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建設業許可を取るための裏ワザ|経管・技術者等の要件でつまづいた人向け実践ガイド

  • 執筆者の写真: Ryuji Hemmi
    Ryuji Hemmi
  • 9月15日
  • 読了時間: 9分

更新日:9月28日


建設業許可を取るための裏ワザ

建設業許可を取りたいのに、経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者、資金要件などで壁にぶつかり、あきらめてしまう人は少なくありません。


「裏ワザ」と聞くと、抜け道や不正を連想する人もいますが、ここで紹介するのは虚偽申請の類ではなく、手引きには詳しく書かれていない実務上の工夫です。


この記事では、証明書類が揃わない・経験が不足している・資金が不安といった場面で役立つ対処法を整理しました。


要件の基本的な解説は他記事にまとめていますので、ここでは「行き詰まったときの突破口」に焦点を当てます。



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▼目次



経営業務の管理責任者(経管)の要件をクリアする裏ワザ


経営業務の管理責任者(経管)の証明では、「5年以上の経営経験」をどのように証明するかが最大のハードルです。


手引きには必要書類が列挙されていますが、実務では書類が揃わない」「協力が得られない」「経験が不足している」といった理由で行き詰まることが少なくありません。


ここでは、そうしたときに考えられる工夫を整理します。


経管の要件や必要書類を一から詳しく知りたい人は以下の別記事でご確認ください。


『ケース1:個人事業主、法人代表としての経験で、書類が不足している場合』

【本来必要な書類】

・確定申告書控え

・工事の注文書・契約書

・会社謄本


【実務上の取り扱い・対応】

・確定申告書控えを紛失→事業主本人・代表であれば税務署で過去5年分を再発行できる

・無申告→さかのぼって申告する(最大5年分まで可能、ペナルティあり

・注文書・契約書を紛失→発注者に残っている控えを依頼して入手する、または、請求書と 入金記録を組み合わせる

※自治体によっては注文書は請書とセットでないと認められない場合がある


『ケース2:許可あり会社で経営経験があるが、協力を得られない場合』

【本来必要な書類】

・許可通知書

・決算変更届(直近分)

・会社謄本


【実務上の取り扱い・対応】

・会社謄本は法務局で誰でも取得可能→役員在籍期間の証明はできる

・許可通知書と決算変更届は会社の協力がなければ入手できない

・発注者資料(注文書・契約書)を集め、会社謄本とあわせて行政庁に事前相談してみる


『ケース3:許可なし会社での経営経験があるが、協力を得られない場合』

【本来必要な書類】

・確定申告書控え

・工事の注文書・契約書

・会社謄本


【実務上の取り扱い・対応】

・確定申告書控えは申告者本人しか再発行できないため協力が得られなければ取得できない

・発注者資料を入手しても、確定申告書がない限り、原則として認められない

・行政庁に事前相談し、補完資料を積み上げて認められる可能性を探るほかない


『ケース4:経験そのものが足りない場合』

【実務上の取り扱い・対応】

・経営経験を満たす人を常勤役員として迎え入れる、個人事業主の支配人として迎え入れる

常勤役員であれば社会保険加入、支配人であれば雇用保険加入など実態を伴うことが前提

・「補佐経験ルート(施行規則7条1号イ③)」を検討する

取締役や個人事業主の直下で経営業務を補佐した経験が6年以上あれば、経営経験として認められる

・「無い経験をあるように偽る」ことはできないので、選択肢は①経験のある人を迎え入れる、②補佐経験を活かす、③経験年数が到達するまで待つ、の3つに限られる


在籍していた会社の協力が得られない場合は、本来必要な書類の大部分を揃えられず、行政庁に発注者資料などをもって相談しても認められる可能性は限定的になります。



専任技術者の要件をクリアする裏ワザ


建設業許可のもう一つの壁が「専任技術者」です。


業種に応じて国家資格や10年以上の実務経験が必要ですが、申請現場では「資格がなかなか取得できない」「実務経験の書類が揃わない」「過去の勤務先の協力を得られない」といった理由で申請が行き詰まることが少なくありません。


