【経営事項審査】Z(技術力)で点数を上げるには?|評価の仕組みと戦略的な改善ポイント
- Ryuji Hemmi

- 8月8日
- 読了時間: 10分

「経審の点数を上げるには、施工管理技士の資格を取った方がよい」とよく言われます。
しかし、仮に2級施工管理技士が1名増えると、実際に点数はどの程度上がるのでしょうか。
経営事項審査における「Z(技術力)」は、総合評定値P点の25%を占める重要な評価項目です。
Z点は、技術職員の資格・人数だけでなく、元請完成工事高によっても評価されます。また、技術職員は1人につき2業種までしか申請できないため、どの業種で評価を受けるかという選択も重要です。
本記事では、Z点の仕組み、評価対象となる技術職員の条件、資格取得による点数の変化、元請完成工事高を含めた改善方法について解説します。
経審の点数について基本的なことから確認したい方は、以下のリンク記事を先にご確認ください。
▼目次
5.最後に

経営事項審査(経審)における「Z(技術力)」の位置付け
経審の点数は、5つの評価項目で構成されています。
5つのうち、2つは業種別の評価で残り3つは会社(事業者)全体の評価です。
【 Z 】技術力 (業種別) 【X1 】完成工事高 (業種別) 【X2 】自己資本・利益額 (全体) 【 Y 】経営状況分析 (全体) 【 W 】社会性等 (全体) |
以下のようにそれぞれに係数をかけ、足し合わせた数値が経審の点数(総合評定値P点)と言われるものです。
総合評定値P点=X1×0.25+X2×0.15+Y×0.20+Z×0.25+W×0.15 |

「Z(技術力)」は総合評定値(P)の25%を占める項目なので、点数を改善できれば大きなインパクトになります。
Z点は業種ごとに算出されます。
そのため、会社全体の技術者数だけを見るのではなく、入札参加を希望する業種に、どの技術職員と元請完成工事高を計上するかを検討する必要があります。
Z点(技術力)を構成する2つの評点
Z点(技術力)は技術職員の数による点数と元請完成工事高の額による点数を足し合わせて計算します。
Z=技術職員Z1×0.8+完成工事高Z2×0.2 |
業種ごとに資格や実務経験をもった技術職員がどのくらい在籍しているか、元請として請け負った実績がどのくらいあるかが点数化されます。
技術職員Z1は、資格取得や技術職員の採用によって、計画的に改善しやすい項目です。
一方、元請完成工事高Z2を上げるには、元請工事の受注実績を増やす必要があるため、中長期的な取り組みが必要になります。
◎技術職員Z1
1級資格者かつ監理技術者講習修了者 | 6点 |
1級資格者 | 5点 |
監理技術者補佐 | 4点 |
登録基幹技能者 | 3点 |
2級資格者 | 2点 |
その他(実務経験者など) | 1点 |
1人2業種まで技術職員名簿に記載し、申請することができます。
1人の技術職員が複数業種の資格要件を満たしていても、経審で申請できるのは2業種までです。
たとえば、保有資格によって土木一式工事、とび・土工・コンクリート工事、舗装工事など複数業種の対象になる場合でも、そのすべてに計上できるわけではありません。
申請する2業種は、次の点を確認して選ぶ必要があります。
・優先的に入札参加を希望する業種 ・現在の完成工事高と元請完成工事高 ・ほかの技術職員が計上されている業種 ・今後受注を増やしたい業種 ・自治体の格付けや入札参加資格への影響 |
資格上計上できる業種を機械的に選ぶのではなく、会社の受注方針に合わせて検討することが重要です。
資格分類ごとの点数に技術職員の人数を掛けて技術職員数値を出し、以下の評点テーブルを使用し評点を求めます。

(「大阪府経営事項審査手引き」より抜粋)
◎元請完成工事高Z2
元請としてのマネジメント力がどのくらい備わっているのかを見る指標です。
元請工事完成工事高を以下の評点テーブルにあてはめてZ2点数を出します。
実績は2年平均か3年平均になりますが、X1(完成工事高)で選択したものと同じになります。X1は2年平均、Z2は3年平均というように、別々の期間を選択することはできません。

