建設業許可に必要な資格|専任技術者になるための条件を徹底解説!
- Ryuji Hemmi
- 2022年9月4日
- 読了時間: 8分
更新日:4月1日

「建設業許可を取得するには何か資格が必要ですか?」このようなご質問をよくお受けします。
建設業許可は経営能力、技術力、財産的基礎、適格性等、いくつかの許可要件を満たさなければ取得することができません。
この中の「技術力」というものが、まさに資格に関係する許可要件で、資格を持っている人を営業所技術者等(専任技術者)として配置できるかどうかが問われます。
しかし、必ずしも資格が必要というわけではありません。
一部業種を除きますが、資格がなくても一定の経験があれば営業所技術者等(専任技術者)の要件を満たすことができます。
この記事では、営業所技術者等(専任技術者)に必要な資格や経験、その他求められることについて詳しく解説しています。
ぜひご参考にしていただければと思います。

▼目次
(3)実務経験の証明は難しい
5.最後に
許可要件の中での営業所技術者等(専任技術者)の位置づけ
建設業許可の要件は1つでも欠けていると許可を取得することができません。
中でも営業所技術者等(専任技術者)は、請け負うことのできる業種や許可の区分(一般・特定)に直結する要件なので極めて重要といえるでしょう。
さらに、経営業務の管理責任者同様にヒトに関する要件なので、退職等で欠けてしまうリスクがあることも無視できません。
✔あわせてチェック 経営業務の管理責任者とは?要件や証明方法を完全解説! |
◎営業所技術者等(専任技術者)は技術力を表す重要な許可要件
行政の許認可の大半はヒト・モノ・カネの要件が求められます。
建設業許可は特にヒトに関する要件(経営業務管理責任者、専任技術者)について資格や経験の基準が厳しく設定されています。
営業所技術者等(専任技術者)の要件や定義から、技術力を担保するためのものであること、発注者の保護を念頭に置いていることがうかがえます。
●営業所技術者等(専任技術者)に関する要件・定義
許可を受けようとする業種に該当する資格または一定の実務経験を有する営業所技術者等(専任技術者)を、営業所ごとに専任で置かなければならない。 営業所技術者等(専任技術者)は見積作成から契約締結、施工に関する技術的な管理を行う役割を担う。 |
※営業所技術者等(専任技術者)は許可業種ごとに配置が必要です。1人で複数業種の営業所技術者等(専任技術者)になることも可能です。
※1つの業種を2人以上の営業所技術者等(専任技術者)が担当することはできません。
※原則、現場配置技術者(主任技術者・監理技術者)を兼任することはできません。

建設業許可業者は確かな技術力で適正な施工を確保しなければなりません。
営業所技術者等(専任技術者)を配置して終わりではなく、現場配置技術者(主任技術者・監理技術者)のことも頭に入れておく必要があります。
現場配置技術者(主任技術者・監理技術者)の資格や経験の基準は営業所技術者等(専任技術者)と同じです。
現場配置技術者制度について詳しく知りたい方は、以下のリンク記事もあわせてご確認ください。
営業所技術者(専任技術者)に必要な資格とは
許可を取得したい業種に応じた資格(国家資格、公的資格等)を持っていれば、営業所技術者等(専任技術者)になることができます。
難易度の高いものや資格取得後の実務経験まで求められるもの等、資格の種類はさまざまです。
令和5年の改正により、資格に対応する業種の幅が広がりました。
内容はかなり複雑なので、詳しく知りたい方は以下のリンク記事もあわせてご確認ください。
✔あわせてチェック 専任技術者の要件緩和(R5年7月)|これを機に新規許可取得、業種追加が進む!? |
◎営業所技術者等(専任技術者)になり得る国家資格等の一覧
1番スタンダードで良く知られているのが、○○施工管理技士の技術検定です。
記載されている資格を持っていると、印のついた業種の営業所技術者等(専任技術者)になることができます。
「○」は一般建設業の専任技術者になることができ、「◎」は特定建設業の専任技術者にもなることができます。
「③」は3年以上の実務経験をあわせることで、「⑤」は5年以上の実務経験をあわせることで一般建設業の専任技術者になることができます。





