top of page

建築一式工事の建設業許可|何でも請け負える?専門工事との違い・要件を解説

  • 執筆者の写真: Ryuji Hemmi
    Ryuji Hemmi
  • 7 日前
  • 読了時間: 13分

建設業許可の建築工事業を取得する

「建設業許可を取るなら、とりあえず建築一式工事の許可を取ればよい」と考えている方がいます。


しかし、建築一式工事の許可はすべての建設工事を自由に請け負える万能な許可ではありません。


専門工事を単体で請け負う場合には、建築一式工事ではなく、それぞれの専門工事業の許可が必要になることがあります。


そのため、建築一式工事の許可を検討する場合は、自社が請け負う工事が建築一式工事なのか、それとも専門工事なのかを整理することが重要です。


この記事では、建築一式工事に該当する工事、専門工事との違い、建設業許可が必要となるケース、許可取得の要件、専任技術者の資格・実務経験、申請手順について解説します。


💡この記事のポイント

・建築一式工事の許可はすべての専門工事を自由に請け負える万能な許可ではない。

・内装仕上工事、屋根工事、塗装工事、防水工事、大工工事などの専門工事を単体で500万円以上請け負う場合は、それぞれの専門工事業の許可が必要。

・建築一式工事は住宅の新築工事や大規模な増改築工事など、総合的な企画・指導・調整のもとで建築物を建設する工事。

・請負代金が1,500万円以上、または木造住宅で延べ面積が150㎡以上となる場合に許可が必要。

・専任技術者は建築施工管理技士、建築士、または実務経験などが必要。



▼目次

11.最後に 



建設業許可のご依頼はこちら

建設業許可 料金


建築一式工事の許可を検討すべき事業者


建築一式工事は、請負金額が大きくなりやすく、許可がなければ受注できない場面が多い業種です。


具体的に次のような状況に当てはまる事業者は、建築一式工事の許可取得を検討する必要があるでしょう。


・住宅の新築工事を元請として請け負う

・建築確認を伴う増改築工事を請け負う

・店舗、事務所、倉庫、商業施設などの建築工事を請け負う

・複数の業者を取りまとめる立場で工事を受注する

・将来、建築一式工事で公共工事や入札参加を視野に入れている


建築一式工事を事業として行う場合は、創業時や事業拡大の早い段階から、許可取得の可否を確認しておくことが重要です。



 建築一式工事で建設業許可が必要になる基準


建築一式工事で建設業許可が必要になるのは、原則として1件の請負代金が1,500万円以上となる工事を請け負う場合です。


請負代金が1,500万円未満であっても、木造住宅で延べ面積が150㎡以上となる工事については、建設業許可が必要になります。この1,500万円は消費税込みの金額で判断します。


また、注文者から材料を支給される場合でも、その材料の市場価格や運送費を含めて判断する点に注意が必要です。


契約書や請求書を分割しても実態として1つの工事であれば、合計金額で判断されます。


住宅の新築工事、大規模な増改築工事、店舗や事務所の建築工事などでは請負代金が1,500万円以上となることが多いため、建築一式工事の許可が必須と考えた方が良いでしょう。