経審では、一定の組み合わせにより、専門工事の完成工事高を一式工事などへ積み上げて申請できる場合があります。
完成工事高を積み上げた場合、積み上げ先となる業種では、X1だけでなく元請完成工事高に応じたZ2にも影響します。
一方、積み上げ元となった業種では、完成工事高や元請完成工事高を申請できなくなるため、すべての業種の点数が上がるわけではありません。
積み上げを行うかどうかは、次の点を比較して判断する必要があります。
・入札参加を希望する業種 ・積み上げ前後のX1とZ2 ・業種ごとの技術職員数 ・自治体の格付けや登録業種 ・今後の受注方針 |
完成工事高だけで判断せず、技術職員数や入札参加資格への影響も含めて検討することが重要です。
加点対象になる技術職員とは
経営事項審査においてZ点に加点される技術職員には条件があります。
誰でもいいわけではありません。
対象となる資格要件をクリアし、恒常的な雇用関係と常勤性が認められなければなりません。
◎資格要件
6点・・・1級技術者で監理技術者資格者証を所持し、監理技術者講習を修了(審査基準日が講習修了から5年以内)している者
(具体例) ✅1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士 ✅1級建築士 ✅技術士 など |
監理技術者資格者証については以下のリンク記事で詳しく解説しています。
5点・・・1級技術者
(具体例) ✅1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士 ✅1級建築士 ✅技術士 など |
4点・・・監理技術者補佐、監理技術者となる資格を有する者
(具体例) ✅1級○○施工管理技士の1次検定合格者(1級技士補) ※主任技術者の要件も満たしていること ✅実務経験で監理技術者となる資格を有する者 など |
3点・・・登録基幹技能者講習修了者、建設キャリアアップシステムレベル4の者
(具体例) ✅登録建築大工基幹技能者 ✅登録とび・土工基幹技能者 ✅登録建築塗装基幹技能者 ✅建設キャリアアップシステムで能力判定によりレベル4の者 など |
2点・・・2級技術者、1級技能者、一定の民間資格保有者、建設キャリアアップシステムレベル3の者
(具体例) ✅2級土木施工管理技士、2級建築施工管理技士 ✅2級建築士 ✅第1種電気工事士 ✅1級型枠施工技能士 ✅基礎ぐい工事士 ✅建設キャリアアップシステムで能力判定によりレベル3の者 など |
1点・・・その他の技術者
(具体例) ✅第2種電気工事士(資格取得後3年の実務経験必要) ✅給水装置工事主任技術者(資格取得後1年の実務経験必要) ✅2級型枠施工技能士(資格取得後3年の実務経験必要) ✅地すべり防止工事士(資格取得後1年の実務経験必要) ✅実務経験で主任技術者になれる者 など |
◎恒常的雇用関係と常勤性
審査基準日以前に6ヶ月を超える恒常的な雇用関係があり、雇用期間を限定されず常時雇用されている技術職員でなければ認められません。
雇用期間限定の職員や他の職員と比較して勤務日・勤務時間が短いアルバイト・パート、非常勤の役員等は認められません。(※雇用期間が限定されていても継続雇用制度の適用を受けている65歳以下の高齢者は対象となります。)
また、出向者であっても恒常的雇用関係と常勤性が確認できれば、技術職員として認められます。
恒常的雇用関係や講習修了期限の管理を誤ると、想定していた加点が認められないケースもあります。
技術職員の資格・人数が変わるとZ点・P点はどのくらい上がる?
まず、業種ごとに技術職員の点数を合計して「技術職員数値」を算出し、その数値を評点テーブルに当てはめて技術職員評点Z1を求めます。
さらに、Z1はZ点に80%反映され、Z点は総合評定値P点に25%反映されます。
つまり、資格取得によって最終的にP点が何点上がるかを確認するには、現在の技術職員数値をもとにZ1評点の変化を計算する必要があります。
▶2級資格者が1級資格者になった場合
2級施工管理技士は技術職員として2点、1級施工管理技士は5点で評価されます。
そのため、2級から1級になると、対象業種の技術職員数値は3点増加します。
2級資格者 2点⇒1級資格者 5点=技術職員数値が3点増加 |
この3点を現在の技術職員数値に加え、評点テーブルに当てはめることで、資格取得後のZ1評点を確認できます。
ただし、Z1評点の上昇分がそのままP点に反映されるわけではありません。
Z点は、「技術職員Z1×0.8+元請完成工事高Z2×0.2」で計算され、さらに総合評定値P点ではZ点に0.25を掛けます。
したがって、技術職員Z1の上昇分がP点に与える影響は、おおむね次のように考えることができます。
Z1の上昇点数×0.8×0.25
たとえば、資格取得によってZ1評点が20点上がった場合、
20点×0.8×0.25=4点
となり、P点では概算4点の上昇につながります。
▶1級資格者が監理技術者講習を修了した場合
1級資格者は通常5点ですが、監理技術者資格者証を所持し、監理技術者講習の要件を満たしている場合は6点で評価されます。
そのため、5点から6点になることで、対象業種の技術職員数値は1点増加します。
1級資格者 5点→1級資格者+監理技術者講習 6点=技術職員数値が1点増加 |
2級から1級になる場合と比較すると増加幅は小さいものの、すでに1級資格者が在籍している会社では検討しやすい点数改善策のひとつです。
ただし、6点で評価を受けるためには、資格だけでなく監理技術者資格者証や講習修了の要件を満たしている必要があります。
▶資格者を新たに採用した場合
新たに技術職員を採用した場合も、その職員の資格区分に応じて技術職員数値が増加します。
たとえば、2級資格者を1人採用すれば2点、1級資格者であれば5点が対象業種の技術職員数値に加算されます。
技術職員が少ない会社では、資格者を1人増やすだけでもZ1評点に大きく影響することがあります。
ただし、資格者を採用したからといって、直後の経審から必ず加点できるわけではありません。
次回の審査基準日を確認し、採用時期も含めて計画する必要があります。
◎資格取得前に点数をシミュレーションする
資格取得はZ点を改善する有効な方法ですが、取得する資格や対象業種によって効果は異なります。
特に、1人の技術職員を申請できるのは2業種までです。
複数業種で評価対象となる資格を取得する場合は、単に資格を取るだけでなく、
・どの業種で経審を受けるのか ・どの業種のP点を上げたいのか ・ほかの技術職員をどの業種に計上しているのか ・入札参加を希望する業種はどれか |
まで確認したうえで、申請する2業種を検討することが重要です。
資格取得や採用に取り組む前に、現在の技術職員数値からZ1評点とP点がどの程度変わるのかをシミュレーションしておくと、より効果的な対策を選びやすくなります。
最後に
Z点を上げる方法として、施工管理技士などの資格取得や資格者の採用は有効です。
ただし、技術職員は1人につき2業種までしか申請できないため、どの業種で評価を受けるかを検討する必要があります。また、資格や人数だけでなく、元請完成工事高もZ点を構成する重要な要素です。
資格取得、技術職員の採用、申請業種の選択、完成工事高の積み上げなどを個別に判断するのではなく、入札参加を希望する業種と点数への影響を事前にシミュレーションすることが重要です。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から100億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
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