております。


大阪市鶴見区・城東区・都島区・旭区を中心に大阪府全域、奈良県、兵庫県、和歌山県は標準対応エリアです。

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