建築一式工事とは…住宅新築・大規模増改築などが該当


建築一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとで建築物を建設する工事をいいます。


代表的なものとして、住宅の新築工事、建築確認を必要とするような大規模な増改築工事、店舗や事務所、商業施設などの建築工事が考えられます。


建築一式工事は、工事全体を一体として完成させる性質があるため、基本的には元請として請け負うケースが想定されています。


工事名に「建築工事」と書かれていても、実際の内容が内装仕上、外壁塗装、防水施工などの専門工事の範囲にとどまるようであれば、基本的に建築一式工事には該当しません。



 建築一式工事の許可で専門工事も請け負えるのか


建築一式工事の許可があっても、内装仕上工事、屋根工事、塗装工事、防水工事、大工工事などの専門工事を単体で自由に請け負えるわけではありません。


たとえば、内装リフォームだけ、外壁塗装だけを500万円以上で請け負う場合には、原則として、それぞれ内装仕上工事業、塗装工事業などの建設業許可が必要になります。


実際の建築一式工事では、内装仕上工事、屋根工事、塗装工事、防水工事、大工工事など複数の専門工事を組み合わせ、建築物全体を完成させることが多くなります。


専門工事を単体で請け負う場合と、建築一式工事の一部として専門工事が含まれる場合では、技術者配置の考え方も異なります。


建築一式工事の中に含まれる専門工事部分を自社で施工する場合は、その専門工事について主任技術者となり得る資格や実務経験を持つ専門技術者を配置する必要があります。


一方で、専門工事部分を下請業者に発注する場合は、その専門工事について許可を受けた下請業者が、主任技術者など必要な技術者を配置して施工することになります。


このように、建築一式工事の許可を持っている場合でも、専門工事の単体受注や、専門工事部分の自社施工には注意が必要です。



建築一式工事の許可取得の6つの要件


建築一式工事の建設業許可を取得するためには、次の6つの要件をすべて満たす必要があります。


経営業務の管理責任者…建設業での経営経験5年以上が基本。法人なら役員、個人なら本人。


専任技術者…国家資格(施工管理技士、工事担任者など)または実務経験10年以上。


財産的基礎…自己資本500万円以上、または500万円以上の預金残高証明。


誠実性・欠格要件…虚偽申請や行政処分歴、暴力団関係等がないこと。


営業所…実体を備えた事務所があること(机・電話・商号掲示など)。


社会保険等…法律上加入義務のある保険に加入していること(社会保険・労働保険)


この6つの中でも、建築一式工事で特に重要になるのが専任技術者の要件です。


資格で証明できる場合は比較的スムーズですが、資格がない場合には、建築一式工事の実務経験を資料で証明できるかがポイントになります。



 専任技術者の資格・実務経験


建築一式工事では、専任技術者の要件が実務上の大きなポイントになります。


専任技術者になる方法には、資格で証明する方法と、実務経験で証明する方法があります。


建築一式工事では、建築施工管理技士や建築士などの資格が対象になります。


資格を持っていない場合でも、建築一式工事に関する実務経験を証明できれば、一般建設業の専任技術者になれる可能性があります。


ただし、建築一式工事は、住宅の新築工事や大規模な増改築工事など、工事全体を総合的に取りまとめる性質があります。


そのため、実務経験で申請する場合は、単なる専門工事の経験ではなく、建築一式工事に関する経験を証明できるかが重要です。


【主な資格】

・1級建築施工管理技士

・2級建築施工管理技士(建築)

・1級建築士

・2級建築士


【実務経験】

資格がない場合でも、建築一式工事に関する実務経験が10年以上あれば、一般建設業の専任技術者になることができます。


ここでいう実務経験とは、単なる補助作業や雑務ではなく、建築一式工事の施工に関する技術上の職務経験をいいます。


たとえば、住宅新築工事や大規模増改築工事における施工管理、工程管理、現場管理、工事全体の段取りなど、建築一式工事の施工に関わる経験が対象になります。


建築一式工事の実務経験はその性質上、原則として建設業許可業者での経験が必要と考えておいた方が良いでしょう。


◎指定学科による実務経験期間の短縮

指定学科を卒業している場合は、必要な実務経験年数を短縮できます。

・大学、短期大学、高等専門学校などで指定学科を卒業した場合:実務経験3年

・高校などで指定学科を卒業した場合:実務経験5年

建築一式工事の指定学科は、建築学または都市工学に関する学科です。



特定建設業では1級資格が必要になる


建築一式工事で特定建設業許可を取得する場合は、専任技術者の要件がより厳しくなります。


通常の業種では、一般建設業の専任技術者要件を満たしたうえで、一定の指導監督的実務経験があれば、特定建設業の専任技術者になれる場合があります。


しかし、建築一式工事は指定建設業に該当するため、特定建設業の専任技術者は1級相当の国家資格者である必要があります。1級建築施工管理技士または1級建築士が必要になると考えておくべきです。


元請として大規模な建築工事を請け負い、一定金額以上を下請に発注する可能性がある場合は、一般建設業ではなく特定建設業が必要になることがあります。


早い段階で、財産要件と専任技術者の要件を確認しておくことが重要です。



許可申請の流れと提出書類


建築一式工事の建設業許可申請は、他の業種と同様に、要件を確認し、証明書類を準備したうえで、申請書類を作成して行政庁へ提出する流れで進みます。


もっとも、実際には申請書を作る前に、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を満たしているか、証明資料がそろうかを確認することが重要です。


特に、建築一式工事を実務経験で申請する場合には、過去の工事が建築一式工事に該当することを資料で説明できるかが問題になります。


申請の流れは、大きく次の3段階です。


1️⃣ 証明書類の準備

・経営経験を示す書類(確定申告書・履歴事項全部証明書・工事契約書など)

・専任技術者の資格を証明する合格証書または実務経験証明書・工事契約書など

・財産的基礎を示す財務諸表や残高証明書


2️⃣ 申請書類の作成

・申請区分(新規・業種追加・般特新規)に応じて作成

・約20種類の書類を正本・副本で提出


3️⃣ 行政庁窓口への申請

知事許可:申請手数料9万円(更新5万円)

大臣許可:登録免許税15万円(更新5万円)

審査期間:約30日(大阪府の場合)



