建設業許可を申請する際には、どの業種の許可が必要なのか、一般建設業許可・特定建設業許可のどちらが必要なのか、知事許可・大臣許可のどちらが必要なのか、許可の区分を事前に確認しなければなりません。
そして、その申請がはじめて新規で許可を取得するためのものなのか、既に許可を保有していて追加で他の新たな業種の許可を取得するためのものなのか等、申請の目的や現在の状況に応じて申請区分を選択する必要があります。
申請区分によって申請手数料や必要書類も異なってくるので、正しい区分を選択していなければ申請を受け付けてもらうことができません。
この記事では、建設業許可の申請区分について解説しています。
ぜひご参考にしていただければと思います。
▼目次
(1)新規
(2)許可換え新規
(3)般特新規
(4)業種追加
(5)更新
2.申請時のポイント
3.最後に
申請区分は大きく分けて5つ
建設業許可の申請区分を5つ紹介します。
■ 新規
■ 許可換え新規
■ 般特新規
■ 業種追加
■ 更新
申請区分ごとに事例を交えながら説明しています。判断が難しいケースもあるので、間違いのないように注意が必要です。申請の目的と現在の許可保有状況に照らして確認していくようにしましょう。
◎新規
文字通り、現在有効な許可をどの許可行政庁からも受けていない者が申請する場合が該当します。
保有していた許可を更新期限切れで失効し、許可を取得しなおす場合(他に有効な許可が1つもない)も新規扱いになります。この場合でも許可番号が新しく付与されます。
許可番号が若いほど、許可取得後の経験年数が長いことを示しているので、更新切れで許可番号が新しくなることはあまりいいことではありません。
◎許可換え新規
現在有効な許可を受けている許可行政庁以外の許可行政庁に対して新たに申請する場合が該当します。
具体的には以下の3つのパターンになります。
✅大臣許可を受けている者が1つの都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなった場合
(例)大阪・東京に営業所を構えている建設業者が、東京の営業所を閉鎖して大阪営業所のみに変更
大臣許可→都道府県知事許可
✅都道府県知事許可を受けている者が当該都道府県の営業所を廃止して、他の1つ都道府県の区域内に営業所を設置することとなった場合
(例)大阪府知事の許可を受けて大阪で営業している建設業者が、営業所を東京に移転
都道府県知事許可→他の都道府県知事許可
✅都道府県知事の許可を受けている者が2つ以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなった場合
(例)大阪府知事の許可を受けて大阪で営業している建設業者が、東京にも営業所を新設
都道府県知事許可→大臣許可
「許可換え新規」で申請を行うと新しい許可番号が付与されることになります。
◎般特新規
以下のいずれかのパターンで現在有効な許可を受けている許可行政庁に対して新たに許可を申請する場合が該当します。
✅一般建設業の許可のみを受けている者が新たに特定建設業の許可を申請する場合
(例)電気工事業(一般)の許可を受けている建設業者が、電気工事業(特定)の許可を申請[切り替え]
(例)管工事業(一般)の許可を受けている建設業者が、電気工事業(特定)の許可を申請
✅特定建設業の許可のみを受けている者が新たに一般建設業の許可を申請する場合
(例)塗装工事業(特定)の許可を受けている建設業者が、防水工事業(一般)の許可を申請
「般特新規」の許可申請をしても既存の許可番号は変わらず、そのまま引き継ぐことになります。
※管工事業(特定)の許可を受けている建設業者が、管工事業(一般)に切り替えるようなケースは特定建設業許可を一旦廃業させて一般建設業許可を申請することになるので、「般特新規」ではなく単なる「新規」になります。
例えば、特定建設業許可の財産要件を満たさなくなったために止む無く一般建設業許可に切り替える等が考えられます。
※「般特新規」とすでに許可を受けている業種の「更新」を同時に申請することができます(許可の一本化)。
◎業種追加
以下のいずれかのパターンで現在有効な許可を受けている許可行政庁に対して新たに許可を申請する場合が該当します。
✅一般建設業の許可を受けている建設業者が、他の業種について一般建設業の許可を申請する場合
(例)塗装工事業(一般)の許可を受けている建設業者が、防水工事業(一般)の許可を申請
✅特定建設業の許可を受けている建設業者が、他の業種について特定建設業の許可を申請する場合
(例)電気工事業(特定)の許可を受けている建設業者が、電気通信工事業(特定)の許可を申請
「業種追加」の許可申請をしても既存の許可番号は変わらず、そのまま引き継ぐことになります。
※「業種追加」と「般特新規」は同時に申請することができます。
※「業種追加」とすでに許可を受けている業種の「更新」を同時に申請することができます(許可の一本化)。
◎更新
すでに受けている建設業の許可について、その更新をする場合が該当します。
許可の有効期間は5年で、期間満了の30日前までに「更新」申請をしなければなりません。
期間満了の3カ月前から申請可能です(※都道府県によって異なる)。
「更新」の申請をしても既存の許可番号は変わらず、そのまま引き継ぐことになります。
申請時のポイント
申請時のポイントを2つ紹介します。
■ 申請区分によって許可行政庁に支払う申請手数料が異なる
■ 申請区分によって必要な書類が異なる
申請の手続きを進める際の大事なポイントです。一覧表にまとめていますので、申請区分ごとに見比べていただければと思います。
◎申請区分によって許可行政庁に支払う申請手数料が異なる
※「業種追加」と「更新」を同時に申請する場合は、申請手数料または収入印紙が10万円(5万円+5万円)になります。
※複数業種同時に申請しても手数料は変わりません。例えば、一般建設業3業種の許可を同時に更新する場合や特定建設業5業種の許可を同時に追加する場合であっても申請手数料は5万円です。
※一般建設業と特定建設業の両方の許可を受ける場合は、手数料がそれぞれ別で必要です。例えば、管工事業(特定)と電気工事業(一般)の更新を同時に申請する場合には、10万円(5万円+5万円)の申請手数料または収入印紙が必要になります。
※大臣許可の「新規」「許可換え新規」「般特新規」の手数料は登録免許税という税金扱いになるため、支払先は税務署になります。
◎申請区分によって必要な書類が異なる
この他、常勤性の確認書類や社会保険加入状況の確認書類等はすべての申請区分において必要となります。
最後に
以上、建設業許可の申請区分について解説しました。
これから建設業許可を新規で取得しようと考えている方も、事業の状況にあわせて新たな業種を追加しようと考えている方も申請区分の違いに注意していただければと思います。
現在許可を持っていない業種について、専任技術者の要件(国家資格または実務経験)を満たしたので追加で許可を取得したいというご要望はよくお聞きします。
ご覧いただいたように新規申請に比べて手数料、手続きの労力負担ともにやや軽いので、検討している方はすぐに動かれてみてはいかがでしょうか。
業務多忙で許可申請に時間を費やせない、許可要件をクリアできているのかどうか自信がない等、お悩みの方はぜひ専門家である行政書士にご相談いただければと思います。
この記事は行政書士が執筆・監修しています。 アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ) 本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。 行政書士の詳しいプロフィールはこちら |
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