Ryuji Kanemoto
建設業許可の専任技術者について徹底解説!|要件は資格or実務経験
更新日:5月14日

「建設業許可を取得するには何か資格が必要と聞いたんですけど・・・」よくこのようなご質問をいただきます。
確かに建築施工管理技士等の国家資格があると許可を取得するのが比較的容易になるという事実はありますが、必ずしも国家資格等が必要というわけでもありません。一部業種を除いて、資格がなくても許可を取得することは十分に可能です。
建設業許可を取得するには経営能力、技術力、財産的基礎、適格性などが求められます。
資格の要否というのは、この中の「技術力(=専任技術者)」に関わる話であり、言い換えると専任技術者になるためには国家資格等が必要なのかどうかということなのです。
この記事を読むと、建設業許可の技術力要件とされている専任技術者がどのような位置づけで、何が求められるのかが分かります。
ぜひご参考にしていただければと思います。
▼目次
(1)特定建設業においては通常の実務経験のみでは専任技術者になれない
6.最後に
許可要件の中で技術力(=専任技術者)は超重要
建設業許可の要件はすべてが重要で、どれか1つでも欠けると許可を取得することができません。
その中でも専任技術者は、請け負うことができる業種や許可の区分(一般・特定)にまで直結する要件、かつ経営業務管理責任者同様にヒトに関する要件なので特に重要と言えるでしょう。
◎専任技術者は資格か実務経験が求められる
行政の許認可ではヒト・モノ・カネの要件が求められることが多いですが、建設業許可の場合、ヒトの部分で経験や資格が厳格に求められます。許可取得が難しいと言われる所以です。
●技術力があること 許可を受けようとする業種の建設工事の施工に関する一定の資格または実務経験を有する技術者で、専任の者(専任技術者)を営業所ごとに置かなければなりません。 専任技術者とは営業所において見積作成や契約締結、注文者との施工に関する技術的なやりとりなどを行う役割を担っていて、建設業を営む上での要と言えるでしょう。 ※専任技術者は許可業種ごとに配置が必要です。1人で複数業種の専任技術者になることも可能です。 ※1つの業種を2人以上の専任技術者が担当することはできません。 |
●経営能力があること
「経営業務の管理を適正に行う能力」の裏付けとして、建設業に関して一定の経営経験がある常勤役員等(経営管理責任者)を置かなければなりません。また、事業所として適切に社会保険に加入している必要があります。
●財産的基礎・金銭的信用があること
請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していることが求められます。
●欠格要件に該当しないこと、誠実性があること
法人の役員等すべてと個人その本人、支配人が、欠格要件に該当していると絶対に許可を取得することはできません。申請書に虚偽記載があったり、重要なことを記載しなかったり、禁固以上の刑を受けて5年経過していない等、定められた欠格要件に1つでも該当してはなりません。
●営業所を有していること
建設業の営業を行う事務所を主たる営業所として設置しなければなりません。
常時使用する権限や固定電話、事務機器等設備が必要となります。
どんな資格があれば専任技術者になり得るのか
実務経験を証明するよりも資格を持っていることを証明する方が簡単であることは言うまでもありません。
許可を取得したい業種の専任技術者になり得る国家資格等を持っていれば、合格証書等を提示するだけで要件を満たすものとして認められます。例外的に、資格取得後の実務経験を求められる資格もあります。
◎専任技術者になり得る国家資格等の一覧
該当する資格を保有していれば、その業種の専任技術者になり得ます。
特定建設業の専任技術者になるには、基本的に1級レベルの国家資格等が必要になります。



〈国土交通省HPから引用〉
専任技術者になり得る実務経験とは
資格がなくても、許可を取りたい業種の実務経験が10年以上あれば、技術力があるものとして認めてもらうことができます。
業種に応じた指定学科を大学で修了した人は実務経験を3年に、高校で修了した人は実務経験を5年に短縮できます。
どこまでが実務経験として認められるかというと、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験が対象となります。ただし、単に建設工事の雑務のみ行っていた場合は経験として認められません。
設計技術者や現場監督や土工及びその見習いの経験等は認められます。
※「電気工事業」と「消防施設工事業」においては、資格のない職務は実務経験として認められません。
◎特定建設業においては通常の実務経験のみでは専任技術者になれない
実務経験が10年以上あっても特定建設業の専任技術者になることはできません。指導監督的実務経験が2年以上なければ認められません。指導監督的実務経験とは、元請として請け負った4,500万円以上の工事において現場監督のような立場での実務経験を指します。
もちろん、一般建設業の専任技術者になり得る資格を保有する者が、指導監督的実務経験を2年以上持っている場合も特定建設業の専任技術者になることができます。
ただし、指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)の場合は指導監督的実務経験があっても認められません。該当する国家資格等がなければ、特定建設業の専任技術者になることはできません。
実務経験は客観的な資料で証明しなければならない
専任技術者の要件を実務経験で証明する場合、客観的に経験を証明できる確認書類を準備しなければなりません。
以下の各書類で実務の経験とその期間在籍していたことを証明しなければなりません。
実務経験確認
・工事の契約書、注文書・請書、請求書・入金履歴のいずれか
※契約書等に記載されている工事内容から許可を受けようとする業種であることが判別できなければなりません。
※大阪府の場合、工事と工事の間が12ヵ月以上空いていなければ、連続した経験期間として認められます。各自治体によって判断が異なります。
>許可業者での経験の場合
・決算変更届の表紙+工事経歴書(経験年数分)
※許可業者で専任技術者として就任していた場合は建設業許可申請書の表紙と実務経験証明書(様式第9号)があれば、証明できます。
在籍確認
・被保険者記録照会回答票、雇用保険被保険者証、雇用保険被保険者離職票のいずれか、個人の場合は所得税確定申告書類
被保険者記録照会回答票はマイナンバーカードがあれば、「ねんきんネット」で簡単に出力できます。
現在の会社で常勤していることが求められる
専任技術者は営業所ごとに専任の技術者なので、常勤していることが求められます。
資格を持っていることや実務経験があることを証明するのと同時に、現在常勤であることを証明しなければなりません。
常勤性については、別記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
最後に
建設業を営む上で専任技術者は、経営業務の管理責任者と並び重要な存在なので、許可申請時に厳しいチェックが行われます。
常勤性は、許可取得後も更新や変更、経営事項審査の場面において都度チェックされることになります。
また、資格がなくて実務経験で証明しなければならない場合、実務経験はあるものの、それを証明できずに許可取得を断念するということがよくあります。
実務経験の証明書類を揃えることができるか不安な場合は、ぜひ事前に専門家に相談することをご検討ください。
![]() | この記事は行政書士が執筆・監修しています。 アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ) 本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。 行政書士の詳しいプロフィールはこちら |
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