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【建設業法】監理技術者等の専任義務の合理化等(R6改正法の一部施行)

執筆者の写真: Ryuji HemmiRyuji Hemmi

更新日:2月7日

監理技術者等の専任義務の合理化


R6.6.14、建設業法および入契法の改正法が公布されました。


業界の慢性的な課題である人手不足の改善を目的に「労働者の処遇改善」「労務費へのしわ寄せ防止」「働き方改革・生産性向上」が大きな柱となっています。


公布から3か月以内、6か月以内、1年6か月以内と3段階で施行されることになっており、

本記事ではR6年12月13日に施行された「監理技術者等の専任義務の合理化等」(働き方改革・生産性向上)について詳しく解説しています。


現場運用における非常に重要な点なので、ぜひご参考にしていただければと思います。



▼目次



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専任技術者の呼び方が変わった!?


改正法では、監理技術者等の専任義務の合理化に関する条文の新設・改正だけではなく、専任技術者について規定している建設業法第7条第2号および同法第15条第2号の条文も改正されています。


もともと「専任技術者」という呼称自体が条文中に記載されていたわけではありませんが、改正により「営業所技術者等」という呼称とその職務が条文に明記されることになりました。


そのため、申請書類等でも表記が「専任技術者」から「営業所技術者等」に変わっています。

※「営業所技術者等」=「営業所技術者(一般建設業)」、「特定営業所技術者(特定建設業)」


法律上求められる要件に変更はなく、名称が変わっただけです。


それぞれの条文には続きがあり、「次のいずれか」にあたる要件(イ・ロ・ハ)を列挙していますが、その内容に変更はありません。


●建設業法第7条第2号

(改正前) “その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。”

(改正後) “その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第十一条第四項及び第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。”


●建設業法第15条第2号

(改正前)

“その営業所ごとに次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。”

(改正後)

“その営業所ごとに、特定営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。”



主任技術者・監理技術者の専任が必要な工事現場でも兼任可能に


建設工事において建設業許可業者は主任技術者または監理技術者を現場に配置しなければなりません。


主任技術者・監理技術者について基本的なことから詳しく知りたい方は以下リンク記事をあわせてご確認ください。

請負金額が4500万円以上(建築一式は9,000万円以上)の建設工事の場合は、主任技術者または監理技術者を工事現場に専任で配置することが求められます。


原則、専任が求められる建設工事の場合、主任技術者・監理技術者は複数現場での兼任ができないことになっています。


しかし、改正により、一定の要件を満たしていれば、兼任することが可能になりました。


【要件】

①請負金額

兼任する各建設工事が、1億円未満(建築一式の場合は2億円未満)であること


②工事現場間の距離

1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内であること


③兼任現場数

2現場までであること


④下請次数

注文者となる下請契約から3次までであること


⑤連絡員の配置

監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者を配置していること

・実務経験1年以上必要

・同一の連絡員が複数の建設工事の連絡員を兼務することが可能

・専任や常駐の必要がなく、直接的・恒常的雇用関係も必要なし


⑥施工体制を確認する情報通信技術の措置

CCUS等で工事現場の現場作業員の入退場を遠隔で確認できること


⑦人員の配置を示す計画書の作成、保存等

現場に据置(電磁的記録媒体も可)、営業所で保存すること


※国交省HPに参考様式掲載


⑧現場状況の確認のための情報通信機器の設置

スマホやタブレット、WEB会議システム等で映像・音声を用いた確認ができること


なお、専任が求められない建設工事においては、従来通り、主任技術者・監理技術者が複数現場を兼任することが可能です。


ただし、各工事現場において施工の技術上の管理等を誠実に行うことが可能な範囲に限られます。



営業所技術者等(専任技術者)の現場兼任も可能に


営業所技術者等(専任技術者)は「建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者」であって、営業所に専任で配置することが求められます。


そのため、営業所技術者等(専任技術者)が主任技術者・監理技術者として工事現場を兼任することは原則認められておらず、専任不要かつ営業所と近接している現場のみ兼任することが認められてきました。


本改正により、一定の要件を満たしていれば兼任することが可能になりました。


【要件】

①工事契約

所属の営業所で契約された工事であること


②請負金額

1億円未満(建築一式の場合は2億円未満)であること


③兼任現場数

1現場までであること


④営業所と工事現場の距離

1日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内であること


⑤下請次数

注文者となる下請契約から3次までであること


⑥連絡員の配置

監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者を配置していること


⑦施工体制を確認できる情報通信技術の措置

CCUS等で工事現場の現場作業員の入退場を遠隔で確認できること


⑧人員の配置を示す計画書の作成、保存等

現場に据置(電磁的記録媒体も可)、営業所で保存すること


⑨現場状況の確認のための情報通信機器の設置

スマホやタブレット、WEB会議システム等で映像・音声を用いた確認ができること


なお、営業所と近接している、専任が求められない建設工事においては、従来通り、兼任することが可能です。



金額要件の緩和


本改正のほぼ同時期に、物価高騰や人件費高騰に伴い、建設業の金額要件や技術検定の受検手数料が見直されました。

監理技術者等の専任に係る金額要件も対象となっています。


●特定建設業許可等の金額要件の見直し

金額要件の見直し

●技術検定の受検手数料の見直し

技術検定の受検手数料


 

最後に


R6改正法の施行、「監理技術者等の専任義務の合理化等」について解説いたしました。

内容をまとめると


✅「専任技術者」が「営業所技術者等」に名称変更

✅専任を要する工事でも主任技術者・監理技術者の複数現場兼任が可能に

✅専任を要する工事でも営業所技術者等(専任技術者)の現場兼任が可能に


現場の運用ルールの緩和は、人手不足が続いている建設業界にとって大きな前進と言えるでしょう。




この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ)|行政書士

アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。 ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。

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