建設業者は許可取得時の申請内容に変更があった場合には、定められた期限内に各種変更届を提出しなければなりません。建設業法に基づいて課せられる義務のひとつです。
許可業種を担当する専任技術者が欠けた場合に代わりの者がいなければ、その業種を廃業しなければなりません。
その業種のみで許可を受けている会社であれば、当然、許可自体を取り消されることになります。
そのぐらい許可要件を維持することは重要なので、直接許可要件に関わる変更が生じた場合は、短い期限内での変更届提出を厳格に求められます。
この記事では専任技術者に変更が生じたときの手続きについて解説しています。
ぜひご参考にしていただければと思います。
| どんな場合に変更届を提出しなければならないのか
◎専任技術者の担当業種の変更又は有資格区分の変更
担当業種の変更の具体例としては、現在「土木工事業」「大工工事業」「とび・土工工事業」を担当している専任技術者の担当業種を「大工工事業」のみに変更し、「土木工事業」「とび・土工工事業」を担当する新たな専任技術者を追加するようなケース(配置技術者との兼ね合いを考えて)があります。
有資格区分の変更というのは、2級土木施工管理技士で専任技術者となっている人が1級土木施工管理技士に合格したので、資格区分を変更するというものです。特定建設業許可を取得するために有資格区分の変更手続きを行うというケースが多いのではないでしょうか。
◎専任技術者の追加
交代に伴い新たな人が専任技術者に就任する場合と営業所の新設に伴い新たな人が専任技術者に就任する場合が該当します。
◎専任技術者の削除
交代に伴い前任の人が専任技術者を退任する場合(新たに就任する人がいる場合)が該当します。
専任技術者が交代する場合は追加と削除を同時に手続きします。
◎専任技術者が所属する営業所の変更
転勤等で営業所が変わり、転勤先の営業所で新たに専任技術者として就任する場合が該当します。
◎専任技術者の氏名変更
婚姻等で専任技術者の氏名が変わる場合が該当します。
◎基準を満たさなくなったことによる専任技術者の削除、一部業種や営業所の廃止等に伴う専任技術者の削除
退職等で専任技術者が欠ける場合(新たに就任する人がいない場合)、一部業種や営業所の廃止等に伴い専任技術者の配置が不要になる場合が該当します。
◎一部業種の廃止に伴う担当又は所属する営業所の変更
廃業しない業種について引き続き専任技術者となる場合、及び営業所の廃止に伴い、他の営業所で引き続き専任技術者になる場合が該当します。
| いつまでにどんな届出が必要なのか
◎事実発生後14日以内
専任技術者は建設業許可を維持するための重要要件の1つなので、提出期限は短く設定されています。
他にも経営業務の管理責任者に関わる事項、社会保険加入に関わる事項、欠格要件に関わる事項などは同じく事実発生後14日以内の提出期限とされています。
◎届出に必要な書類
変更届表紙と変更届出書(第一面)とあわせて専任技術者に関する書類を提出・提示します。
●専任技術者の担当業種の変更又は有資格区分の変更
・変更届表紙
・変更届出書(第一面)[様式第22号の2]
・専任技術者一覧表[様式第1号別紙4]
・専任技術者証明書(新規・変更)[様式第8号]
※技術的資格を証する以下の書類のうち該当するもの
・実務経験証明書[様式第9号]
・卒業証書の写し又は卒業証明書の原本
・国家資格等の資格を証する書面の写し
・監理技術者資格者証の写し
・指導監督的実務経験証明書[様式第10号]
・登録解体工事講習修了証の写し(解体工事業の専任技術者で講習を修了している場合)
【変更届出書(第一面)記載例】
(提示書類)
・実務経験確認書類
●専任技術者の追加
・変更届表紙
・変更届出書(第一面)[様式第22号の2]
・専任技術者一覧表[様式第1号別紙4]
・専任技術者証明書(新規・変更)[様式第8号]
※技術的資格を証する以下の書類のうち該当するもの
・実務経験証明書[様式第9号]
・卒業証書の写し又は卒業証明書の原本
・国家資格等の資格を証する書面の写し
・監理技術者資格者証の写し
・指導監督的実務経験証明書[様式第10号]
・登録解体工事講習修了証の写し(解体工事業の専任技術者で講習を修了している場合)
【変更届出書(第一面)記載例】
(提示書類)
・常勤性の確認書類(関連記事:「建設業許可申請における常勤性の確認について」)
・実務経験確認書類
●専任技術者の削除(交代の者がいる場合)
・変更届表紙
・変更届出書(第一面)[様式第22号の2]
・専任技術者一覧表[様式第1号別紙4]
・専任技術者証明書(新規・変更)[様式第8号]
※追加の届出と同時に提出します。
【変更届出書(第一面)記載例】
(提示書類)
不要
●専任技術者が所属する営業所の変更
・変更届表紙
・変更届出書(第一面)[様式第22号の2]
・専任技術者一覧表[様式第1号別紙4]
・専任技術者証明書(新規・変更)[様式第8号]
【変更届出書(第一面)記載例】
(提示書類)
不要
●専任技術者の氏名の変更
・変更届表紙
・変更届出書(第一面)[様式第22号の2]
・専任技術者一覧表[様式第1号別紙4]
・専任技術者証明書(新規・変更)[様式第8号](旧氏名の削除)
・専任技術者証明書(新規・変更)[様式第8号](新氏名の追加)
【変更届出書(第一面)記載例】
(提示書類)
戸籍抄本、住民票等
●基準を満たさなくなったことによる専任技術者の削除、一部業種や営業所の廃止等に伴う専任技術者の削除
・変更届表紙
・変更届出書(第一面)[様式第22号の2]
・専任技術者一覧表[様式第1号別紙4]
・届出書[様式第22号の3]
・廃業届[様式第22号の4]
※一部業種廃業ではなく、全部廃業する場合は廃業届のみの提出
(提示書類)
不要
●一部業種の廃止に伴う担当又は所属する営業所の変更
・変更届表紙
・変更届出書(第一面)[様式第22号の2]
・専任技術者一覧表[様式第1号別紙4]
・専任技術者証明書(新規・変更)[様式第8号]
・届出書[様式第22号の3]
・廃業届[様式第22号の4]
(提示書類)
不要
| 最後に
専任技術者は一般の社員が担当している事例も多く、退職で欠けてしまうことは普通に起こります。
経営業務の管理責任者の変更に比べて、手続きの機会は多くなります。
正しく変更届を提出していなければ、更新や業種追加、経営事項審査の手続きができないので、提出忘れのないよう十分注意しましょう。
代わりの専任技術者がいない場合は、担当業種を廃業(許可をなくす)しなければなりません。
許可を維持し、安定経営を続けていくためにも、目の前のことだけではなく、先を見据えた組織運営を心掛けていきたいところです。
場合によっては、毎年の決算変更届や経営事項審査も含めて行政書士との顧問契約を検討するのも良いかもしれません。
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