建設業許可を取得するときの重要要件の1つである「専任技術者」、建設業許可取得後に現場配置義務が発生する「監理技術者・主任技術者」は、業種に応じた国家資格等を保有しているか、業種に応じた一定の実務経験がなければ、なることができません。
実務経験は書類が揃わず証明することが困難なケースが起こり得ますが、国家資格等を保有している場合は合格証を提出するだけで簡単に証明できます。(一部、実務経験もあわせて必要な資格があります。)
専任技術者や監理技術者等になり得る国家資格等は、個人のキャリアアップや事業者の組織強化という面においても取得するのが望ましいでしょう。
この記事では、「建築施工管理技士(1級・2級)」の対応業種や受検資格、試験内容について解説しています。
令和6年4月1日施行の「受験資格の見直し」についても触れているので、ぜひご参考にしていただければと思います。
▼目次
(1)1級建築施工管理技士
5.最後に
「建築施工管理技士」資格の概要
建築現場において主に大規模な建築一式工事の施工管理や品質管理、安全管理を行うことができる資格です。
検定試験は年に1回(2級一次検定のみ年2回)、一般財団法人建設業振興基金によって実施されます。
1級建築施工管理技士は、特定・一般建設業の専任技術者になることができます。
2級建築施工管理技士(建築・躯体・仕上げ)は、一般建設業の専任技術者になることができます。
また、1級の場合、監理技術者・主任技術者として現場配置でき、2級の場合、主任技術者として現場配置できます。
一次検定のみ合格者は施工管理技士補となります。1級建築施工管理技士補を監理技術者の補佐として配置することで、監理技術者が2つの現場を兼任できるようになります。
令和5年7月改正以降、施工管理技士補は指定学科卒業と同等とみなされることになりました。
合格発表日以降に一定の実務経験を積むことで専任技術者になることができます。
「建築施工管理技士」に対応する業種
✅1級:建築工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、熱絶縁工事業、建具工事業、解体工事業
✅2級(建築):建築工事業、解体工事業
✅2級(躯体):大工工事業、とび・土工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、解体工事業
✅2級(仕上げ):大工工事業、左官工事業、石工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、熱絶縁工事業
「建築施工管理技士」は建築系業種に幅広く対応しています。1級であれば、ほぼすべての建築系業種をカバーしています。施工管理技士補+一定の実務経験のパターンまで含めると、さらに多くの業種に対応しています。
下の表でご確認ください。
なお、建築工事業と鋼構造物工事業は指定7業種に分類されるので、2級建築施工管理技士の資格保有者が2年以上の指導監督的な実務の経験を持っていたとしても、特定建設業では専任技術者になることはできません。
1級建築施工管理技士に合格しない限りなれないということでです。
〈専任技術者になり得る資格一覧〉
建設業法に基づく他の国家資格についてはそれぞれ別の記事にまとめていますので、そちらでご確認ください。
「建築施工管理技士」検定試験の受検資格
2級建築施工管理技士の一次検定のみ、17歳以上であれば学歴・経験に関係なくだれでも受検することができます。その他は、受検資格として一定の実務経験が必要になります。
◎1級建築施工管理技士
▶第一次検定
学歴または2級建築施工管理技士等合格に応じて、実務経験が下記のいずれかに該当する者
【学歴】
【2級建築士合格者】
【2級建築施工管理技士合格者】
※第一次検定のみであれば、実務経験がなくても受検可能
▶ 第二次検定
学歴及び実務経験要件を満たした、第一次検定合格者
◎2級建築施工管理技士(建築・躯体・仕上げ)
▶ 第一次検定
試験実施年度に満17歳以上である者
【年齢】
▶ 第二次検定
第一次検定の合格者で下記の学歴・実務経験年数のいずれかに該当する者
【学歴】
◎令和6年4月1日施行の「受験資格の見直し」
・1級建築施工管理技士の第一次検定
学歴及び実務経験要件が撤廃され、試験実施年度に満19歳以上であれば、実務経験に関係なく誰でも受検できるようになります。
・1級建築施工管理技士の第二次検定
第一次検定での学歴及び実務経験要件の撤廃に伴い、第二次検定における必要実務経験の短縮措置等があります。
(卒業後の実務経験ではなく、合格後の実務経験に移行)
・2級建築施工管理技士の第一次検定
現行の受検資格から変更はありません。
・2級建築施工管理技士の第二次検定
学歴に応じた実務経験年数の差異を撤廃、第一次検定合格後の実務経験3年以上(1級の第一次検定合格の場合は実務経験1年以上)という要件に変更されます。
「建築施工管理技士」検定試験の内容
●試験内容
1級・2級とも
第一次検定 マークシート方式の学科試験
第二次検定 経験記述を中心とした実地試験
※2級は建築、躯体、仕上げそれぞれ出題内容が異なります。
●合格率
近年の合格率の推移は以下のようになっています。
1級、2級ともに他の施工管理技士検定よりもやや合格率が低い傾向にあります。
●試験日程
詳細は以下「一般財団法人建設業振興基金HP」にてご確認ください。
最後に
「建築施工管理技士」は建設業界で役立つ代表的な国家資格の1つです。
忙しい中での試験対策は大変ですが、ゼネコン等建築系に従事されている施工管理の方は受験資格(実務経験)を視野に入れながら計画的に取得を目指してみてはいかがでしょうか。
この記事は行政書士が執筆・監修しています。 アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ) 本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。 行政書士の詳しいプロフィールはこちら |
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