経審の完成工事高を業種間で積み上げる方法|申請時のルールと注意点
- Ryuji Hemmi

- 2 日前
- 読了時間: 8分

経営事項審査では、とび・土工工事の完成工事高を土木一式工事へ加算するなど、一定の条件で完成工事高を別の業種へ積み上げて申請することができます。
特に入札参加したい業種に完成工事高を集中的に積み上げることで、入札ランクUPにつながることもあります。
ただし、どの業種間でも自由に積み上げられるわけではありません。積み上げる際には注意すべきルールがあります。
この記事では、経審における完成工事高の業種間積み上げについて、実際の申請で迷いやすいポイントを中心に解説します。
💡この記事のポイント ・経審では業種間で完成工事高を積み上げることができる ・専門工事から土木一式・建築一式への積み上げができる ・専門工事同士でも積み上げが認められる ・1件の工事を複数業種へ分割・重複計上することはできない ・積み上げ元の業種では経審を受けられない |
▼目次
7.最後に

経審では完成工事高を別の業種へ積み上げることができる
経営事項審査では、一定の条件を満たす場合、ある業種の完成工事高を別の業種の完成工事高に加算して審査を受けることができます。
たとえば、とび・土工工事や内装仕上工事のような専門工事の完成工事高を土木・建築の一式工事へ積み上げて、土木・建築の一式工事の完成工事高として申請することができます。
もちろん、会社全体の完成工事高そのものが増えるわけではなく、あくまで、点数を上げたい業種に完成工事高を集約するという手法です。
そのため、積み上げ先のことだけでなく、積み上げ元となる業種の扱いも知っておく必要があります。
専門工事の完成工事高を土木一式・建築一式へ積み上げる方法
専門工事の完成工事高は、その工事内容に応じて土木一式工事または建築一式工事へ積み上げることができます。

原則として、上図のように土木工作物の施工に関連する専門工事であれば土木一式工事へ、建築物の施工に関連する専門工事であれば建築一式工事へ積み上げることができます。
ただし、「とび・土工工事」のように、工事内容によって積み上げ先が土木一式にも建築一式にもなり得る業種があるため注意が必要です。
なお、とび・土工工事に建築系と土木系両方の施工実績があるからといって、分割して積み上げることはできません。直前2年または3年分の完成工事高について、土木一式または建築一式のいずれか一方へ全額を算入します。
大阪府では、とび・土工工事を建築一式へ積み上げる場合には建築系の工事が、土木一式へ積み上げる場合には土木系の工事が少なくとも1件以上必要とされています。
完成工事高の積み上げに関する細かな取扱いは申請先によって異なる場合があるため、申請前に直接確認することをおすすめします。
専門工事の完成工事高を別の専門工事へ積み上げられる場合もある
完成工事高の積み上げは、専門工事から一式工事への積み上げだけではありません。
一定の関連性がある専門工事同士でも、別の専門工事へ完成工事高を積み上げて審査を受けることができます。
ただし、どの業種からどの業種へでも自由に積み上げられるわけではなく、積み上げが認められる組み合わせにはルールがあります。

