建設業許可「解体工事業」完全ガイド|要件・登録解体講習など徹底解説!
- Ryuji Hemmi

- 10月26日
- 読了時間: 7分
更新日:11月5日

「解体工事業」は、建設業許可の中でも専門性と安全管理が重視される業種です。
かつては「とび・土工工事業」に含まれていましたが、現在は独立した許可区分として扱われています。
一見シンプルに思える解体工事も、実際には構造の知識・アスベスト対応・産廃処理など、高度な判断が求められる分野です。
そのため、許可を取得するには専任技術者の資格要件や登録解体工事講習の修了など、他業種とは異なる要件を満たす必要があります。
この記事では、「どんな工事が解体工事に該当するのか」「他専門工事との違い」「登録解体工事講習が必要なケース」など、許可取得を目指す方が迷わないためのポイントを行政書士が分かりやすく解説します。
💡この記事のポイント ●「解体工事業」は、2016年に「とび・土工工事業」から独立した新しい建設業許可業種。 ●請負金額が500万円以上(税込)の場合に解体工事の許可が必要。 ●500万円未満でも建設リサイクル法に基づく「解体工事業登録」が必要。 ●主な技術者要件は土木施工管理技士・建築施工管理技士・解体工事施工技士など。 ● 許可取得までの流れ:要件確認 → 証明書類準備 → 申請書作成 → 行政庁へ提出。 ●許可取得のメリット :公共工事参入、信用力向上、元請・下請双方の受注拡大。 |
▼目次
7.最後に
「解体工事業」の位置付け
2016年6月の法改正により、それまで「とび・土工工事業」に含まれていた解体工事が独立した許可業種となりました。
背景には、アスベスト対応・廃棄物処理・環境負荷対策など、安全性と環境面での専門性の高まりがあります。
つまり、解体工事はもはや単なる撤去作業ではなく、「安全性・環境性・法令遵守」が一体となった独立した専門分野です。

また、もうひとつ重要な点として、一見、解体工事に見えても、「どの業種によって施工されたか」によって、解体工事業以外に分類されることがあります。
●内装仕上工事業によって施工された内装を撤去する場合 → 「内装仕上工事業」
●電気工事業によって施工された電気設備を撤去する場合 → 「電気工事業」
●管工事業によって施工された配管を撤去する場合→「管工事業」
このように、各専門工事で作ったものを解体する場合は、その専門工事の範囲に含まれ、「解体工事業」には該当しません。
したがって、「解体工事業」に該当するのは、あくまで土木一式・建築一式工事により施工された工作物を解体するときである、という点を正確に理解しておくことが大切です。
また、建築一式工事とセットで行う新築・改築時の解体・撤去工事は、「建築一式工事」に含まれます。
建設業許可「解体工事業」が必要となるケース
建設業許可が必要となるのは、**請負金額が500万円以上(消費税込)**の解体工事を行う場合です。
この「500万円」には、材料費や運搬費も含まれます。
契約書や請求書を分割しても、実質的に一つの工事であれば合算して判断されます。
「自社は下請だから関係ない」と誤解されがちですが、発注金額が500万円を超える請負契約であれば下請も許可が必要です。
また、次の点も押さえておきましょう。
✅ 一般建設業許可の場合:元請として下請に発注できる上限は5,000万円未満
✅ 特定建設業許可の場合:元請としての下請発注金額に制限なし
✅ 請負金額自体は一般・特定いずれにも制限なし
⚠️ 500万円未満でも「解体工事業登録」が必要
500万円未満の小規模な解体工事であっても、「建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)」に基づく「解体工事業登録」が必要です。
これは、建設廃棄物の適正処理を目的として設けられた制度で、金額に関係なく解体工事を請け負う業者は、都道府県知事への登録が義務付けられています。
登録を受けずに解体工事を行った場合、営業停止や罰則の対象となることもあります。
詳しくは別記事をご覧ください。
「解体工事業」許可取得の6つの要件
経営業務の管理責任者…建設業での経営経験5年以上が基本。法人なら役員、個人なら本人。
専任技術者…国家資格(施工管理技士など)または実務経験10年以上。
財産的基礎…自己資本500万円以上、または500万円以上の預金残高証明。
誠実性・欠格要件…虚偽申請や行政処分歴、暴力団関係等がないこと。
営業所…実体を備えた事務所があること(机・電話・商号掲示など)。
社会保険等…法律上加入義務のある保険に加入していること(社会保険・労働保険)
専任技術者の資格・実務経験と登録解体工事講習
専任技術者は解体工事に関する国家資格を持つか、一定の実務経験が必要です。
【主な国家資格】
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士(土木)
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士(建築・躯体)
・技術士(建設部門・総合技術監理部門)
・技能検定(とび1級)
・技能検定(とび2級)※実務経験3年必要
・解体工事施工技士
【登録解体工事講習が必要なケース】
平成27年度以前の施工管理技士・技術士資格で申請する場合、1年以上の解体実務経験または登録解体工事講習の受講が必要になります。
講習は全国解体工事業団体連合会(全解工連)が実施、修了証が発行されるので、許可申請時に提出
※実務経験のみで申請する場合は、請負契約書・注文書・請書などの証拠書類を10年分準備する必要があります。
許可申請の流れと提出書類
「解体工事業」の許可申請は、他業種と同様に大きく次の3ステップで進めます。
ただし、実務経験ルートの場合、専任技術者資格の証明で工事内容の明確化が重要になるため、証明書類の確認に注意が必要です。
1️⃣ 証明書類の準備
経営経験を示す書類(確定申告書・履歴事項全部証明書・工事契約書など)
専任技術者の資格を証明する合格証書または実務経験証明書・工事契約書など
財産的基礎を示す財務諸表や残高証明書
2️⃣ 申請書類の作成
申請区分(新規・業種追加・般特新規など)に応じて作成
約20種類の書類を正本・副本で提出
3️⃣ 行政庁窓口への申請
知事許可:申請手数料9万円(更新は5万円)
大臣許可:登録免許税15万円(更新は5万円)
審査期間:30日間(大阪府の場合)
「解体工事業」許可取得のメリット
✅ 対外的信用力の向上(元請・取引先・金融機関)
✅ 公共工事への参入が可能(経審・入札資格申請が必要)
✅ 受注機会の拡大(元請・下請両面で安定的な取引関係)
全国的に社会資本の老朽化が進み、大規模な更新が必要とされています。
また、空き家数も年々増加しており、住宅等の解体も増加しています。
解体工事のニーズが高まる中、許可取得は大きなメリットになるでしょう。
最後に
「解体工事業」は、建設業許可の中でも最も“安全性と信頼性”が問われる分野です。
書類要件・資格・講習などのハードルはありますが、それを越えた先には、公共工事や大型案件への新たなチャンスが広がります。
許可要件の判断で迷う場合は、早い段階で専門の行政書士に相談するのがおすすめです。
正確な判断と確実な申請で、将来の事業基盤を築いていきましょう。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
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