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  • 執筆者の写真アールエム行政書士事務所 STAFF

建設業許可の常勤役員等(経営業務の管理責任者)について徹底解説!【最も重要な許可要件】

更新日:8月14日


建設業許可要件の専任技術者の資格(電気工事施工管理技士)

建設業には、「建設工事の適正な施工を確保」「発注者保護」等の観点から許可制度が設けられています。

税込500万円未満(建築一式工事の場合は税込1,500万円未満)の軽微な工事を除き、建設業許可を受けなければ、工事を請け負うことができません。


①経営能力があること、②技術力があること、③欠格要件に該当せず誠実性があること、④営業所があること、⑤財産的基礎・金銭的信用があること、この5つが建設業許可の要件とされていて、許可を受けようとする事業者は許可の区分に応じて要件すべてを満たさなければなりません。

中でも経営能力や技術力といった人的要件は、基準を満たすことが難しく、必要書類もわかりづらかったりします。


この記事を読むと、建設業許可の人的要件の内、経営能力にあたる常勤役員等(経営業務の管理責任者)について、どのような人が対象となり、どのような経験が求められるのかがより詳しくわかります。

ぜひご参考にしていただければと思います。


▼目次

1.許可要件の中で常勤役員等(経営業務の管理責任者)は最重要

2.常勤役員等(経営業務の管理責任者)に求められるのは建設業の経営経験

(1)常勤役員等とは|申請パターンはほとんどが取締役、個人事業主

(2)一定の経営経験とは|5年以上、経験内容によっては6年以上必要

(3)経営経験が5年に満たない場合|補佐をつける体制をとることで認められる可能性がある

3.常勤役員等(経営業務の管理責任者)の経営経験は客観的な資料で証明

4.常勤役員等(経営業務の管理責任者)は常勤性の証明も重要

5.最後に



許可要件の中で常勤役員等(経営業務管理責任者)は最重要


建設業許可の5つの要件の中で、人的要件の経営能力(=常勤役員等(経営業務の管理責任者))は特に重要な要件と言えるでしょう。


許可制度の主旨や許可基準を満たし、必要書類を収集する難しさからもそのことがわかります。

許可取得後、なんらかの理由で常勤役員等(経営業務の管理責任者)が欠けた場合、その時点で許可要件を満たさなくなります。代わりがいなければ廃業届を出さざるを得ません。


常勤役員等(経営業務の管理責任者)が交代した場合は、14日以内に変更届を出さなければなりません。

1日でも不在となることが許されない存在です。


●経営能力があること

「経営業務の管理を適正に行う能力」の裏付けとして、建設業に関して一定の経営経験がある常勤役員等(経営業務の管理責任者)を置かなければなりません。

また、事業所として適切に社会保険に加入していなければなりません。


●技術力があること

営業所ごとに許可を受けようとする業種の建設工事の施工に関する一定の資格又は実務経験を有する技術者で、専任の者(専任技術者)を置かなければなりません。


●財産的基礎・金銭的信用があること

請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していなければなりません。


●欠格要件に該当しないこと、誠実性があること

法人の役員等すべてと個人その本人、支配人が、欠格要件に該当していると絶対に許可を取得することはできません。


申請書に虚偽記載があったり、重要なことを記載しなかったり、禁固以上の刑を受けて5年経過していない等、定められた欠格要件に1つでも該当してはなりません。


●営業所を有していること

建設業の営業を行う事務所を主たる営業所として設置しなければなりません。

常時使用する権限や固定電話、事務機器等設備が必要となります。



常勤役員等(経営業務の管理責任者)に求められるのは建設業の経営経験


経営経験とは一般的に法人の役員や個人事業主の職務である経営管理の経験を指します。中心人物である常勤役員等が建設業での一定の経営経験を有している必要があります。


常勤役員等とはどの役職までが含まれるのでしょうか。

一定の経営経験とはどの程度のものが求められるのでしょうか。


◎常勤役員等とは|申請パターンはほとんどが取締役、個人事業主

✅法人の役員(取締役、業務を執行する社員、執行役、執行役員等)、個人事業主本人又は支配人

※執行役員の場合は、建設業の経営管理に関して取締役会の決議、具体的な権限移譲があることを確認できなければなりません。

※文字通り、本店に常勤していることが求められます。(報酬の目安:月額10万円)


常勤役員等に含まれる対象は上記の通りですが、取締役または個人事業主を経営業務の管理責任者として申請することがほとんどで、執行役員等を経営業務の管理責任者として申請することはかなりレアケースと言えます。


◎一定の経営経験とは|5年以上、経験内容によっては6年以上必要

✅建設業での役員、令3条使用人(支店長等)、個人事業主、支配人等として5年以上の経営経験

✅建設業での執行役員等として5年以上の経営経験(役員から権限移譲されていたことが前提)

✅建設業での部長、個人事業主の専従者等、経営業務の管理責任者に準ずる地位として6年以上の経営業務補佐経験


役員経験3年と執行役員経験2年で合算5年、役員経験3年と準ずる地位経験3年で合算6年というふうに経験を合算することが可能です。もちろん、それぞれ別会社のものでも問題ありません。


◎経営経験が5年に満たない場合|補佐をつける体制をとることで認められる可能性がある

2020年10月の改正で、経営経験が5年に満たない場合でも、「建設業での経営経験5年未満の常勤役員」+「常勤役員を直接補佐する者」という形で「経営経験がある常勤役員等(経営業務の管理責任者)」として認められることになりました。