専門工事間で積み上げを行う場合は、申請先の経営事項審査の手引き等を確認したうえで間違いのないよう注意しましょう。
完成工事高を積み上げると経審の点数はどう変わる?
完成工事高を別の業種へ積み上げると、積み上げ先となる業種の完成工事高が増えるため、その業種の総合評定値(P)が上がる可能性があります。
経審では、業種ごとの完成工事高が「X1」として評価されます。
たとえば、とび・土工工事の完成工事高を土木一式工事へ積み上げれば、土木一式工事の完成工事高が増え、X1の点数を押し上げます。
ただし、完成工事高を積み上げ、X1の点数が上がっても、そのまま比例して、総合評定値(P)が上がるわけではありません。
経審では完成工事高以外にも経営状況や技術力、社会性等が評価され、それぞれ比重が異なります。完成工事高を積み上げても、結果として総合評定値(P)への影響がほとんどない場合も考えられます。
そのため、完成工事高を積み上げる際は、積み上げ先の点数だけを見るのではなく、積み上げ前後で各業種のP点がどのように変わるのかを確認したうえで判断することが重要です。
完成工事高積み上げ申請時の注意点
完成工事高の積み上げを行う場合は、単に積み上げ先の完成工事高へ金額を加算すればよいわけではありません。
積み上げ元の業種の扱いや書類の作り方など、通常の経審申請とは違い、注意しなければならないポイントがいくつかあります。
◎積み上げ元の業種は経審を受けられなくなる
完成工事高を別の業種へ積み上げた場合、積み上げ元となった業種については経審を受けることができません。
たとえば、とび・土工工事の完成工事高を土木一式工事へ積み上げて申請する場合、とび・土工工事を審査対象業種として残すことはできません。
そのため、積み上げを行うかどうかは、積み上げ先となる業種の点数だけで判断せず、今後どの業種で入札に参加するのかまで確認したうえで決める必要があります。
◎2年平均・3年平均では前年・前々年度も積み上げ方法をそろえる
経審の完成工事高は、2年平均または3年平均によって評価されます。
積み上げを行う場合、審査対象年度だけを組み替えるのではなく、前年や前々年度の完成工事高についても積み上げ後の業種区分に合わせて整理する必要があります。
たとえば、当期のとび・土工工事を土木一式工事へ積み上げるのであれば、前期や前々期も同じ考え方で完成工事高を整理します。
◎積み上げ元業種の工事経歴書と注文書・請求書等も準備する
積み上げを行う場合、積み上げ元となる業種についても工事内容を確認できるように工事経歴書の作成が必要です。
もちろん、工事経歴書だけでなく、注文書・請求書など、工事内容や請負金額を確認できる資料も整理しておかなければなりません。
大阪府では、工事経歴書に記載した通りに、上から3件の工事について、契約書・注文書・請書等の写しが確認書類として必要になります。
◎「工事種類別完成工事高付表」を作成する
業種間で完成工事高を積み上げる場合には、通常の「工事種類別完成工事高(別紙一)」だけでなく、「工事種類別完成工事高付表」を作成します。
付表には、積み上げ前の各業種の完成工事高と、どの業種へいくら積み上げたのかを記載し、積み上げ後の完成工事高が分かるようにします。
また、工事経歴書に記載した完成工事高、付表で積み上げた金額、最終的に経審を受ける業種の完成工事高に不整合がないよう確認することも重要です。
積み上げる業種が多い場合や、土木一式と建築一式の双方へ振り分ける場合は数字が複雑になりやすいため、申請書を作成する前に業種ごとの振り分けを整理しておくとスムーズです。
(付表記載例)

完成工事高を積み上げるかどうかは入札参加資格まで考えて決める
完成工事高を積み上げるときは、経審の点数のことだけではなく、その後の入札参加資格まで視野に入れて検討することが重要です。
前述したとおり、完成工事高を別の業種へ積み上げた場合、積み上げ元となる業種については経審を受けることができません。
つまり、その業種は入札参加もできないということです。そのため、積み上げ元の業種でも入札参加を検討している場合には注意しなければなりません。
さらに注意したいのが、積み上げ先となる業種の取扱いです。
経審上は専門工事の完成工事高を土木一式工事や建築一式工事などへ積み上げて点数を上げることができても、一部の都道府県によっては、その積み上げを入札参加資格上認めない場合があります。
つまり、経審で完成工事高を積み上げた業種では入札参加資格を取得できない場合があるということです。
そのため、完成工事高の積み上げを検討するときは、
* どの業種で経審を受けるのか * どの業種で入札参加資格を取得したいのか * その都道府県が完成工事高の業種間積み上げを認めているのか |
まで確認しておく必要があります。
最後に
完成工事高の積み上げは、単に数字を大きく見せるのが目的ではなく、どの業種で経審の評価を受けるかを整理するためのものです。
特に一式工事への積み上げでは、実際の工事内容と積み上げ先が合っているか、積み上げ元の業種を残す必要がないか、その後の入札参加資格に支障がないかまで含めて判断する必要があります。
見た目の点数は上がっても、入札実務を考えると総合的には不利になることもあります。
そのため、完成工事高の積み上げは「できるかどうか」だけではなく、自社が今後どの業種で受注していきたいのかを基準に決めることが重要です。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から100億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
ぜひお気軽にご相談ください。ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。






コメント