電気通信工事業の建設業許可|LAN配線・防犯カメラ設置でも必要?要件・申請手順を解説
- Ryuji Hemmi

- 5月24日
- 読了時間: 12分

LAN配線、防犯カメラ設置、電話設備・放送設備の設置などを行う場合、電気通信工事業の建設業許可が必要になることがあります。
電気通信工事業は、通信設備やネットワーク設備などを設置する工事が対象となる業種です。
ただし、電気通信設備に関する業務であっても、点検、保守、運用、設定作業などが中心で、設備の設置や改修を伴わない場合は、工事ではなく業務委託・役務提供として扱われることがあります。
そのため、簡易な作業や設定、保守業務が中心の場合、そもそも工事に該当するのか判断に迷うこともあります。
この記事では、電気通信工事業に該当する工事、建設業許可が必要となるケース、業務委託との違い、電気工事業との違い、許可取得の要件、専任技術者の資格・実務経験、申請手順について解説します。

💡この記事のポイント ・LAN配線、防犯カメラ設置、電話設備・放送設備の設置などは電気通信工事に該当 ・点検、保守、運用、設定作業などが中心の場合、建設工事ではなく業務委託・役務提供として扱われることがある。 ・1件の請負代金が500万円以上となる電気通信工事を請け負うには、建設業許可が必要。 ・資格がない場合でも電気通信工事の実務経験を資料で証明できれば許可取得可能。 |
▼目次
8.最後に
電気通信工事業で許可取得を検討すべきタイミング
電気通信工事は、店舗、オフィス、商業施設、学校、病院、工場など、さまざまな建物で必要とされる工事です。
また、通信設備やネットワーク設備は専門性が高いため、内装工事や建築工事の一部として簡単に対応できるものではありません。
電気通信工事業の建設業許可は、単に「500万円以上の工事を請け負うため」だけのものではなく、安定的な受注につなげ、取引先からの信用を高めるためにも欠かせません。
具体的に、次のような状況に当てはまる場合は、電気通信工事業の建設業許可取得を検討するタイミングといえるでしょう。
・500万円以上の電気通信工事を請け負う可能性がある。 ・店舗、オフィス、商業施設、学校、病院、工場などの設備工事を受注したい。 ・元請会社や取引先から建設業許可の有無を確認されることが増えてきた。 ・業務委託として受けている案件に、配線や機器設置などの工事が含まれている。 ・将来、公共工事や自治体案件への参入を視野に入れている。 |
電気通信工事業で建設業許可が必要になるケース
電気通信工事業で建設業許可が必要になるのは、1件の請負代金が500万円以上となる電気通信工事を請け負う場合です。
この500万円は、消費税込みの金額で判断します。
また、注文者から通信機器、ケーブル、防犯カメラ、アクセスポイントなどの材料や機器を支給される場合でも、その市場価格や運送費を含めて判断する点に注意が必要です。
契約書や請求書を分割しても、実態として1つの工事であれば、合計金額で判断されます。
たとえば、オフィス、学校、病院、介護施設、工場などで、LAN配線、Wi-Fiアクセスポイント設置、防犯カメラ設置、電話設備、放送設備、ナースコール設備などをまとめて請け負う場合、請負金額が500万円以上となることがあります。
特に、建物全体のネットワーク設備工事や、施設全体の防犯カメラ・通信設備工事では、500万円基準を超える可能性があるため注意が必要です。
電気通信工事業とは|LAN配線・防犯カメラ設置・電話設備工事などが該当
電気通信工事業とは、有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備などの電気通信設備を設置する工事をいいます。
代表的なものは、電話設備工事、光回線工事、LAN配線工事、ネットワーク機器設置工事、防犯カメラ設置工事、Wi-Fiアクセスポイント設置工事、放送設備工事、ナースコール設備工事、インターホン設備工事など。
オフィスビルや商業施設では、通信事業者が回線をMDFなどの共用部分まで引き込み、そこから各区画や各フロアまでの配線・機器設置を電気通信工事業者が行うケースも少なくありません。
LAN配線や防犯カメラ設置、Wi-Fi環境構築などは、自治体の入札案件では「業務委託」として発注されていることがあります。