具体的には以下のようになります。


【建設業での経営経験5年未満の常勤役員等】

パターン①

「建設業での役員等で2年以上」を含めて「建設業での役員等又は役員等に次ぐ地位で5年以上」の経験を有する者

パターン②

「建設業での役員等で2年以上」を含めて「別の業種での役員等で5年以上」の経験を有する者


【常勤役員を直接補佐する者】

許可を受けようとする会社での5年以上の財務管理の経験を有する者、5年以上の労務管理の経験を有する者、5年以上の運営業務の経験を有する者

※1人ですべて担当することも、3人で分担することも可能です。


この申請パターンで許可を取得することはかなり難しく、前例もほとんどありません。


申請会社に勤務して財務管理、労務管理、運営業務を5年以上経験している人を補佐として配置するというのが難しいところです。

新設会社はもちろん、中小規模の会社で該当するケースはほぼないと考えても良いでしょう。



常勤役員等(経営業務の管理責任者)の経営経験は客観的な資料で証明


常勤役員等に建設業での経営経験があることを確認できたら、次は経営経験を客観的に証明できる確認書類を準備しなければなりません。


過去に務めていた会社から書類を借りてこなければならないことも多いので、様々な事情で準備できずに許可取得を断念するケースも多いです。


以下の各書類で、重なる期間が5年以上(※経営業務を補佐した経験は6年以上)あることを証明しなければなりません。


【常勤役員等での経験】

(法人の役員の経験)

・確定申告書の別表一、決算報告書

営業の実態を確認されます。「役員給与等の内訳」で常勤であるかどうかも確認されます。


・工事の契約書、注文書・請書、請求書・入金履歴

営業の実績を確認されます。工事内容、工事期間、請求金額が確認できる契約書等が必要です。工事と工事の間が12ヵ月以上空かないように年数分揃えなければなりません。


・商業登記簿謄本

役員として登記されていた年数が確認されます。


(個人事業主の経験)

・確定申告書の第一表

営業の実態を確認されます。


・工事の契約書、注文書・請書、請求書・入金履歴

営業の実績を確認されます。工事内容、工事期間、請求金額が確認できる契約書等が必要です。工事と工事の間が12ヵ月以上空かないように年数分揃えなければなりません。


▶建設業許可業者での経験の場合は、営業実態を確認するための「確定申告書」、営業実績を確認するための「工事契約書等」を省略することができます。


以下の書類で証明することができます。

・許可通知書(経験年数分)


・直近の決算変更届副本の表紙(受付印のあるもの)


・商業登記簿謄本


【執行役員等での経験】

・法人の組織図

職制上、取締役等に次ぐ地位にあるかどうかを確認されます。


・業務分掌規程

担当事業部門が建設業に関する事業部門であったかどうかを確認されます。


・定款、執行役員規程、取締役会の議事録、人事発令書等

取締役会の決議に基づき、具体的に権限が委譲されていたかどうかを確認されます。


・確定申告書の別表一、決算報告書

・工事の契約書、注文書・請書、請求書・入金履歴


▶建設業許可業者での経験の場合は、営業実績を確認するための「確定申告書」、「工事契約書等」を省略することができます。


以下の書類で証明することができます。

・許可通知書(経験年数分)


・直近の決算変更届副本の表紙(受付印のあるもの)


・法人の組織図


・業務分掌規程


・定款、執行役員規程、取締役会の議事録、人事発令書等


【部長等準ずる地位として経営業務を補佐した経験】

・法人の組織図

職制上、取締役等に次ぐ地位にあるかどうかを確認されます。


・年金被保険者記録照会回答票

在職期間を確認されます。


・確定申告書の別表一、決算報告書


・工事の契約書、注文書・請書、請求書・入金履歴


▶建設業許可業者での経験の場合は、経験期間を確認するための「確定申告書」、「工事契約書等」を省略することができます。

以下の書類で証明することができます。

・許可通知書(経験年数分)


・直近の決算変更届副本の表紙(受付印のあるもの)


・法人の組織図


・年金被保険者記録照会回答票



常勤役員等(経営業務の管理責任者)は常勤性の証明も重要


常勤役員等(経営業務の管理責任者)は、その名前のとおり、主たる営業所で常勤であることが求められます。

非常勤の取締役等は、経営業務の管理責任者になることができません。


2箇所以上の会社で取締役として在籍している方はよくいますが、社会保険も適用されず、非常勤の扱いになっている会社では経営業務の管理責任者になることができないということです。


許可を取得した後も、更新や業種追加の申請の度に経営業務の管理責任者の常勤性を証明しなければなりません。

常勤性を欠いている状態は、許可取り消し事由となるので、定期的に確認されるといったイメージです。


常勤性については、別記事「建設業許可申請における常勤性の確認について」で詳しく解説しています。

ご参考にしていただければと思います。


 

最後に


建設業許可申請において経営業務の管理責任者の要件を満たせないというケースが1番多いかもしれません。


他の要件(欠格要件を除く)を満たしていなくても、まだ何かと方法が考えられますが、取締役や個人事業主本人に経営経験がなければ、どうしようもありません。経験が5年に到達するのを待つか、経営経験がある人を常勤の取締役等として迎え入れる以外ありません。


経営経験はあるものの、それを証明できずに許可取得を断念するということもよくあります。この場合は、いくつかの方法で解決できる可能性があります。


経営経験の証明書類を揃えることができるか不安な場合は、事前に専門家に相談することをご検討ください。



この記事は行政書士が執筆・監修しています。

アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ)

本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。

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