建設業許可を取った後の届出の中で、経営業務の管理責任者に関するものはとても重要です。
「経営業務の管理責任者である代表取締役が退任するので、後任の代表取締役に変更したい」
これはよくある事例です。
この場合、当然ながら後任の代表取締役が、経営業務の管理責任者の要件を満たしていることが大前提となります。
どのような場合にどのような届出が必要かを押さえると同時に要件の確認もしておきましょう。
必要な書類と書き方まで詳しく解説しているので、ぜひご参考にしてください。
▼目次
2.届出に必要な書類
3.必要書類の書き方
4.最後に
経営業務の管理責任者に関する届出事項と提出期限
経営業務の管理責任者とは
常勤の役員等として営業取引上の対外的責任を持つ立場にあって、経営体制を整え、経営業務を執行する等、建設業の経営業務を総合的に管理する者のことをいいます。
一般的には法人であれば代表取締役や取締役、個人であれば個人事業主本人が就任します。 |
経営業務の管理責任者のさらに詳しい解説は以下のリンク記事からご確認ください。
【届出事項】
●経営業務の管理責任者が交代した場合
※新たに役員等に就任後、経営業務の管理責任者になる場合は、役員等の変更届も必要
※経営業務の管理責任者を辞めると同時に役員等を退任・辞任する場合は役員等の変更届も必要
※執行役員等が経営業務の管理責任者になる場合は事前相談が必要
●経営業務の管理責任者の氏名が変わった場合
●経営業務の管理責任者が第7条第1号イ該当からロ該当に変わった場合
(5年以上の建設業経営経験を持つ役員等から建設業経営経験5年未満の役員等+財務管理・労務管理・業務運営の補佐を置くケース)
※非常にレアケースなので、事前相談が必要
【提出期限】
事実発生後14日以内
経営業務の管理責任者は、許可要件の中で最重要要件なので、提出期限は短く設定されています。
届出をしていない状態では、許可の更新や業種追加の申請を受け付けてもらうことができません。
また、罰則規定もおかれているので、提出期限には十分注意しましょう。
届出に必要な書類
届出事項によって必要な書類が少し異なりますが、基本的には新規申請の時と同様の書類が必要になります。
●経営業務の管理責任者が交代した場合
①変更届の表紙
②変更届出書[第一面](様式第22号の2)
③常勤役員等証明書(様式第7号)
④常勤役員等略歴書(様式第7号別紙)
⑤誓約書(様式第6号)
⑥登記されていないことの証明書(法務局発行)
⑦身分証明書(本籍地のある市町村発行)
※⑤~⑦は、執行役員が経営業務の管理責任者になる場合のみ必要
[提示書類]
①商業登記簿謄本
②常勤性の確認書類
③経験の確認書類
●経営業務の管理責任者の氏名が変わった場合
①変更届の表紙
②変更届出書[第一面](様式第22号の2)
③常勤役員等証明書(様式第7号)
[提示書類]
①戸籍抄本、住民票、商業登記簿謄本等(氏名の変更が確認できるもの)
●経営業務の管理責任者が第7条第1号イ該当からロ該当に変わった場合
①変更届の表紙
②変更届出書[第一面](様式第22号の2)
③常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2第1面から第4面)
④常勤役員等略歴書(様式第7号別紙1)
⑤常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(様式第7号の2別紙2)
必要書類の書き方
経営業務の管理責任者に関する届出にはいくつかの法定書類が必要ですが、書き方はそれほど難しくありません。
注意すべきは、経営経験や常勤性を証明する提示書類の方でしょう。
【変更届表紙】
大阪府独自の様式です。該当の届出事項に丸をつけます。
他都道府県では特にこのような表紙を付ける必要のないことが多いです。
【変更届出書[第一面](様式第22号の2)】
変更内容を記載する重要書類で、どの届出事項においても提出が必要です。
(記載事例)
・経営業務の管理責任者の交代(第7条第1号イ該当から同号イ該当へ)
・経営業務の管理責任者の交代(第7条第1号イ該当から同号ロ該当へ)
【常勤役員等証明書(様式第7号)】
第7条第1号イ該当から同号イ該当に経営業務の管理責任者が交代した場合の記載例です。
第7条第1号イ該当とは
建設業での経営経験が5年以上ある役員等、執行役員等または建設業で役員等に準ずる地位として6年以上経営業務を補佐した部長等のことをいいます。 |
【常勤役員等略歴書(様式第7号別紙)】
建設業に関する経験をもれなく記載し、経営経験に該当する期間が「常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書(様式第7号)」に記載した内容と一致していなければなりません。
【常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2第1面から第4面)抜粋】
第7条第1号イ該当から同号ロ該当に経営業務の管理責任者が交代した場合の記載例です。
第7条第1号ロ該当とは
(1)建設業に関する経営経験2年以上を含め役員等に次ぐ地位で財務、労務または業務運営を5年以上経験した役員等+財務、労務、業務運営それぞれ5年以上経験のある補佐者
(2)建設業に関する経営経験2年以上と他業種での役員経験をあわせて5年以上ある役員等+財務、労務、業務運営それぞれ5年以上経験のある補佐者 |
第1面:第7条第1号ロ該当(1)
第1面:第7条第1号ロ該当(2)
第2面
第3面
第4面
【常勤役員等略歴書(様式第7号別紙1)】
「常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2第1面)」とあわせて第7条第1号ロ該当であることを確認する書類です。
第7条第1号ロ該当(1)
第7条第1号ロ該当(2)
【常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(様式第7号の2別紙2)】
「常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2第2面~第4面)」とあわせて第7条第1号ロ該当であることを確認する書類です。
書き方は上記「常勤役員等略歴書(様式第7号別紙1)」と特に変わりません。
最後に
経営業務の管理責任者は建設業許可業者にとって非常に重要な立場なので、交代する場合の変更届を忘れるということはあまりないかもしれません。
しかし、事後の届出なので、そのタイミングで後任が経営業務の管理責任者の要件を満たしていないといったことが発覚すると大問題です。
トラブルなくスムーズに手続きを進めるためにも経営業務の管理責任者に関する基礎知識は欠かせません。
不安な場合は、建設業専門の行政書士または直接都道府県に事前相談するようにした方が良いでしょう。
この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。 ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。 建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、 建設キャリアアップシステムをサポート。 |
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