
建設業界で働く人にとって資格の取得はとても重要です。
中でも建設業法の技術検定による資格(施工管理技士)は取得するメリットも多く、取得を目指す人がたくさんいます。
個人にとってキャリアアップになることはもちろん、事業者にとっても建設業許可や経営事項審査(経審)、現場運用などで重宝する資格です。
施工管理技士は7種類あり、本記事では建築施工管理技士を取り上げています。
建築施工管理技士がどのような資格で、試験はどのような内容なのか等、これから取得を目指す方に全体像をつかんでいただけるよう解説しています。
ぜひご参考にしていただければと思います。
他の施工管理技士についてはそれぞれ別の記事で紹介しています。


▼目次
(1)1級建築施工管理技士
5.最後に
建築施工管理技士とは
建築施工管理技士は住宅やビル、商業施設等の建築現場において施工計画立案や工程管理、安全管理、品質管理といった施工管理を行うことができる国家資格です。
1級と2級があり、2級のみ「建築」「躯体」「仕上げ」の3種類に分かれています。
施工管理の仕事自体は資格がなくてもできますが、現場によっては資格が必須になります。
また、建築物の規模が大きくなるにつれ、より難易度の高い仕事が求められるため、資格を持っているに越したことはありません。
建築工学の知識はもちろん、建設業法や労働法といった法律知識や建築材料など細かな知識も求められるため、資格取得後も自己研鑽は欠かせません。
建築施工管理技士は建設業許可申請や現場運用で重宝される
建築施工管理技士を取ると、建設業界では重宝されます。
事業者からすると、資格者が増えることで活動の幅が広がります。
POINT1 建設業許可の専任技術者になることができる
専任技術者について詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
■許可業種 (1級)建築、大工、左官、とび・土工、石、屋根、タイル、鋼構造物、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具、解体 (2級建築)建築、解体 (2級躯体)大工、とび・土工、タイル、鋼構造物、鉄筋、解体 (2級仕上げ)大工、左官、石、屋根、タイル、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、熱絶縁、建具 |
✅1級建築施工管理技士は一般建設業許可、特定建設業許可で専任技術者になれる
✅2級建築施工管理技士は一般建設業許可で専任技術者になれる
※他にも実務経験とあわせることで専任技術者になれる許可業種があります。また、一次検定のみの合格者である施工管理技士補も実務経験があれば専任技術者になれる可能性があります。
詳しくは以下の【専任技術者になり得る資格一覧】でご確認ください。
一般建設業許可・特定建設業許可について詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
2級の施工管理技士の資格を持ち、2年以上の指導監督的実務経験がある場合は、特定建設業許可の専任技術者として認められます。
※指導監督的実務経験…元請として4,500万円以上の工事を指導監督した経験
しかし、建築、鋼構造物は指定7業種に分類されているため、1級の施工管理技士でなければ特定建設業許可の専任技術者になることはできません。
〈専任技術者になり得る資格一覧〉

POINT2 建設現場の監理技術者等になることができる
建設業許可を取得した建設業者は、元請・下請関係なく請け負った工事現場に主任技術者を配置しなければなりません。
元請として請け負い、下請に4,500万円以上発注する場合は主任技術者ではなく、監理技術者を配置しなければなりません。
✅1級建築施工管理技士は主任技術者、監理技術者になれる
✅2級建築施工管理技士は主任技術者になれる
専任技術者と資格要件は同じです。
また、1級の施工管理技士補は監理技術者の補佐(主任技術者資格が必要)として配置することができ、監理技術者が2つの現場を兼任できるようになります。
監理技術者等について詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
POINT3 経営事項審査(経審)で加点対象にすることができる
経営事項審査(経審)のZ点(技術力)の中で技術職員の保有資格は加点対象となります。
1建築級施工管理技士は5点(監理技術者講習を修了している場合はさらに1点)、1級建築施工管理技士補(監理技術者補佐)は4点、2級建築施工管理技士は2点が加点されます。
経営事項審査(経審)のZ点(技術力)について詳しくはこちら
建築施工管理技士の受検資格
受検資格は令和6年に改正が行われました。
2級建築施工管理技士の一次検定は以前から変わらず17歳以上、1級建築施工管理技士の一次検定も19歳以上であれば、学歴・経験に関係なくだれでも受検できるようになりました。
二次検定は1級・2級ともに令和5年までの受検資格と令和6年以降の改正受検資格を任意で選ぶことができます(令和10年までの移行措置)。
以下に受検資格をまとめていますので、ご参考にしていただければと思います。
令和5年までの旧受検資格は主な受検資格に絞って記載しています。
◎1級建築施工管理技士
▶令和5年まで

▶ 令和6年以降

※指定学科…国土交通省令で定められた学科
※実務経験…建築一式工事、大工工事、内装工事など建築物の工事の施工管理に直接かかわる実務経験
※指導監督的実務経験…施工監督等の立場で部下や下請等に対して総合的に指導監督を行った実務経験(請負工事の金額は関係ありません)
※特定実務経験…請負代金4,500万円(建築一式は7,000万円)以上の工事で監理技術者等としてまたはその指導のもと行った施工の管理の実務経験
◎2級建築施工管理技士(建築・躯体・仕上げ)
▶ 令和5年まで
「建築」・「躯体」・「仕上げ」のいずれか選択

「躯体」で受検可能

「仕上げ」で受検可能

▶ 令和6年以降

※指定学科…国土交通省令で定められた学科
※実務経験…(建築)建築一式工事の施工管理に関する実務経験
(躯体)建築のうち、大工・型枠・とび土工など主要構造部分に関する実務経験
(仕上げ)建築工事のうち、造作・屋根・塗装など内外装に関する実務経験
建築施工管理技士の試験内容
●試験内容
第一次検定:1級・2級ともマークシート方式の筆記試験
第二次検定:1級・2級ともにマークシート方式・記述式の筆記試験
※2級は建築・躯体・仕上げの種別ごと
●合格率
近年の合格率の推移は以下のようになっています。
1級、2級ともに他の施工管理技士検定よりもやや合格率が低い傾向にあります。
〈1級建築施工管理技士〉

〈2級建築施工管理技士〉

●試験日程
詳細は以下「一般財団法人建設業振興基金HP」にてご確認ください。
最後に
建築施工管理技士を目指す方のために資格概要・資格取得のメリット・受検資格・試験内容について解説いたしました。
土木施工管理技士に次いで受検者が多い人気資格です。土木施工管理技士と同様にR6年の受検資格改正で1級一次検定の受検者数が急増しました。
今後は合格者もどんどん増え、資格保有者の割合が増えることが予想されます。
![]() | この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。 ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。 建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、建設キャリアアップシステムをサポート。 |
当事務所では大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理を承っております。
大阪市鶴見区・城東区・都島区・旭区を中心に大阪府全域、奈良県、兵庫県、和歌山県は標準対応エリアです。
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