【経審】CPD加点の仕組みを徹底解説!|点数計算例と活用ポイント
- Ryuji Hemmi

- 10月2日
- 読了時間: 6分

経営事項審査(経審)では、令和3年以降「CPD(継続教育制度)」による加点制度が導入されています。
建設工事に従事する技術者は知識や技能を磨き続けることが法律上も求められており、その実績が経審の評価に反映されます。
本記事では、CPDの基本から経審における点数の仕組み、実際の計算例までを解説。公共工事の入札に備えて、効率的に点数アップを狙うためのポイントを整理しています。
💡この記事のポイント ●CPD=建設技術者の継続教育制度 ●令和3年改正で経審の評価項目に新設 ●CPD単位の取得状況に応じて点数加点あり ●計算例を使って点数の上がり方を解説 |
▼目次
4.最後に

CPD=技術者の継続教育制度
建設業におけるCPDとは技術者の継続教育制度のことをいいます。
講習会などで学習することで、学習履歴が記録され、単位が取得できるという制度です。
資格の有無に関係なく参加することが可能です。
技術者は建設工事を適正に実施するために必要な知識・技術をアップデートしつづけるよう努力しなければなりません。
その取り組みを評価し継続的な学習を促進するために、認定団体によって認定されたCPD単位数を計算し、経営事項審査(経審)で加点することとされました。監理技術者講習もCPD単位の対象となります。
経営事項審査(経審)の申請の際には、認定団体から発行してもらった学習履歴証明書を提出します。
建設系分野のCPDは「建設系CPD協議会」による連絡・調整のもと、以下の19の認定団体によって運営されています。
(公社)空気調和・衛生工学会 (一財)建設業振興基金 (一社)建設コンサルタンツ協会 (一社)交通工学研究会 (公社)地盤工学会 (公社)森林・自然環境技術教育研究センター (公社)全国上下水道コンサルタント協会 (一社)全国測量設計業協会連合会 (一社)全国土木施工管理技士会連合会 (一社)全日本建設技術協会 土質・地質技術者生涯学習協議会 (公社)土木学会 (一社)日本環境アセスメント協会 (公社)日本技術士会 (公社)日本建築士協会連合会 (公社)日本コンクリート工学会 (公社)日本造園学会 (公社)日本都市計画学会 (公社)農業農村工学会 |
経営事項審査(経審)における加点の仕組み
CPD単位数による点数は「W(社会性等)」のW1-8「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」の中で反映されます。
「W(社会性等)」の全体像は以下リンク記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
W1-8「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」の計算式

CPD単位数は左側の技術者の評価になります。
右側の技能者の評価は建設キャリアアップシステムのレベル判定が関わってきます。
前提として技術者と技能者の定義を整理しておきましょう。

もちろん技術者でありながら技能者でもあるというケースもありえます。その場合は技術者評価・技能者評価いずれの計算にも含まれます。
つぎに計算式の各項目を解説いたします。
●技術者数

「技術職員名簿(別紙2)」には、受審する業種の監理技術者または主任技術者になりうる者を記載します。
「CPD単位を取得した技術者名簿(様式第4号)」には、受審する業種以外で監理技術者または主任技術者になりうる者と2級技士補(2級技術検定の1次試験合格者)を記載します。
2級技士補は技術職員としての加点はありませんが、CPD単位取得の人数には含めることができます。
●技能者数

●CPD単位取得数

ただし、単位数をそのまま合計しません。
認定団体ごとに1単位の重みが異なるので、以下の計算式で単位数を調整します。

〈告示別表18参照〉

技術者1人づつ算出した数値(上限30)を合計したものが「CPD単位取得数」となります。
1人当たりのCPD単位取得数を計算し、以下の表の数値に置き換えます。

●技能レベル向上者数

●控除対象者数

建設キャリアアップシステムのレベル判定については以下リンク記事で詳しく解説しています。
技能レベル向上者数の割合を計算し、以下の表の数値に置き換えます。

技術者の評価、技能者の評価それぞれ計算した合計数値が、以下の表で該当する評点になります。

W(社会性等)の点数計算は、評点×10×175÷200なので、本評価項目が満点の場合、10×10×175÷200で87.5点の加点になります。
W(社会性等)は総合評定値(P点)の中での割合が15%なので、総合評定値(P点)としては最大13点の加点になります。
CPD単位取得時の経営事項審査(経審)点数の計算例
上記で解説したように経営事項審査(経審)でのCPDの点数計算はかなり複雑です。
建設キャリアアップシステムのレベルアップによる加点も含めた計算例を記載していますので、ぜひご参考にしていただければと思います。
施工管理のみに従事する技術者3名(A・B・C)と現場作業に従事する技能者3名(D・E・G)が在籍する事業者の事例です。
・下図【1】 技術者Aは15単位、Bは20単位、Cは42単位、(一社)土木施工管理技士会連合会のCPDS単位を取得
※(一社)土木施工管理技士会連合会のCPDはCPDSという名称がつけられています。
・下図【2】 技能者Dはレベル1から2に、Gはレベル2から3に、建設キャリアアップシステムのレベル判定でレベルアップ、技能者Eは審査基準日の3年以上前からすでにレベル4
・下図【3】、【4】、【5】と順に計算していきます。
【1】

【2】

【3】

すでに計算したCPD単位取得数を使って、①の部分を計算すると、82÷3=27
表にあてはめると、27以上30未満で数値は「9」
【4】

すでに計算したとおり②の部分は「50%」なので、表にあてはめると、15%以上で数値は「10」
【5】

出揃った数値を計算式にあてはめ計算すると、9.5となり、表にあてはめると、9以上10未満でW1-8評点は「9」
最後に
経営事項審査(経審)におけるCPD加点は、建設技術者の継続教育を正しく評価するために導入された仕組みです。
単位の取得状況に応じて総合評定値(P)で最大13点まで加点されるため、公共工事の入札を目指す企業にとっては無視できない要素となっています。
一方で、実際の計算方法や必要書類、どの程度の単位を取得すれば効率的に点数を伸ばせるのかといった点は、制度に不慣れな方にとって分かりづらい部分も少なくありません。
この記事で紹介した内容を押さえておけば大枠の理解はできますが、実務に適用する際には会社の体制や技術者の状況に応じた判断が必要になります。
入札参加資格の取得や経審点数アップをスムーズに進めたい方は、建設業専門の行政書士に相談されることをおすすめします。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ) アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、建設業専門の行政書士事務所を開設。 知事許可・大臣許可ともに特殊案件含め実績多数。経営事項審査も年商数千万円の企業から40億円規模の企業まで幅広く対応。入札参加資格審査申請は全国自治体で申請実績あり。事務所HP |
当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。
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