建設業許可「とび・土工工事業」完全ガイド|範囲・要件・実務判断まで徹底解説!
- Ryuji Hemmi

- 10 時間前
- 読了時間: 6分

「とび・土工工事業」は、建設現場の基礎や骨格を支える重要な専門工事業種です。
足場の組立、鉄骨の建方、掘削、コンクリート打設など、建物や構造物の“土台”をつくる役割を担います。
かつては解体も「とび・土工工事業」に含まれていましたが、平成28年の法改正により、明確な線引きがされています。
本記事では、「とび・土工工事業」の工事範囲・技術者要件・許可申請手続き・取得メリットを、行政書士がわかりやすく解説します。
💡この記事のポイント ●「とび・土工工事業」は、構造物の基礎・仮設・組立などを担う専門工事 ●工事範囲が広いため他業種との違いを正確に理解することが重要 ●技術者要件は「とび技能士」「施工管理技士(土木)」など ●実務経験で申請する場合、工事内容の証明が必須 ●許可取得で公共工事・大型現場への参入が可能 |
▼目次
7.最後に


「とび・土工工事業」の位置づけ
「とび・土工工事業」とは、建設現場において工作物の基礎・構造・仮設部分を施工する工事を指します。
主な工事内容は以下のとおりです。
・足場の組立・解体
・鉄骨建方・組立
・重量物の据付け
・PC(プレストレストコンクリート)の取付け
・土砂の掘削・盛土・土留め
・コンクリート打設・基礎工事
・杭打ち・山留め
これらは建設工事の“最初と最後”を支える不可欠な作業であり、安全性と精度が最も重視される分野です。
そのため、必要とされる資格も、足場、鉄骨、玉掛け、掘削、クレーン運転、ガス溶接など多岐にわたります。
他の専門工事と密接に関わり、現場全体の工程管理にも大きく影響を与える業種です。
「とび・土工工事業」が必要となるケース
建設業許可が必要となるのは、**請負金額が500万円以上(税込)**のとび・土工工事を行う場合です。
この金額には、材料費・運搬費を含みます。契約書を分割しても、実質的に一つの工事であれば合算して判断されます。
とび・土工工事は独立した現場ではなく、全体の中の一部を担う現場が中心です。
したがって請負金額が500万円未満であっても元請事業者から建設業許可を求められるケースが多くなります。
公共工事はもちろん、大型建築・土木では、請負金額に関わらず、ほぼ確実に「とび・土工工事業」の許可が必要になります。
許可取得の際はまず他業種と混同しないように注意しなければなりません。

「とび・土工工事業」許可取得の6つの要件

経営業務の管理責任者…建設業での経営経験5年以上が基本。法人なら役員、個人なら本人。
専任技術者…国家資格(施工管理技士など)または実務経験10年以上。
財産的基礎…自己資本500万円以上、または500万円以上の預金残高証明。
誠実性・欠格要件…虚偽申請や行政処分歴、暴力団関係等がないこと。
営業所…実体を備えた事務所があること(机・電話・商号掲示など)。
社会保険等…法律上加入義務のある保険に加入していること(社会保険・労働保険)
とび・土工では、他業種と比べて「実務経験ルート」での申請が多いのが特徴です。
また、資格は施工管理技士をはじめ幅広く認められます。
専任技術者の資格・実務経験
専任技術者は、とび・土工工事に関する国家資格を持つか、一定の実務経験が必要です。
【主な国家資格】
1級建設機械施工管理技士
2級建設機械施工管理技士
1級土木施工管理技士
2級土木施工管理技士(土木)
1級建築施工管理技士
2級建築施工管理技士(躯体)
1級とび技能士
2級とび技能士 ※実務経験3年必要
【実務経験】
足場組立・鉄骨建方・掘削・山留め・基礎工事などの経験が対象となり、原則10年以上必要です。
対象となる工事内容が確認できる請負契約書、注文書・請書などの証拠書類を10年分準備しなければなりません。
許可申請の流れと提出書類
1️⃣ 証明書類の準備
・経営経験を示す書類(確定申告書・履歴事項全部証明書・工事契約書など)
・専任技術者の資格を証明する合格証書または実務経験証明書・工事契約書など
※とび・土工工事は、足場組立や基礎工事など多様な工事を含むため、特に工事内容が明確に判別できることが重要になります。
・財産的基礎を示す財務諸表や残高証明書
2️⃣ 申請書類の作成
・申請区分(新規・業種追加・般特新規)に応じて作成
・約20種類の書類を正本・副本で提出
3️⃣ 行政庁窓口への申請
知事許可:申請手数料9万円(更新5万円)
大臣許可:登録免許税15万円(更新5万円)
審査期間:約30日(大阪府の場合)
「とび・土工工事業」許可取得のメリット
✅ 対外的信用力の向上(元請・取引先・金融機関)
✅ 公共工事への参入が可能(経審・入札参加資格申請が必要)
実際は「土木一式」に含まれる案件も多く、「とび・土工」として単独で発注される工事は「道路標識設置工事」や「フェンス工事」等が中心です。
✅ 受注機会の拡大(元請・下請両面で安定的な取引関係)
特にゼネコンや公共団体では、安全管理能力を重視する傾向が強まっています。
許可を有していることは、単なる形式ではなく「安全施工の証明」として扱われます。
最後に
「とび・土工工事業」は、建設業の“基礎と安全”を支える職種です。
書類準備は複雑に見えますが、実務経験・資格・体制を整理すれば確実に許可取得が可能です。
元請・下請を問わず、安定的な受注体制を築く第一歩として、早めの許可取得を検討することをおすすめします。
専門の行政書士に相談すれば、業種区分の判断から書類整備までスムーズに進められます。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
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