top of page

【建設業許可の承継認可】個人事業主が法人成りする時に許可を引き継ぐ方法

執筆者の写真: Ryuji HemmiRyuji Hemmi

更新日:2月15日

監理技術者等の専任義務の合理化


建設業許可を受けている個人事業主が法人化(法人成り)するという事例はよくあります。


「許可を取り直さなければならないのか、または、許可を引き継ぐことができるのか」

許可業者であれば、必ず考えることではないでしょうか。


以前であれば個人事業主としての許可を廃業し、法人として新たに許可を取り直すという選択肢しかありませんでした。しかし、いまは個人事業主から法人へ許可を引き継ぐ方法があります。


建設業許可の承継の認可申請という方法です。


本記事では大阪府での認可申請をわかりやすく解説しているので、法人化(法人成り)を検討されている方はぜひご参考にしてください。



▼目次



建設業許可申請サービス案内

経審申請サービス案内

入札参加資格審査申請代行サービス


事前に認可を受けると法人に許可を引き継ぐことができる


以前からある「許可を廃業して新たに許可を取り直す方法」では、許可が下りるまでの空白期間(無許可期間)が生じ不利益になってしまうため、許可を引き継ぐことができる承継制度ができました。


◎承継認可の概要

法人化(法人成り)する場合、個人から法人への事業譲渡の効力が発生する前に認可を受けることで許可を引き継ぐことができます。


法人化(法人成り)だけではなく、個人から個人法人から個人法人から法人への事業譲渡及び法人の合併・分割も承継制度の対象となります。


また、個人事業の相続の場合も死亡後30日以内に認可を受けることで許可を引き継ぐことができます。


いずれの場合も引き継ぐ側が許可要件を満たしていなければ、認可を受けることはできません。


◎承継認可のメリット・デメリット

承継の認可申請は廃業+新規申請に比べると、手続きが煩雑ではあるものの、得られるメリットは大きいでしょう。


【メリット】

・無許可期間がない

・許可番号を引き継ぐことができる

・営業年数を引き継ぐことができる(経審における加点)

・申請手数料が不要 

※許可取り直しの場合、新規申請手数料9万円が必要


【デメリット】

・監督処分や経審の結果が引き継がれる

・法人設立後も個人事業主としての許可を維持しなければならないので、承継の日までは法人の活動はできない

※銀行口座作成、法人設立届出、青色申告承認申請は可能



認可を受けるための要件


●事業譲渡の効力が発生する前に認可を受けること

事業譲渡は譲渡契約で定めた期日に効力が発生するので、それまでには認可を受けなければなりません。 事業譲渡された後から遡って認可を受けることはできないので注意しましょう。

●建設業の全部を承継すること

個人事業主が受けていた建設業許可の全部を承継しなければなりません。

一部のみを選択し、承継することはできないので、承継しない業種がある場合は事前に一部廃業する必要があります。

●個人事業主が大阪府知事の許可を受けていること

新規設立する法人も大阪府に営業所を置き、大阪府に申請します。

他府県に営業所を置く場合は、国土交通大臣の認可が必要になります。

※すでに建設業許可を受けている業者同士の事業譲渡で、お互いが同一業種の許可を取得している場合は、一般・特定の区分が同じでなければなりません。



認可申請の具体的な手続き


法人化(法人成り)で許可を引き継ぐ認可申請は流れが複雑になります。

順序通り進めなければ、許可取り消しになることもありえるので十分に注意しましょう。


◎全体の流れ

〈ポイント〉

事前相談はできる限り早めに予約する

申請等がスムーズに進むとは限りません。遅くとも2ヶ月前には事前相談を予定しましょう。


譲渡契約は承継元(個人事業主)と承継先(法人代表者)の双方の立場で行う

認可申請の際に事業譲渡契約書及び株主総会議事録が必要になります。


常勤性・専任性の維持のため社会保険加入日は事業譲渡の効力発生日に合わせる

事業譲渡の効力発生日より前や後で社会保険に加入すると、個人事業主および法人の役員の常勤性・専任性が失われることになります。


承継後に提出・提示する書類(健康保険加入関係)は2週間以内に用意する


◎申請書類

1.譲渡及び譲受け認可申請書(様式22号の5】

2.役員等の一覧表【様式別紙1】

3.営業所一覧表【様式別紙2】

4.営業所技術者等一覧表【様式別紙3】

5.工事経歴書(直近1年分)【様式2号】

6.直前3年の各事業年度における工事施工金額【様式3号】

7.使用人数【様式4号】

8.誓約書【様式6号】

9.健康保険等の加入状況【様式7号の3】

10.財務諸表【様式15~17号の3】

11.定款

12.営業の沿革【様式20号】

13.所属建設業者団体【様式20号の2】

14.主要取引金融機関名【様式20号の3】

15.常勤役員等証明書【様式7号】

16.常勤役員等の略歴書【様式7号別紙】

17.健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入に関する確認書類

18.営業所技術者等証明書【様式8号】

19.資格者証または実務経験証明書【様式9号】

20.許可申請者の住所、生年月日等に関する調書【様式12号】

21.ないこと証明

22.身分証明書

23.株主(出資者)調書【様式14号】

24.商業登記簿謄本

25.設立等申告書控え

26.健康保険等の加入状況及びその確認資料の提出に関する誓約書【様式22号の6】

27.承継方法等確認書類及び意思確認書類(事業譲渡契約書、株主総会議事録)

28.営業所概要書【府規則1号】


※「9.健康保険等の加入状況【様式7号の3】」と「17.健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入に関する確認書類」は、認可申請の時点では用意できないので承継日から2週間以内に提出しなければなりません。


 

最後に


個人事業主が法人化(法人成り)する場合の認可申請について解説いたしました。

許可を引き継ぐことによるメリットは多くありますが、新規申請等に比べると認可申請は複雑です。


特に社会保険加入のタイミング等、スケジュール管理を誤ると大変なことになってしまいます。


申請書類も多岐にわたるので、建設業を専門とする行政書士に相談する方が安全といえるでしょう。




この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ)|行政書士

アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。 ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。

建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、 建設キャリアアップシステムをサポート。 事務所HPへ


当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。


ぜひお気軽にご相談ください。ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。




Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page