〈国土交通省HPから引用〉
営業所技術者等(専任技術者)に必要な実務経験とは
資格がなくても、実務経験で営業所技術者等(専任技術者)になれる可能性があります。
とはいえ、当然ながら資格での申請よりも難易度は格段に上がります。
実務経験の具体的内容や注意点についてしっかりと押さえておきましょう。
◎求められる実務経験の年数・内容

原則、求められる実務経験(許可を取得したい業種に関するもの)は10年以上です。
なお、同じ10年で複数業種の実務経験は認められません。2業種の実務経験を認めてもらうには20年以上が必要ということになります。(実務経験で営業所技術者等(専任技術者)になれるのは2業種まで)
※「電気工事業」と「消防施設工事業」においては、無資格での職務は実務経験として認められない可能性があります。
◎特定建設業の場合は特別な実務経験が求められる
特定建設業の場合は実務経験が10年以上あっても、それだけでは専任技術者になることはできません。
指導監督的実務経験が2年以上なければ認められません。
もちろん、一般建設業の専任技術者になり得る資格を持ち、2年以上の指導監督的実務経験がある場合も特定建設業の専任技術者になることができます。
指導監督的実務経験…元請として請け負った4,500万円以上の工事での指導監督的な実務経験(現場監督、工事主任など) |
【注意点】
指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)の場合は指導監督的実務経験があっても認められず、該当する国家資格等(1級レベル)がなければ、特定建設業の専任技術者になることはできません。
◎実務経験の証明は難しい
実務経験で専任技術者になるには、実務経験内容と経験期間在籍していたことを客観的に証明しなければなりません。資格での申請よりも難易度が上がる理由です。
以下の確認資料が必要になります。
✅実務経験の確認資料
・工事の「請負契約書」、「注文書・請書」、「請求書・入金履歴確認書類」のいずれか
※契約書等に記載されている工事内容から許可を受けようとする業種であることが判別できなければなりません。
※大阪府の場合、工事と工事の間が12ヵ月以上空いていなければ、連続した経験期間として認められます。各自治体によって判断が異なります。
▶許可業者での経験の場合
・「決算変更届の表紙」+「工事経歴書」(経験年数分)
※許可業者で専任技術者として就任していた場合は「建設業許可申請書の表紙」と「実務経験証明書(様式第9号)」があれば、証明できます。
✅経験期間の在籍確認資料
・「被保険者記録照会回答票」、「雇用保険被保険者証」、「雇用保険被保険者離職票」のいずれか、個人事業での専従者・従業員の場合は「所得税確定申告書第一表(給与支払内訳も)」
※証明者と申請者が同一の場合(個人事業主が事業主本人の経験を証明する場合等)は原則在籍確認資料は不要となります。
営業所技術者等(専任技術者)は営業所ごとに常勤し、専任であることが求められる
専任技術者はその名前のとおり専任でなければなりません。
専任とは、所属する営業所に常勤し、専らその職務に従事することをいいます。
会社と恒常的な雇用関係にあり、原則、勤務時間中はその営業所に勤務していることが求められます。
営業所と住居が常識的に通勤困難なほど離れていたり、他の営業所等に専任しなければならない立場であったりする場合等は専任とは認められません。
申請時には、資格や実務経験を証明するのと同時に、営業所に専任・常勤していることを証明しなければなりません。
常勤性については、以下のリンク記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
最後に
建設業を営む上で営業所技術者等(専任技術者)は、経営業務の管理責任者と並び重要な存在なので、許可申請時に厳しいチェックが行われます。
常勤性も許可取得後も更新、経営事項審査の場面において都度チェックされることになります。
また、資格がなくて実務経験で証明しなければならない場合、実務経験はあるものの、それを証明できずに許可取得を断念するということがよくあります。
実務経験の証明書類を揃えることができるか不安な場合は、ぜひ事前に専門家に相談することをご検討ください。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。 建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、建設キャリアアップシステムをサポート。 事務所HPへ |
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