建設業許可を取得・維持するにあたり、どれくらいの費用が必要になるのかを把握している方は少ないでしょう。
申請先である国土交通大臣または都道府県知事に対して納付しなければならない法定費用等やその他書類発行手数料等、行政書士に代理申請をお願いするのであればその費用も必要になります。
費用がかかるということ自体を全く想定していなくて驚かれる方もまれにいらっしゃいます。
しかし、許可を受けるということは国や都道府県からお墨付きをもらい、外部からの信用を得るということでもあるので、そのリターンを考えると当然必要な費用なのかもしれません。
この記事を読めば、建設業許可を取得・維持するために必要な費用が総額でおおよそどれくらいかかるのかがわかります。ぜひご参考にしていただければと思います。
▼目次
(1)新規申請の際にかかる費用
(3)更新申請の際にかかる費用
(3)電子入札の際にかかる費用
4.最後に
建設業許可は取得した後も費用がかかる
まず、新規で申請する際に費用がかかり、許可を取得した後にも業種の追加や許可の更新を申請する際に費用がかかります。許可取得後も何かしら申請手続きが発生する場合は費用が必要になるということです。
国土交通大臣の許可を受けるのか、都道府県知事の許可を受けるのかによってかかる費用が異なります。
(1つの都道府県のみに営業所を置く場合は知事許可、2つ以上の都道府県に営業所を置く場合は大臣許可)
■ 新規申請の際にかかる費用
■ 業種追加申請の際にかかる費用
■ 更新申請の際にかかる費用
◎新規申請の際にかかる費用
登録免許税:15万円(国土交通大臣許可)、申請手数料:9万円(都道府県知事許可)
複数業種の申請であっても登録免許税または申請手数料は1回分ですが、特定建設業許可と一般建設業許可の両方を申請する場合はそれぞれに登録免許税または申請手数料が必要となります。
例えば、大阪府知事許可を受けるために特定の「管工事業」と一般の「電気工事業」の両方を申請するケースでは、申請手数料が18万円(9万円+9万円)となります。
般特新規、許可換え新規は新規申請と同じ費用です。申請区分による費用の違いは、別記事で詳しく解説しているので参考にしてください。「建設業許可の申請区分について解説|区分によって費用も必要書類も異なる?」
その他、身分証明書、登記されていないことの証明書等の発行手数料が数千円必要になります。
◎業種追加申請の際にかかる費用
収入印紙:5万円(国土交通大臣許可)、申請手数料:5万円(都道府県知事許可)
国家資格の取得によって新たに専任技術者の要件を満たした業種を追加するというのはよくあることです。
複数業種を申請する場合や特定建設業許可と一般建設業許可の両方を申請する場合の費用の考え方は新規申請の場合と同様です。
許可を受けている業種が一般許可のみで、特定許可の業種を追加する場合は、区分として般特新規(新規申請と同じ費用)扱いになるので注意が必要です。
その他、身分証明書と登記されていないことの証明書の発行手数料が数百円~数千円必要になります。
◎更新申請の際にかかる費用
収入印紙:5万円(国土交通大臣許可)、申請手数料:5万円(都道府県知事許可)
許可取得後、5年ごとに更新が必要です。更新しなければ、許可が失効することになります。
万が一、許可を失効してしまった場合は、新規申請の扱いになるので注意してください。
複数業種を申請する場合や特定建設業許可と一般建設業許可の両方を申請する場合の費用の考え方は新規申請の場合と同様です。
その他、身分証明書と登記されていないことの証明書の発行手数料が数百円~数千円必要になります。
公共工事の入札まで行う場合はさらに費用がかかる
建設業許可を取得できたら、公共工事を受注していきたいという建設業者の方も多いかと思います。
その場合は決算後(毎年)、経営状況分析、経営事項審査それぞれの段階で手数料等の費用がかかります。
また、電子入札のために電子証明書(ICカード)・カードリーダーを準備しなければなりません。
(参考)公共工事入札参加登録までの流れ
◎経営状況分析の際にかかる費用
分析手数料:1万円前後(分析機関によって異なる)
経営状況分析とは、経営事項審査の中の財務状況評価であるY点を算出するものです。
これがなければ、経営事項審査を受けることができません。
国土交通大臣の登録を受けた分析機関が分析を行い、経営状況分析結果通知書を発行します。
この登録分析機関に対して分析手数料を支払う必要があります。毎年かかる費用です。
◎経営事項審査の際にかかる費用
経営事項審査手数料:11,000円(1業種)
経営状況分析結果通知書が通知されてから経営事項審査を受けます。
その際に経営事項審査手数料を納付しなければなりません。
経営事項審査手数料は、経営規模等評価申請手数料と総合評定値請求手数料の合計で11,000円(1業種)ということになっています。1業種増えるごとに2,500円ずつ加算されます。
3業種であれば16,000円、10業種であれば33,500円となり、毎年かかる費用です。
◎電子入札の際にかかる費用
電子証明書(ICカード):15,000円前後、カードリーダー:10,000円前後(購入先によって異なる)
経営事項審査の結果が出たら、発注機関ごとに入札参加登録を行います。
入札参加資格者名簿に登録された後、電子入札案件に参加する際に電子証明書(ICカード)とカードリーダーが必要になります。電子認証事業者(発行を委託されている民間企業)から購入します。
電子証明書(ICカード)の有効期間は1年となっており、毎年必要な費用です。
行政書士に依頼した場合はどれくらいの費用がかかるのか
建設業許可の申請、経営事項審査申請、入札参加資格審査申請等は、自力で行うと時間・労力がかかり、大きな負担になるため、専門家である行政書士に依頼する方も多いです。
依頼する場合は、上記の費用に加えて行政書士への報酬額も想定しておかなければなりません。
以下、日本行政書士会連合会が行っている統計調査を参考に相場をまとめています。
※平均値、最頻値などをベースに当事務所が相場レンジを調整・作成したものです。
建設業許可(大阪府知事)の申請を行政書士に依頼した場合の費用総額の相場は、新規で19万円~29万円、更新で10万円~20万円ということになります。
最後に
建設業許可を取得・維持する上で、国や都道府県に納付する申請手数料は必要経費と考えざるを得ないでしょう。
一方、行政書士への依頼費用を必要経費ととらえるか、無駄な出費ととらえるかは意見が分かれるところだと思います。仕事を外注するというとは、そもそもそういうものです。
行政書士へ依頼せず、コスト削減のために自力で行うという選択肢もあろうかと思います。確かに金銭的なコストは削減できるでしょう。しかし、時間的コスト、心理的コストはどうでしょう。それらのコストを金銭的コスト削減と引き換えに負担することになるということを忘れてはいけません。
業務多忙で申請手続きの対応ができないという場合はもちろん、許可取得後の事業運営や公共工事入札に不安があるといった場合も行政書士への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。専門家である行政書士から様々なアドバイスを受けることができるはずです。
この記事は行政書士が執筆・監修しています。 アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ) 本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。 行政書士の詳しいプロフィールはこちら |
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