ここでは、手引きだけではわかりにくい実務上のポイントを整理します。


専任技術者の要件や必要書類を一から詳しく知りたい人は以下の別記事でご確認ください。


『ケース1:個人事業や現在勤めている会社での経験で、書類が不足している場合』

【本来必要な書類】

・工事の注文書、契約書

・在籍していたことを示す資料(個人事業主の場合は確定申告書、法人勤務の場合は社会保険の加入記録など)

【実務上の取り扱い・対応】

・注文書、契約書を紛失→発注者に残っている控えを依頼して入手、または請求書と入金記録を組み合わせる

・確定申告書控えを紛失→事業主本人であれば税務署で過去5年分を再発行できる

・無申告→さかのぼって申告する(最大5年分まで可能、ペナルティあり


『ケース2:過去の勤務先で実務経験があるが、協力を得られない場合』

【本来必要な書類】

・工事の注文書、契約書

・在籍を示す資料(社会保険加入記録など)


【実務上の取り扱い・対応】

・申請書類「実務経験証明書(様式第9号)」は原則として会社が作成するものなので、協力が得られなければ経験を証明するのは難しい

・注文書等も元従業員の立場で発注者に直接依頼しても応じてもらえないケースが多い

・勤務先が倒産している等の正当な理由がある場合は、当時の役員による証明や自己証明が認められる

・勤務先が許可業者であれば、自治体によっては保有データとの照合で経験を認められるケースがある


『ケース3:資格取得を目指す場合』

【実務上の取り扱い・対応】

・王道は施工管理技士だが、難しければ他の選択肢も検討する

・施工管理技士だけでなく、現場作業向けの技能検定「○○技能士」でも専任技術者になれる

・技能検定は比較的短い実務経験でも受検できるものもあり、年2回試験が行われるものも多いので、チャレンジしやすい

・とび・土工工事業の許可であれば、「登録土工基幹技能者講習」も選択肢になり得る

〈受検資格〉10年以上の実務経験+3年以上の職長経験+2つ以上の技能講習終了

〈対象となる技能講習〉「玉掛け技能講習」「高所作業車運転技能講習」「足場の組立て等作業主任者技能講習」「ガス溶接技能講習」「フォークリフト運転技能講習」等



財産要件をクリアする裏ワザ


建設業許可の要件で意外と誤解が多いのが「500万円の財産要件」です。


「常に現金500万円を持っていなければいけない」「赤字だと不可能」などの声を耳にしますが、実際の運用はもう少し柔軟です。


ここでは、手引きには載っていない実務上のポイントを整理します。


財産要件の詳細や証明方法については、以下の別記事でご確認ください。


『よくある誤解1:常に500万円を持っていなければダメ』

残高証明書は「証明日現在」の残高を示す書類です。


したがって、申請時点で一時的にでも500万円が口座にあれば要件はクリアできます。


とはいえ、資金繰りの観点からは余裕資金を確保しておきたいところです。


『よくある誤解2:口座は一つでなければならない』

残高証明書の証明日をそろえれば、複数の金融機関の口座残高を合算して500万円とすることができます。


例えば「A銀行に300万円、B信用金庫に200万円」といった形でも認められます。


『よくある誤解3:赤字決算はNG』

「赤字だから財産要件を満たせないのでは?」という相談は多いですが、実際には赤字決算でも許可取得は可能です。


たとえ債務超過であったとしても、500万円以上の残高証明で資金調達能力を示せば要件はクリアできます。


『実務上使える資金調達パターン』

・日本政策金融公庫の融資

・銀行の信用保証協会付き融資

・知人、親族からの借入

・カードローンによる一時的な調達


形式的には「見せ金」でも要件を満たすことができます。

しかし、資金が事業の実態に伴わないと、結局は資金繰りに苦しむことになるため注意が必要です…



最後に


建設業許可の要件をクリアするための裏ワザ的対処方法をいくつかご紹介しましたが、置かれている状況によって他にも様々な方法が考えられます。


裏ワザと言うと、無いものを有るように見せる特別なテクニックみたいな勘違いをされそうですが、実際は手引きにそこまで記載されていないだけであって、経験があれば思いつく対処方法のことなのです。


建設業許可取得が難航している場合は、ぜひ建設業専門の行政書士事務所にご相談ください。


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この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ)

アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との 契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。

知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の 企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。 事務所HP

当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。


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