しかし、契約名が「業務委託」であっても、実際の業務内容としてLANケーブルの敷設、通信機器の設置、防犯カメラの据付、アクセスポイントの取付、配線、施工図や完成図書の作成などが含まれる場合は、建設業法上の電気通信工事に該当する可能性があるので注意が必要です。
一方で、既設設備の点検、保守、運用、監視、通信回線の提供、ソフトウェア設定、ネットワーク設定、クラウド録画管理などが中心で、設備の設置・改修・修繕・補修を伴わない場合は、建設工事ではなく業務委託・役務提供として扱われることがあります。
したがって、LAN配線や防犯カメラ設置に関する案件では、契約名だけで判断するのではなく、仕様書や見積内容に記載された作業内容を確認することが重要です。
電気通信工事業の許可取得の6つの要件
電気通信工事業の建設業許可を取得するためには、次の6つの要件をすべて満たす必要があります。
●経営業務の管理責任者…建設業での経営経験5年以上が基本。法人なら役員、個人なら本人。
●専任技術者…国家資格(施工管理技士、工事担任者など)または実務経験10年以上。
●財産的基礎…自己資本500万円以上、または500万円以上の預金残高証明。
●誠実性・欠格要件…虚偽申請や行政処分歴、暴力団関係等がないこと。
●営業所…実体を備えた事務所があること(机・電話・商号掲示など)。
●社会保険等…法律上加入義務のある保険に加入していること(社会保険・労働保険)
この6つの中でも、電気通信工事業で特に重要になるのが専任技術者の要件です。資格で証明できる場合もありますが、資格がない場合には、電気通信工事の実務経験を資料で証明できるかがポイントになります。
専任技術者の資格・実務経験
専任技術者になる方法には、資格で証明する方法と、実務経験で証明する方法があります。
電気通信工事業では、電気通信工事施工管理技士、電気通信主任技術者、工事担任者などの資格が対象になります。
ただし、資格の種類によっては、資格取得後に一定年数の実務経験が必要となるものもあります。
資格を持っていない場合でも、電気通信工事に関する実務経験を証明できれば、一般建設業の専任技術者になれる可能性があります。
ただし、実務経験で申請する場合、許可を取れるかどうかは「実務経験を証明できる資料が残っているか」が大きなポイントになります。
【主な資格】
・1級電気通信工事施工管理技士
・2級電気通信工事施工管理技士
・技術士「電気電子部門」
・技術士「総合技術監理部門(電気電子)」
・電気通信主任技術者
・工事担任者 第1級アナログ通信
・工事担任者 第1級デジタル通信
・工事担任者 総合通信
なお、電気通信主任技術者については、資格者証の交付を受けた後、電気通信工事に関する5年以上の実務経験が必要です。
また、工事担任者については、資格者証の交付を受けた後、電気通信工事に関する3年以上の実務経験が必要です。
【実務経験】
資格がない場合でも、電気通信工事に関する実務経験が10年以上あれば、一般建設業の専任技術者になることができます。
ここでいう実務経験とは、単なる補助作業や雑務ではなく、電気通信工事の施工に関する技術上の職務経験をいいます。
たとえば、LAN配線、防犯カメラ設置、通信設備工事、放送設備工事などの施工、現場管理、段取り、工程管理など、電気通信工事の施工に関わる経験が対象になります。
◎指定学科による実務経験期間の短縮
指定学科を卒業している場合は、必要な実務経験年数を短縮できます。
・大学、短期大学、高等専門学校などで指定学科を卒業した場合:実務経験3年
・高校などで指定学科を卒業した場合:実務経験5年
電気通信工事業の指定学科は、電気工学または電気通信工学に関する学科です。
●特定建設業の場合
特定建設業では、一般建設業よりも要件が厳しくなります。
電気通信工事業で特定建設業許可を取得する場合、一般建設業の専任技術者要件を満たすだけでは足りないケースがあります。
一定の国家資格を持っている場合を除き、発注者から直接請け負った一定金額以上の工事について、2年以上の指導監督的実務経験が必要になります。
一般建設業と特定建設業では、専任技術者に求められる要件が異なるため、元請として大規模工事を請け負う予定がある場合は注意が必要です。
●実務経験で申請する場合の注意点
実務経験で申請する場合は、経験年数だけでなく、それを客観的に証明できるかが重要です。