建築一式工事の許可を取得するメリット


建築一式工事の建設業許可を取得することで、住宅新築工事や大規模な増改築工事など、元請として建築物全体を請け負う工事に対応しやすくなります。


住宅新築工事・大規模増改築工事を請け負いやすくなる

建築一式工事は、住宅の新築工事や大規模な増改築工事など、建築物全体を完成させる工事で必要になる業種です。


1,500万円未満の建築一式工事は多くないため、建築一式工事を事業として行う場合、建設業許可が実質的に前提条件になることが多いです。


元請として工事全体を取りまとめやすくなる

建築一式工事の許可があると、元請として複数の専門工事を取りまとめ、工事全体を総合的に管理する案件に対応しやすくなります。


工務店、住宅会社、建築会社、不動産会社などが、住宅新築や大規模改修を請け負う場合には、建築一式工事の許可が大きな意味を持ちます。


取引先・金融機関からの信用力が高まる

建築一式工事は、請負金額が大きく、工期も長くなりやすい工事です。


建設業許可を取得していることで、一定の経営体制、技術者、財産的基礎を備えた事業者であることを示すことができ、取引先や金融機関からの信用向上につながります。


公共工事や入札参加への入口になる

建築一式工事の許可があれば、将来的に経営事項審査や入札参加資格申請を経て、公共工事に関わる道も開けます。


学校、庁舎、公営住宅、公共施設などの建築工事では、建築一式工事として発注される案件があります。


すぐに公共工事を目指す予定がない場合でも、建築一式工事の許可を取得しておくことで、将来的な事業展開の選択肢を広げることができます。




建築一式工事の許可に関してよくある質問


建築一式工事の許可を取るにあたって頻繁にいただく質問をピックアップしました。


建築工事業の許可を取るFAQ

Q.建築一式工事を下請として請け負うことはできますか?

建築一式工事は、基本的には元請として工事全体を取りまとめることを想定した業種です。


建築一式工事を下請として請け負う場合、工事の内容によっては、一括下請負、いわゆる丸投げに該当する可能性があります。


一括下請負は、公共工事では全面的に禁止されています。また、民間工事であっても、共同住宅の新築工事については、発注者の承諾があっても一括下請負は認められません。


それ以外の民間工事では、元請業者があらかじめ発注者から書面による承諾を得ている場合に限り、一括下請負の禁止規定が適用されないことがあります。


たとえば、戸建て住宅の建築一式工事を、ハウスメーカーから工務店が下請として請け負うようなケースが考えられます。


ただし、建築一式工事を下請として請け負えるかどうかは、契約名だけで判断できるものではありません。


実際の施工体制、元請・下請の役割分担、現場への実質的な関与、技術者配置などを確認する必要があります。



Q.専門工事の経験で、建築一式工事の専任技術者になれますか?

専門工事の経験を建築一式工事の実務経験として認めてもらうことはできません。


建築一式工事の実務経験として申請する場合は、住宅の新築工事や大規模な増改築工事など、建築一式工事に該当する工事に関する経験であることを資料で説明できる必要があります。


たとえば、内装仕上工事、塗装工事、屋根工事、防水工事などの専門工事だけを行っていた経験は、原則としてそれぞれの専門工事の経験として整理されます。


資格がなく、実務経験で建築一式工事の専任技術者を証明する場合は、過去の工事内容、工事期間、請負金額などを確認できる資料が残っているかを早めに確認しておくことが重要です。




最後に


建築一式工事の許可は、住宅の新築工事や大規模な増改築工事など、建築物を総合的に建設する工事を請け負うための許可です。


一方で、建築一式工事の許可があっても、内装仕上工事、屋根工事、塗装工事、大工工事などの専門工事をすべて自由に請け負えるわけではありません。


専門工事を単体で請け負う場合は、それぞれの専門工事業の許可が必要になることがあります。


また、建築一式工事は1,500万円基準や木造住宅150㎡基準、特定建設業における1級資格要件など、他の専門工事とは異なる注意点があります。


資格がない場合でも、建築一式工事の実務経験を証明できれば、一般建設業の許可を取得できる可能性があります。


ただし、実務経験で申請する場合には、過去の工事が建築一式工事に該当することを資料で説明できるかが重要です。


大阪府で建築一式工事の建設業許可を取得したい方は、早めに要件確認と資料確認を進めましょう。




この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ)

アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。

知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP

当事務所では建設業許可の申請代理を承っております。


大阪市鶴見区・城東区・都島区・旭区を中心に大阪府全域、奈良県、兵庫県、和歌山県は標準対応エリアです。

迅速にご対応いたします。その他地域の方もお気軽にご相談ください。


ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。






bottom of page