一人親方の建設キャリアアップシステム登録|事業者登録は必要?技能者登録との違いを解説
- Ryuji Hemmi
- 10月11日
- 読了時間: 5分

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、元請や上位下請から登録を求められることが増えていますが、一人親方の場合「技能者登録だけでいいのか」「事業者登録も必要なのか」で迷う方が多くいます。
この記事では、一人親方がどのようにCCUSへ登録すべきか、技能者登録と事業者登録の違い・判断基準・現場での運用トラブルをふまえてわかりやすく解説します。
💡この記事のポイント ●一人親方に必要な登録は「技能者登録」と「事業者登録」のどちら? ●働き方によっては技能者登録だけでOKなケースも ●請負契約がある場合は事業者登録が必須 ●後から登録すると審査が長引くので注意 |
▼目次
1. 一人親方の定義
(1)技能者登録とは
(2)事業者登録とは
5.最後に

一人親方の定義
一人親方は、主に建設業において使われる概念です。
広くとらえると一人親方も個人事業主の一種ですが、個人事業主は労働者を雇用するのに対し、一人親方は労働者を雇用しません。
組織に属さずに個人として仕事を請け負い、単独(家族従業員含む)で仕事をします。
しかし、実態は上位下請事業者の請け負いではなく、「応援」として現場に入る一人親方が多く見られます。
建設キャリアアップシステムの技能者登録と事業者登録
建設キャリアアップシステムには技能者登録と事業者登録があります。
一人親方の場合、両方登録する必要があるのかどちらか一方だけで良いのか判断に迷うことがよくあります。
◎技能者登録とは
技能者登録とは、現場に入る技能者の建設キャリアアップカード発行手続きです。
建設キャリアアップシステムが運用されている現場では、このカードがなければ入ることができません。
カードは簡略型と詳細型を選ぶことができ、それぞれ発行手数料が異なります。
簡略型が2,500円、詳細型が4,900円で10年間有効です。
※どちらを選んでもカード発行までの審査期間は同じです。
詳細型は学歴や保有資格等まで登録するもので、将来的にレベル判定(カードのレベルアップ)を考えているのであれば、詳細型を選ぶ必要があります。
一方、簡略型は基礎的な情報だけを登録するもので、現場入場さえできればいいという考えであれば、簡略型を選んでも良いのかもしれません。
簡略型・詳細型については以下リンク記事でご確認ください。
◎事業者登録とは
技能者が建設キャリアアップカードを作るためには、所属している事業者(事業者IDを付与された事業者)の登録をしなければなりません。
事業者が事業者IDを取得するための手続きが事業者登録です。
事業者登録は事業者の資本金の額に応じて登録料がかかります。
一人親方の場合は0円です。
あと、年間でID利用料が11,400円かかります。
一人親方の場合は2,400円です。
現場運用では、事業者が事業者IDを使って施工体制登録を行い、カードを持った技能者を作業員名簿に登録することになります。
一人親方は技能者登録だけでも問題のないケースがある
一人親方は、技能者でもあり事業者でもあります。
個人として仕事を請け負い、単独で仕事をするという本来の姿を考えると、当然に事業者登録と技能者登録の両方が必要になるでしょう。
しかし、専ら技能労働者として現場に入るだけの立場であれば、事業者登録は不要で、技能者登録のみ行えばよいとされています。
建設キャリアアップシステム上、事業者登録が必要かどうかは、「請負契約を結んで施工体制に事業者として登録される立場」かどうかで判断するのです。
ただし、技能者登録のみの場合であっても作業員名簿への登録は必要です。
この場合、現場ごとの上位下請事業者等に就業要請という手続きを行い、承認してもらうことで上位下請事業者等の作業員名簿に登録が可能となります。
一人親方も原則、事業者登録をする方が望ましい
いわゆる「応援」という働き方をイメージして、技能者登録のみを行う一人親方も多いですが、一人親方がどこかの事業者に所属して労働者に近い働き方をするというのは本来適切とはいえません。
現場によっては施工体制に組み込むために事業者IDを求められることが当然にありえます。
技能者登録を行った後、結局、元請からの要請で事業者IDも必要になったというケースは非常に多くあります。
なお、後から事業者登録を行うと、所属事業者関連付けという作業が追加で必要になり、審査完了まで余計に時間がかかってしまいます。
一人親方もはじめから事業者登録を行った上で技能者登録を行う方が良いでしょう。
最後に
建設キャリアアップシステムの登録方法は、働き方や契約形態によって最適な形が異なります。
形式上は技能者登録だけでも運用可能な場合がありますが、実務では事業者登録を求められる現場も多く、後から対応すると時間と手間がかかることもあります。
登録内容を誤ると現場入場ができないケースもあるため、不安がある方は専門家や元請業者に確認しながら進めるのがおすすめです。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
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