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建設業許可の変更届/決算等に関する届出(決算が終了した後)
更新日:2022年9月26日

建設業許可を取得した建設業者は、毎年決算終了後に決算等に関する届出をしなければなりません。
これを「決算変更届(事業年度終了届)」と言います。
名前のとおり変更届の一種ではありますが、「経営業務の管理責任者の変更」や「専任技術者の変更」、「営業所の変更」のように、何か変更が生じた場合に提出するというものではありません。
建設業者としての毎年の事業報告のような位置づけです。「決算」という文字が入っていますが、税理士が行う毎年の決算報告とは全くの別物です。
決算変更届(事業年度終了届)を怠ると、様々な弊害があるので注意が必要です。
この記事では、決算変更届(事業年度終了届)の概要について解説しています。
ぜひご参考にしていただければと思います。
| 決算変更届(事業年度終了届)の目的
◎発注者保護と建設業者の資質向上、建設業の健全な発達
決算変更届(事業年度終了届)において、建設業財務諸表は決められた勘定科目と様式を使用することが義務付けられています。一方、決算書はあくまで税務申告が主目的なので、勘定科目の設定が企業ごとにバラバラで、建設業者にとって重要な財務情報が含まれていないことが多々あります。
建設業者の決算変更届書類は、誰でも閲覧できるようになっています。
建設業財務諸表の勘定科目と様式が統一されているからこそ、閲覧することで建設業者の比較検討や実態把握がしやすくなっているのです。
具体的には、
①公共工事・民間工事の発注者が、発注しようとする建設業者の経営成績や、財務内容の健全性を見極めた上で選択できる。
②元請・下請間で請負契約を締結する前にそれぞれ相手方の財務状況を確認し、取引条件等を検討することができる。
③同業他社と工事原価などを比較することで自社の経営改善につなげることができる。
といった効果が見られます。
決算変更届(事業年度終了届)において、すべての建設業者が建設業財務諸表等を正しく作成・提出することは、「発注者保護」「建設業者の資質向上」「建設業の健全な発達」のために大きな意味があると言えます。
◎調査的な機能
許可要件の財産的基礎が満たされているのか、損益計算書における役員報酬や従業員給与、完成工事原価報告書におけるⅣ経費(うち人件費)の額が少ない場合に、経営業務の管理責任者や専任技術者等の常勤性が満たされているのか、完成工事原価報告書における外注費が大きすぎる場合に、下請への発注金額の制限が守られているのか等、決算変更届(事業年度終了届)には調査的な機能もあります。
| 決算変更届とは具体的に何をするのか
◎決算終了後4ヵ月以内に許可行政庁へ届出
決算報告書をもとに建設業財務諸表を作成し、工事経歴書等その他書類も準備し、決算終了後4ヵ月以内に許可行政庁へ提出します。(決算報告は決算終了後2ヵ月以内)
※個人事業主は12月31日決算なので、4月30日期限となります。
公共工事入札のために経営事項審査を受ける場合は、そのスケジュールも意識しながら進めていく必要があります。
実務上、経営事項審査より経営状況分析を先に行うケースも多いです。
(参考)経営事項審査スケジュール

◎提出書類一覧

◎届出を怠った場合
他の変更届同様に届出を怠ったり、虚偽の記載による提出をした場合は、罰則の対象となります。建設業法第50条で6ヵ月以下の懲役又は100万以下の罰金と規定されています。
ただし、直ちに刑が科せられるわけではなく、まずは指導が入り、ケースバイケースで処分が異なるようです。
仮に罰則がなかったとしても、届出をしていない状態では建設業許可の更新や業種追加などの申請を受け付けてもらえないので、期限内に必ず提出するようにしましょう。
| 最後に
以上、決算変更届(事業年度終了届)について解説いたしました。
建設業許可を取得していなければ提出する必要のないものなので、面倒に感じることも多いでしょう。
しかし、許可行政庁に許可業者として認められ、経営状況が一般に公開されているということ自体が対外的な信用の土台でもありますし、惜しむほどの手間ではないかもしれません。
また、同業他社や元請・下請の決算変更届書類を閲覧し、自社の経営改善に活かすことも積極的に行いたいところです。
当事務所では建設業許可の申請代理を承っております。毎年の決算変更届や各種変更届、経営事項審査までトータルのサポートもお任せください。
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