建設業許可「水道施設工事業」完全ガイド|工事範囲・管工事との違い・許可要件
- Ryuji Hemmi

- 1月27日
- 読了時間: 7分

水道施設工事業は、上水道・下水道といった公共インフラの根幹を担う専門工事業種です。
一方で、管工事業や土木一式工事との区分が分かりにくく、許可の要否や業種判断を誤り、入札段階で支障が生じるケースも見受けられます。
本記事では、水道施設工事業の工事範囲、管工事・土木工事との違い、建設業許可が必要となるケース、専任技術者要件や申請手続きまでを国交省ガイドラインや自治体の入札実務を踏まえて、行政書士が実務目線で解説します。
💡この記事のポイント ●水道施設工事業は、上水道・下水道など公共団体が設置・管理する水インフラ施設を対象とする業種 ●取水・浄水・配水施設、下水処理場内の処理設備は水道施設工事に該当 ●建物敷地内の給排水配管は管工事、公道下の下水道本管工事や造成は土木一式工事に区分される ●水道施設工事は公共工事が中心で、実務上500万円未満の工事はほとんどなく、原則として建設業許可が必要 ●専任技術者は土木施工管理技士や技術士などの資格、または一定の実務経験が求められる ●業種判断や証明資料の不備により、許可取得でつまずくケースも多いため、事前確認が重要 |

▼目次
8.最後に
水道施設工事業の位置づけ
水道施設工事業とは、上水道・工業用水道等の取水、浄水、配水等の施設を築造する工事、および 公共下水道・流域下水道の処理設備を設置する工事を対象とする建設業の業種です。
最大の特徴は、個別の建物設備ではなく、自治体が設置・管理する公共インフラそのものを対象とする点にあります。
そのため、公共工事が中心となり、入札参加資格や業種区分が厳密に整理されています。
水道施設工事業に該当する工事とは
水道施設工事業に該当する代表的な工事には、次のようなものがあります。
【上水道分野】
・取水施設工事
・導水施設工事
・浄水施設工事
・送水施設工事
・配水施設工事(送・配水管を含む)
【下水道分野】
・下水処理場内の処理設備工事
・沈砂池・反応タンク・沈殿池・消毒施設・汚泥処理施設等の設置工事
これらはいずれも、自治体が設置・所有・管理する水道施設を対象とする工事であり、一般住宅や店舗の敷地内設備を対象とする工事とは明確に区別されます。
管工事業・土木一式工事との違い
水道施設工事業は、管工事業・土木一式工事と混同されやすい業種ですが、施工対象と工事の目的で明確に区分されています。
【管工事業との違い】
管工事業は、建物や施設の敷地内における給排水設備・衛生設備・空調設備等の設置を対象とする業種です。
・一般住宅・店舗・施設内の配管工事 ・敷地内での給水管・排水管工事 ・建物内部の衛生設備 |
これに対し、水道施設工事業は、敷地外を含む公共インフラ側の施設を対象とします。
●家屋その他の施設の敷地内配管 ⇒ 管工事
●自治体が管理する取水・浄水・配水・下水処理施設 ⇒ 水道施設工事
【土木一式工事との違い】
公道下に埋設される下水道本管工事や、下水処理場の敷地造成工事は、土木一式工事として区分されます。
一方で、
・下水処理場内の処理設備そのものの設置 ・水処理・汚泥処理設備の構築 |
といった施設設備工事は、水道施設工事業に該当します。
以上を整理すると、水道施設工事業・管工事業・土木一式工事の区分は、実務上、次のように整理できます。
≪業種区分の考え方≫
(上水道) 取水・浄水・送水・配水施設 ⇒ 水道施設工事 建物敷地内の配管 ⇒ 管工事 (下水道) 公道下の下水道本管、敷地造成 ⇒ 土木一式 下水処理場内の処理設備 ⇒ 水道施設工事 敷地内排水設備 ⇒ 管工事 |
水道施設工事業で建設業許可が必要となるケース
水道施設工事業では、1件の請負金額が500万円以上(税込)となる工事を請け負う場合、建設業許可が必要です。
もっとも、水道施設工事は公共工事が中心であり、実務上は金額にかかわらず、建設業許可を前提とした入札案件がほとんどです。
そのため、実質的には、水道施設工事を行うなら許可取得が前提と考えて差し支えありません。
水道施設工事業 許可取得の6つの要件
水道施設工事業の建設業許可を取得するためには、次の6つの要件をすべて満たす必要があります。
経営業務の管理責任者…建設業での経営経験5年以上が基本。法人なら役員、個人なら本人。
専任技術者…国家資格(施工管理技士、技術士)
財産的基礎…自己資本500万円以上、または500万円以上の預金残高証明。
誠実性・欠格要件…虚偽申請や行政処分歴、暴力団関係等がないこと。
営業所…実体を備えた事務所があること(机・電話・商号掲示など)。
社会保険等…法律上加入義務のある保険に加入していること(社会保険・労働保険)
この中でも、水道施設工事業で特に重要なのが「専任技術者」要件です。
専任技術者の資格・実務経験
水道施設工事業の専任技術者として認められる主な要件は次のとおりです。
【国家資格】
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士(土木)
・技術士(上下水道部門、衛生工学部門 等) など
【実務経験】
水道施設工事に該当する工事の経験が必要となり、原則として10年以上の実務経験が求められます。
実務経験で申請する場合は、工事内容が確認できる請負契約書や注文書・請書などの証拠書類を一定期間分準備する必要があります。
業種の性質上、水道施設工事の建設業許可を取得している業者での工事経験に基づく書類が中心となります。
なお、特定建設業許可の場合は、指導監督的実務経験または1級相当の資格が必要となります。
許可申請の流れと提出書類
1️⃣ 証明書類の準備
・経営業務の管理責任者の経営経験を証明する書類
・専任技術者の資格証明書・実務経験証明書
・財産的基礎を示す財務諸表・残高証明書
2️⃣ 申請書類の作成
・新規・業種追加・般特新規に応じて作成
・新規申請では約20種類前後
3️⃣ 行政庁窓口への申請
・知事許可:申請手数料9万円
・大臣許可:登録免許税15万円
・審査期間:約30日(大阪府の場合)
最後に
水道施設工事業は、公共インフラを支える高度な専門業種であり、業種区分を誤ると、入札参加や許可更新に大きな支障が生じます。
自社の工事内容が水道施設工事業に該当するのか、管工事・土木一式との区分に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
当事務所では大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理を承っております。
大阪市鶴見区・城東区・都島区・旭区を中心に大阪府全域、奈良県、兵庫県、和歌山県は標準対応エリアです。
迅速にご対応いたします。その他地域の方もお気軽にご相談ください。
ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。




コメント