請負契約書、注文書・請書、請求書、入金資料などを用いて、工事内容、工事期間、請負関係、経験者の立場などを確認できるようにしておく必要があります。
特に、資格を持っていない事業者の場合、「10年以上電気通信工事をしてきた」という実態があっても、資料が残っていなければ実務経験を証明できないことがあります。
実務経験で許可申請を考える場合は、過去の工事資料がどの程度残っているかを早めに確認しておくことが重要です。
許可申請の流れと提出書類
電気通信工事業の建設業許可申請は、他の業種と同様に、要件を確認し、証明書類を準備したうえで、申請書類を作成して行政庁へ提出する流れで進みます。
もっとも、実際には申請書を作る前に、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を満たしているか、証明資料がそろうかを確認することが重要です。
申請の流れは、大きく次の3段階です。
1️⃣ 証明書類の準備
・経営経験を示す書類(確定申告書・履歴事項全部証明書・工事契約書など)
・専任技術者の資格を証明する合格証書または実務経験証明書・工事契約書など
・財産的基礎を示す財務諸表や残高証明書
2️⃣ 申請書類の作成
・申請区分(新規・業種追加・般特新規)に応じて作成
・約20種類の書類を正本・副本で提出
3️⃣ 行政庁窓口への申請
知事許可:申請手数料9万円(更新5万円)
大臣許可:登録免許税15万円(更新5万円)
審査期間:約30日(大阪府の場合)
電気通信工事業の許可を取得するメリット
電気通信工事業の建設業許可を取得することで、単に500万円以上の工事を請け負えるようになるだけでなく、受注できる工事の幅や対外的な信用力の面でも大きなメリットがあります。
✅元請・取引先からの信用力が高まる
建設業許可を取得していることで、一定の要件を満たした事業者であることを示すことができ、元請会社や取引先からの信用向上につながります。
✅専門工事として受注しやすくなる
電気通信工事業は専門的な知識や施工経験が求められる工事です。
内装工事や建築工事の一部として簡単に自社施工できるものではないため、電気通信工事業の許可を取得しておくことで、専門工事業者として受注できる機会が広がります。
✅店舗・オフィス・施設の設備工事に対応しやすくなる
電気通信工事業の許可があると、店舗、オフィス、商業施設、学校、病院、介護施設、工場などの通信設備工事に対応しやすくなります。
特に、オフィス移転、店舗改装、学校・病院・介護施設の設備更新、工場のネットワーク設備工事などでは、工事全体の規模が大きくなることがあります。
建設業許可を取得しておくことで、これまで受注を見送っていた案件や、元請から相談された大型案件にも対応しやすくなります。
✅自治体案件や公共工事への入口になる
電気通信工事業の許可があれば、将来的に経営事項審査や入札参加資格申請を経て、自治体案件や公共工事に関わる道も開けます。
すぐに公共工事を目指す予定がない場合でも、建設業許可を取得しておくことで、将来的な事業展開の選択肢を広げることができます。
最後に
電気通信工事業は、LAN配線、防犯カメラ設置、Wi-Fi設備、電話設備、光回線、放送設備など、通信設備やネットワーク設備を設置する工事業種です。
1件の請負代金が500万円以上となる電気通信工事を請け負うには、電気通信工事業の建設業許可が必要です。
一方で、電気通信設備に関する業務であっても、点検、保守、運用、設定作業などが中心で、設備の設置や改修を伴わない場合は、建設工事ではなく業務委託・役務提供として扱われることがあります。
LAN配線や防犯カメラ設置に関する案件では、契約名だけで判断するのではなく、仕様書や見積内容に記載された作業内容を確認することが重要です。
資格がない場合でも、過去の電気通信工事の実務経験を証明できれば、電気通信工事業の許可を取得できる可能性があります。
ただし、実務経験で申請する場合には、注文書、請求書、契約書、入金資料などの確認が重要です。
大阪府で電気通信工事業の建設業許可を取得したい方は、早めに要件確認と資料確認を進めましょう。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
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