経審改正のポイント解説!|「資本性借入金」の取り扱いがどう変わった?
- Ryuji Hemmi
- 4 日前
- 読了時間: 4分

令和7年7月の経営事項審査改正で、本来は負債である「資本性借入金」が自己資本として評価されることになりました。
上手く活用することができれば、経営事項審査の点数アップが期待できます。
「資本性借入金」とはそもそもどういうものなのか。
経営事項審査で評価対象として認められるにはどのような要件を満たさなければならないのか。
制度の内容をよく理解し、上手く活用したいところです。
▼目次
3.本改正の概要
4.最後に

「資本性借入金」とは
会計上は負債であるものの、金融機関が評価するときに資本としてみなしてもらえる借入を「資本性借入金」や「資本性劣後ローン」といいます。
【要件】
①償還期間が5年超
➁期限一括償還
③配当可能利益に応じた金利設定
・業績連動型が原則
・債務者が厳しい状況にある期間は、これに応じて金利負担が抑えられるような仕組みが講じられていること
④法的破綻時の劣後性
【メリット】
①金融機関からの評価が上がる
仮に会計上債務超過の状況であっても、資本性借入金を自己資本とみなすことで債務超過と判定されなくなる場合もあります。

➁資金繰りが改善する
超長期の期限一括償還で、借入期間中の元金返済がありません。
毎月の返済負担が減り、資金繰り改善が期待できます。
「資本性借入金」の取り扱いが多いのが、日本政策金融公庫と商工組合中央金庫です。
日本政策金融公庫の新型コロナ対策資本性劣後ローンで累計10,030件、1兆1,648億円(令和6年3月時点)。
現在は通常時の資本性劣後ローンが拡充され、積極的な活用が促進されています。
経営事項審査の点数算出の仕組み
経営事項審査では、完成工事高(X1)、自己資本・営業利益(X2)、経営状況分析(Y)、技術力(Z)、社会性等(W)というカテゴリーごとに実績・取組を点数化し、計算式に当てはめて総合評定値(P)を決定します。
総合評定値(P)=(X1×0.25)+(X2×0.15)+(Y×0.20)+(Z×0.25)+(W×0.15) |
✓あわせてチェック 経営事項審査(経審)の点数を正しく上げる方法を解説!【3つのポイント】 |
本改正の概要
本改正により、経営状況分析(Y)と自己資本・営業利益(X2)の点数計算の際に、「資本性借入金」を負債から控除し、自己資本に加算して点数を計算できることになりました。
【計算】
経営状況分析(Y)
・負債回転期間[数値が低いほど評価高]…(流動負債+固定負債)/月当たり売上×100
→固定負債から「資本性借入金」を控除
・自己資本対固定資産比率[数値が高いほど評価高]…自己資本/固定資産×100
→自己資本に「資本性借入金」を加算
・自己資本比率[数値が高いほど評価高]…自己資本/総資本×100
→自己資本に「資本性借入金」を加算
自己資本・営業利益(X2)
・自己資本額・営業利益…(自己資本+営業利益2期平均)/2
→自己資本に「資本性借入金」を加算
【申請方法】
公認会計士、税理士、1級建設業経理士から「資本性借入金」の要件を満たしている借入金であることの証明を受け、「資本性借入金」該当証明書を契約書等とともに経営状況分析、経営事項審査の申請時に提出します。

最後に
資本性借入金の取り扱い改正は、経営事項審査における経営状況分析(Y)、自己資本額・平均利益額(X2)の評価に大きな影響を与えます。
これを機に、自社の財務状況を見直し、経営事項審査の点数アップも視野に入れた資金調達を検討してみてはいかがでしょうか。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。 ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。 建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、 建設キャリアアップシステムをサポート。 事務所HPへ |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
ぜひお気軽にご相談ください。ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。
Comments