
建設業者は許可取得時の申請内容に変更があった場合には、定められた期限内に各種変更届を提出しなければなりません。建設業法に基づいて課せられる義務のひとつです。
中でも直接的に許可要件に関わる事項の変更については、変更届の提出期限も短く、厳しくチェックされます。
社会保険等の加入は2020年10月以降は許可要件とされており、加入していない場合(適用除外の場合は除く)は許可を取得することができません。
この記事では社会保険等の加入状況に変更が生じたときの手続きについて解説しています。
ぜひご参考にしていただければと思います。
| 「適切な社会保険等への加入」は義務
◎社会保険等の加入義務区分

◎健康保険・厚生年金保険
健康保険は、業務外の病気・ケガの治療の費用等を保険給付する制度です。
厚生年金保険は、国民年金に上乗せされる年金制度で老齢年金、障害年金、遺族年金があります。
保険料は事業主・労働者それぞれ折半で負担し、事業主が労働者に代わって納付します。
>加入義務について
✅法人であれば原則適用事業所となる。
✅個人事業主の場合は、常時雇用する労働者が5人以上であれば原則適用事業所となる。
✅健康保険については適用事業所であっても、事業主が健康保険適用除外承認を申請し、年金事務所が承認した場合、適用除外承認を受けることができる。
◎雇用保険
雇用保険は、失業や休業の際に労働者の生活や雇用を安定させるために給付金を支給したり、再就職を支援したりする制度です。保険料は事業主・労働者それぞれが負担し、事業主が労働者に代わって納付します。
>加入義務について
✅1人でも労働者を雇っている場合は、法人・個人関係なく適用事業所となる。
✅法人の役員、個人事業主、同居の親族のみの事業所は、原則適用除外となる。
| どんな場合に変更届を提出しなければならないのか
◎加入の有無に変更が生じた場合
社会保険等に加入している事業所が適用除外になる場合(個人事業で常時雇用する労働者が5人以上になったため健康保険・厚生年金保険の適用事業所になる等)や、社会保険等に加入している事業所が本店一括適用になる場合などが該当します。
◎営業所の所在地変更等で事業所番号に変更が生じた場合
社名や所在地に変更があった場合は、公共職業安定所や年金事務所に届出をしなければなりません。(詳しくは社会保険労務士の方に相談してください)
雇用保険、社会保険の事業所番号が変わることになるので変更届が必要になります。
※使用人数のみの変更は変更届の提出は不要です。決算変更届の際に正しい使用人数で報告します。
※営業所の変更について別途届出が必要です。
| いつまでにどんな届出が必要なのか
◎事実発生後14日以内
社会保険等の加入は許可要件の1つなので、変更届の提出期限は短く設定されています。
他にも経営業務の管理責任者に関わる事項、専任技術者に関わる事項、欠格要件に関わる事項などは同じく事実発生後14日以内の提出期限とされています。
◎届出に必要な書類
変更届表紙と変更届出書(第一面)とあわせて社会保険等に関する書類を提出します。
※確認書類も含めて書類はすべて「提出」しなければなりません。
●加入の有無に変更が生じた場合、営業所の所在地変更等で事業所番号に変更が生じた場合
・変更届表紙
・変更届出書(第一面)[様式第22号の2]
・健康保険等の加入状況[様式第7号の3]
・社会保険等加入確認書類
1.健康保険・厚生年金保険
※事業所整理番号、事業所番号の確認できる以下のいずれかの資料
(協会けんぽに加入の場合)
・納入告知書 納付書・領収書の写し
・保険納入告知額・領収済通知書の写し
・社会保険料納入確認(申請)書(受付印のあるもの)の写し
・健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書の写し
(健康保険組合に加入の場合)
・健康保険組合発行の保険料領収証書の写し
・納入告知書 納付書・領収書の写し
・保険納入告知額・領収済通知書の写し
・社会保険料納入確認(申請)書(受付印のあるもの)の写し
・健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書の写し
(国民健康保険に加入の場合)
・納入告知書 納付書・領収書の写し
・保険納入告知額・領収済通知書の写し
・社会保険料納入確認(申請)書(受付印のあるもの)の写し
・健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書の写し
2.雇用保険
※雇用保険の労働保険番号を確認できる以下のいずれかの資料
・労働保険概算・確定保険料申告書及び領収済通知書の写し
・労働保険料等納入通知書及び領収済通知書の写し
・許可申請時直前の保険料納付に係る雇用保険料納入証明書の写し
【健康保険等の加入状況[様式第7号の3]記載例・部分抜粋】

| 最後に
社会保険等の加入については、以前より問題視されていて2020年に許可要件化されたばかりということもあり、加入状況は都度確認されます。
雇用保険、社会保険それぞれの適用ルールを把握していないと、許可取得時は適用除外事業所だったけれど、従業員が増えて社会保険加入義務のある事業所になっていることに気付かないということもありえます。
正しく変更届を提出していなければ、更新や業種追加、経営事項審査の手続きができないので、提出忘れのないよう十分注意しましょう。
場合によっては、毎年の決算変更届や経営事項審査も含めて行政書士との顧問契約を検討するのも良いかもしれません。
当事務所では建設業許可の申請代理を承っております。毎年の決算変更届や各種変更届、経営事項審査までトータルのサポートもお任せください。
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